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K2
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午後3時
ニュース速報が流れた。
『王秀英さん殺される。容疑者は兄の王博文』
世界中が驚愕する。秀英は日本だけでなく、世界の経済に影響を与えた人物なのだから。しかも、容疑者が兄とは話題性充分だ。ネット上では、兄博文を批難するより、当然だ! ざまあみろ! のようなアンチ秀英の書き込みが大半だった。
(くっそう。王の俺がこんな目に会うなんて……。西大生を甘く見ていたな……。まあ、兄貴に盗聴アプリをインストールしていたお陰で殺されなくて済んだから、それで良しとするか……。しかし、兄貴の奴、どこにも使い道が無いから執事として雇ってやったのに、恩を仇で返そうとしやがって!)
秀英は取り調べのストレスで、博文への不満がぶり返してきていた。ただ、秀英が考えたトリックを解いたのが、実際は西京大学生では無く、頭の良く無い高校生だったとは知る由も無かった。
午後5時
ニュース速報が流れた。
『王秀英殺害は誤報! 殺されたのは容疑者だと思われていた兄、王博文さん! 容疑者は王秀英!』
2時間前の衝撃以上のニュースに世界中が震撼する。考えられないような急展開に人々はついていけない。
ネット上では、秀英の非難は当然として、死屍に鞭打つ行為だと、警察の非難も相当だった。兄博文を容疑者として報道してしまったのだから。さらに、1度死んだ秀英が殺人犯として生き返ったので、王秀英不死身説が流れた。
この3時から5時の2時間に一体何があったのか?
警察が秀英と博文の入れ替わりに気付いた訳では無い。王秀英が殺されたという報道を見て、脅迫状を送りつけていた犯人が自首をしてきたのだ。この人物は唐沢でなければ秀英の知人でもない。ネット上でアンチ王秀英として少しだけ知られていた人物だ。ネット上だけなので、実際の姿はもちろん知られていない。ハンドルネームは K2。キルザキングの略らしい。
どうして、メディアに出なくなって5年も経ったのに今更? と思うだろうが、それは K2 の事を知らないからそう思うだけだ。K2 は5年前からずっと、ネット上で秀英の批判や脅迫を続けていた。知る人ぞ知るという人物だが、そこまで影響力も無く、警察も特に逮捕に力を入れていなかった。だが、K2 は遂に王の屋敷の住所を入手した。ただ、今までも幾度となくデマの住所を教えられ、脅迫状を送りつけていた。K2 は今回もデマかもしれないと思っていたのだが、ようやく本当の住所をゲットしたという訳だ。
そこで、今回の秀英死亡の報道。自分の目的が達成されたと思い、満足しての自首だった。脅迫状を送り付けたのが自分だったというのを知らせれば、世間に、秀英を殺した立役者だと思ってもらえるとの判断だ。だが実際、秀英は生きている。K2 は秀英、刹那、永遠の作戦にまんまと嵌まった形になった。
脅迫状の犯人が自首してきた事の連絡を受けた秀英は直ぐ、警察官に自分が秀英であるという事を伝え、調べられた後、真実が報道されたのだ。
午後5時
警察署
後輩警察官が先輩警察官に話す。
「秀英の奴、反省している様に見せる為だと思いますけど、丸刈りにしてくれと要望してきましたよ」
「まあ、裁判員は一般人なんだ。しかも、秀英は嫌われていたしな。反省の態度を見せれば刑も軽くなるんじゃないか?」
「そういうもんですかね? わざとらしく無いですか?」
「人の心理なんてそんなもんだよ。わざとらしくても、実際に金髪から丸刈りになった弱々しい爺さんを見れば、同情を買うのは間違い無いな。ズル賢い秀英は死刑にならない為なら何でもするさ」
◆心理学用語に『ハロー効果』と言うものがある。例えば、あなたに欲しい商品があったとして、身なりのキッチリしたスーツの人物と、茶髪のロン毛でパーカーにスニーカーの人物がいたら、どちらから商品を買うだろうか? どちらも同じ商品なのに、間違いなくスーツの人物から買うだろう。人間という生き物は見た目である程度判断する。嘘であっても、丸刈りの弱々しい爺さんを見れば、同情するよう、無意識のうちに脳が判断するのだ。◆
「そもそも、動機は何だったんですか? 博文が普段の扱いと金銭目当てで秀英を殺したと思っていたから納得したのに、一転、秀英が博文を殺したと分かったじゃないですか。どういう事なんですか?」
「あくまでも、秀英の証言なんだが、博文に秀英を殺す兆候が見られたからと言っていたな」
「実際どうだったんですかね?」
「分からない。ただ、お前が言ったように、秀英は、博文が兄であるにも拘わらず、執事として扱い説教する事もあったらしいし、当然、遺産目当ての殺害の可能性はある。結局、被害妄想だったんだろうけどな」
ニュース速報が流れた。
『王秀英さん殺される。容疑者は兄の王博文』
世界中が驚愕する。秀英は日本だけでなく、世界の経済に影響を与えた人物なのだから。しかも、容疑者が兄とは話題性充分だ。ネット上では、兄博文を批難するより、当然だ! ざまあみろ! のようなアンチ秀英の書き込みが大半だった。
(くっそう。王の俺がこんな目に会うなんて……。西大生を甘く見ていたな……。まあ、兄貴に盗聴アプリをインストールしていたお陰で殺されなくて済んだから、それで良しとするか……。しかし、兄貴の奴、どこにも使い道が無いから執事として雇ってやったのに、恩を仇で返そうとしやがって!)
秀英は取り調べのストレスで、博文への不満がぶり返してきていた。ただ、秀英が考えたトリックを解いたのが、実際は西京大学生では無く、頭の良く無い高校生だったとは知る由も無かった。
午後5時
ニュース速報が流れた。
『王秀英殺害は誤報! 殺されたのは容疑者だと思われていた兄、王博文さん! 容疑者は王秀英!』
2時間前の衝撃以上のニュースに世界中が震撼する。考えられないような急展開に人々はついていけない。
ネット上では、秀英の非難は当然として、死屍に鞭打つ行為だと、警察の非難も相当だった。兄博文を容疑者として報道してしまったのだから。さらに、1度死んだ秀英が殺人犯として生き返ったので、王秀英不死身説が流れた。
この3時から5時の2時間に一体何があったのか?
警察が秀英と博文の入れ替わりに気付いた訳では無い。王秀英が殺されたという報道を見て、脅迫状を送りつけていた犯人が自首をしてきたのだ。この人物は唐沢でなければ秀英の知人でもない。ネット上でアンチ王秀英として少しだけ知られていた人物だ。ネット上だけなので、実際の姿はもちろん知られていない。ハンドルネームは K2。キルザキングの略らしい。
どうして、メディアに出なくなって5年も経ったのに今更? と思うだろうが、それは K2 の事を知らないからそう思うだけだ。K2 は5年前からずっと、ネット上で秀英の批判や脅迫を続けていた。知る人ぞ知るという人物だが、そこまで影響力も無く、警察も特に逮捕に力を入れていなかった。だが、K2 は遂に王の屋敷の住所を入手した。ただ、今までも幾度となくデマの住所を教えられ、脅迫状を送りつけていた。K2 は今回もデマかもしれないと思っていたのだが、ようやく本当の住所をゲットしたという訳だ。
そこで、今回の秀英死亡の報道。自分の目的が達成されたと思い、満足しての自首だった。脅迫状を送り付けたのが自分だったというのを知らせれば、世間に、秀英を殺した立役者だと思ってもらえるとの判断だ。だが実際、秀英は生きている。K2 は秀英、刹那、永遠の作戦にまんまと嵌まった形になった。
脅迫状の犯人が自首してきた事の連絡を受けた秀英は直ぐ、警察官に自分が秀英であるという事を伝え、調べられた後、真実が報道されたのだ。
午後5時
警察署
後輩警察官が先輩警察官に話す。
「秀英の奴、反省している様に見せる為だと思いますけど、丸刈りにしてくれと要望してきましたよ」
「まあ、裁判員は一般人なんだ。しかも、秀英は嫌われていたしな。反省の態度を見せれば刑も軽くなるんじゃないか?」
「そういうもんですかね? わざとらしく無いですか?」
「人の心理なんてそんなもんだよ。わざとらしくても、実際に金髪から丸刈りになった弱々しい爺さんを見れば、同情を買うのは間違い無いな。ズル賢い秀英は死刑にならない為なら何でもするさ」
◆心理学用語に『ハロー効果』と言うものがある。例えば、あなたに欲しい商品があったとして、身なりのキッチリしたスーツの人物と、茶髪のロン毛でパーカーにスニーカーの人物がいたら、どちらから商品を買うだろうか? どちらも同じ商品なのに、間違いなくスーツの人物から買うだろう。人間という生き物は見た目である程度判断する。嘘であっても、丸刈りの弱々しい爺さんを見れば、同情するよう、無意識のうちに脳が判断するのだ。◆
「そもそも、動機は何だったんですか? 博文が普段の扱いと金銭目当てで秀英を殺したと思っていたから納得したのに、一転、秀英が博文を殺したと分かったじゃないですか。どういう事なんですか?」
「あくまでも、秀英の証言なんだが、博文に秀英を殺す兆候が見られたからと言っていたな」
「実際どうだったんですかね?」
「分からない。ただ、お前が言ったように、秀英は、博文が兄であるにも拘わらず、執事として扱い説教する事もあったらしいし、当然、遺産目当ての殺害の可能性はある。結局、被害妄想だったんだろうけどな」
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