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第3部 天の碧落
第1章 北剣のカルデロン 2
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冴えた月が時折木々の間から見えた。
疾駆する馬上でトリニティは月を見上げながら、もうどのくらい走り続けているのだろうかと思った。
今夜は晴れだ。月明かりが映えて、行く手を照らすのには困らなかった。
鬣を握り締める手が痺れて、もう感覚が無い。
冷たい夜気の中、風を切って走る続ける馬の上で素手を晒してるからなのか。それとも感覚がなくなるほど強く握り締めていたのか。
馬は狂ったように走り続けた。
馬の様子がおかしいのは、乗り手の心情を察してなのだろうか。そう思って、極力後に残してきたものや先に待ち受けるものについて考えないように努力したが、どうしても出来なかった。
アレクシスは大丈夫だろうか。
彼は手傷を負っていた。──もう随分長い間、馬は走り続けている。傷を負って、長時間の乗馬はきついはずだとトリニティは思った。
痺れた手で鬣を掴み直した。
ほら──すっかり息が上がっている。
自分の足で走るわけでもないし、馬の手綱を握るのも自分ではない。それなのに、足も膝も腰も、悲鳴をあげるほど痛んでいた。
自分でさえこんなにも辛いのに、アレクシスだけが大丈夫のはずが無い。
「止まるぞ」
低い声がすぐ後ろからして、アレクシスが手綱を引いた。馬は抵抗しながらも指示に従って歩みを緩めた。落ち着かなげに足踏みしながら立ち止まると、トリニティは落馬するかのように馬から転がり落ちた。
「大丈夫かっ」
続いて降り立ったアレクシスの息遣いもさすがに荒かった。
トリニティは肩で大きく呼吸を整えながら、切れ切れに答えた。
「大丈夫……」
言いながら立ち上がり、よろめいて地面に倒れこんだ。膝に力が入らない。地面にぶつかりそうになったところを、アレクシスに受け止められた。
「あ、ありがとう」
トリニティは慌てて礼を口にした。
「どういたしまして」
答えたものの、アレクシスもそのまま身を投げ出すように座り込んで、大きく息を吸った。
「さすがにキツイな」
額の汗を拭いながら何度も大きく息をついて、呼吸を整えていく。
トリニティがまだふらついている間に、アレクシスは立ち上がると馬のところへ行き、手綱を引いて手近な木に結ぶと、馬の体を布で丹念に拭きはじめた。
「な、何?」
荒い息遣いでトリニティが聞いた。なぜ、自分たちのことより一番に馬の事をするのか。理由が分からなかった。
「これか──?」
アレクシスが振り返ったので、トリニティは頷いた。
「距離を稼ぐために長く走ったからな。馬も汗でずぶ濡れだ。……すぐに拭いておかないと……貴重な足を無くす事になるだろ?」
「どういうこと?」
「なんだ、分からないのか?」
トリニティは再び頷いた。アレクシスが一瞬呆れたような顔をしたのが月明かりの下でも分かって──自分の無知さを晒すようで、なぜ今夜はこれ程月が明るいのだろう、と恨めしく思った。
「俺たちだって、汗だくになって服が濡れると冷えるだろ? 人間なら服を着替えればいいが、馬はそうはいかない」
アレクシスの説明を聞きながら、トリニティが目を見開いた。彼の話が理解できなかった。余程戸惑った顔をしていたのだろう。アレクシスがそっと溜息をついた。
「──服がずぶ濡れになるほど汗をかいた事は?」
トリニティは首を振った──横に。
二人の間に奇妙な間が生まれる。
「ああ──まあ、ずっと監禁された生活だったんだからな」
トリニティは項垂れた。
「ごめんなさい」
トリニティは自分を恥ずかしく思った。
きっと普通の人なら、簡単に察しがつく事なのだろうし、いちいち説明などしなくても知っていて当然のことなのだろう。
それなのに自分は何も知らないのだ。──普通の人間が普通に生活して、普通に経験する事の多くを、トリニティは殆ど何も知らなかった。
八年もの幽閉生活を強いられたから?
それとも、王女として優遇された生活を送り、多くの者がする経験を積む事もなかったから?
……トリニティにはどれも言い訳にしか感じられなかった。
自分はこんなにも物を知らない。
それが、恥ずかしかった。
「……」
「いつかお前もそんな経験をすれば分かる事なんだがな」
悔しさに唇を噛むトリニティに、アレクシスは苛立つでもなく作業を続けながら説明してくれた。
「服が濡れるほど汗をかくと、その後すぐに、驚くほど体が冷えるんだ。……濡れた衣服が体温を奪うんだな。すぐに着替えないと、震えがついて、止まらなくなるほどだ。……それが夜の屋外で、着替えもないような状態だと、悲惨だぞ。馬もそうだな。馬は人間と違って着替えられないし、自分では汗も拭けないから、そのまま放っておくと死んでしまうこともある。ましてや、この季節だ。確実に……朝までには馬を失うな」
「そうなの」
「これから先の行程を、この季節、徒歩で進みたくはないだろ?」
トリニティは頷いた。そして、立ち上がる。
考えるのは止めた。
さっきからずっと頭痛や耳鳴りが続いていたが、構わずにアレクシスの傍へ寄った。
後ろを振り返る事も、思い悩む事も止めた。
「あたしも手伝うわ」
今悩んでも、今更悩んでもしようが無いのだから。
それくらいなら、体を動かそうと思った。
「──」
トリニティが慣れぬ手つきで馬の体を拭き始めると、アレクシスは何か言いかけたが、すぐに口を閉じた。ただ、そっと綻ぶように笑うと黙って作業を続けた。
トリニティは、きっと自分は足手まといに違いないと思った。幼子が親を手伝うつもりで、かえって散らかすようなものなのだろうと。
自分は物を知らない。
どうしようもない程、経験が足りない。
だから今からでも、少しでも多くの事を経験して、少しでも早く普通の人たちと同じだけの経験を積みたかった。
そのためには、こんなところで二の足を踏んでいるわけにはいかないのだ。
新しい世界に踏み出す事。
初めての事を経験する事。
──本当はどれも怖かった。
できる事なら膝を抱え込み、心を閉ざしてしまいたい。
塔に閉じ込もっていたままだったら、きっとこれ程多くの事を──心が折れてしまいそうだと思う程の事を──経験せずに済んだのだろうと思う。
でも。
トリニティは自分の隣で黙々と作業を続けるアレクシスを見上げた。
今の自分を取り巻く状況や、後に残してきた人々の事を考えると、そんな弱音は口に出しては言えない。思う事も許されないと思った。
今はただ、自分に出来る事を精一杯やって、前に進み続けるしかないのだ。
それに──こんな時、アレクシスはいつも何も言わなかった。足手まといだとも、からかうような事も、何も。初めて出会ったときからそうだった。だた黙って、辛抱強く自分に付き合ってくれる。
……ありがたいと思った。
馬鹿にされたり、嫌味を言われたり、貶されたりしていたら、トリニティはきっと立ち直れ無い程傷ついて、卑屈になったろう。
生まれて初めて外の世界に出て、沢山の失敗と経験を積んでも、トリニティ本来の素直で伸びやかな感情が損なわれなかったのは、きっと、アレクシスと共に過ごしてきたからに違いない。
突き放すでもない。甘やかすでもない。守るでもないようで……けれど、肝心なところでは必ず守られている。一見すると優しくないようなのに。これほどの優しさも無いだろうと思われた。
挫けそうな時。
あのまま塔を出ないままの方が良かったのではないかと思う。
けれど。
やはり塔を飛び出してよかったと思った。
あのまま。あの場所に留まっていたら、きっと、これ程の経験を味わう事もなかっただろうから。
トリニティは知らなかった。
世界がこれ程広い事。
人々がこれ程多くの経験を積むこと。
人間にこれ程多くの感情があること。
嵐のような怒りも。底が見えないほどの悲しみも。花が綻ぶような喜びも。
凪の海のような穏やかな感情や、どれ程の苦しみにあっても決して消えない、誰かを想う心も──。
その全てをこの男と共に過ごす事で得たのだというのなら。
人として。
これ以上の喜びは──きっと、ないだろう。
(続く)
+-----------------------------+
| 「語バラ(裏)」
+-----------------------------+
トリニティ:「だんだん恋愛色が濃くなってきたわね……」
(今回の演技も、なかなか迫真の演技でしたよ)
トリニティ:「この台本……。なんだか趣味に走り出してる?」
(ドキッ。──いえいえ。そんなことは、決して)
トリニティ:「同人小説っぽくならないように気をつけてたはずよね?」
(ええ。まあそうですね。単なる趣味で書く小説ならともかく、汎用をめざすなら気をつけないといけないポイントですよね。
……まぁ……ホント、趣味の小説なんですけど……)
トリニティ:「あら。そのツッコミ、あたしがしようと思ってたのに。自分で言っちゃったのね」
(──相変わらずキツイ性格ですね)
(でもまあ。話が長い分、登場人物を書き込めるから。そこがいいですね)
(続きを書いて、話を長くしようって決めた時点で、キャラクターの書き込みをしっかりしようと思ったわけで)
(単作だと、そこまで書き込めませんから)
トリニティ:「そうね──。でも、あたしは恥ずかしいな。自分の恥ずかしい心情とか、一杯書かれる訳だし」
(え~? ファンタジーって、主人公が悩んだり成長したりするのを、読み手も一緒に味わって楽しむジャンルの小説でしょ?)
(だからこれでいいんですよ)
トリニティ:「そ、そうかな」
(そうですよ。だから主人公は生きるのに不器用な方がいいんです)
トリニティ:「むかっ」
(それから、恥をかくような失敗が多いのもいいですね)
トリニティ:「むか、むかっ」
(まあ、これはあくまでも私個人の独断と偏見ですが──)
(あっ! イタイ! 何するんですか、いきなりっ)
トリニティ:「うるさいわねっ! 悪かったですね! 恥さらしの不器用者でっ!」
(いえっ。そういう意味じゃ──。イタイ!)
トリニティ:「問答無用っ!」
疾駆する馬上でトリニティは月を見上げながら、もうどのくらい走り続けているのだろうかと思った。
今夜は晴れだ。月明かりが映えて、行く手を照らすのには困らなかった。
鬣を握り締める手が痺れて、もう感覚が無い。
冷たい夜気の中、風を切って走る続ける馬の上で素手を晒してるからなのか。それとも感覚がなくなるほど強く握り締めていたのか。
馬は狂ったように走り続けた。
馬の様子がおかしいのは、乗り手の心情を察してなのだろうか。そう思って、極力後に残してきたものや先に待ち受けるものについて考えないように努力したが、どうしても出来なかった。
アレクシスは大丈夫だろうか。
彼は手傷を負っていた。──もう随分長い間、馬は走り続けている。傷を負って、長時間の乗馬はきついはずだとトリニティは思った。
痺れた手で鬣を掴み直した。
ほら──すっかり息が上がっている。
自分の足で走るわけでもないし、馬の手綱を握るのも自分ではない。それなのに、足も膝も腰も、悲鳴をあげるほど痛んでいた。
自分でさえこんなにも辛いのに、アレクシスだけが大丈夫のはずが無い。
「止まるぞ」
低い声がすぐ後ろからして、アレクシスが手綱を引いた。馬は抵抗しながらも指示に従って歩みを緩めた。落ち着かなげに足踏みしながら立ち止まると、トリニティは落馬するかのように馬から転がり落ちた。
「大丈夫かっ」
続いて降り立ったアレクシスの息遣いもさすがに荒かった。
トリニティは肩で大きく呼吸を整えながら、切れ切れに答えた。
「大丈夫……」
言いながら立ち上がり、よろめいて地面に倒れこんだ。膝に力が入らない。地面にぶつかりそうになったところを、アレクシスに受け止められた。
「あ、ありがとう」
トリニティは慌てて礼を口にした。
「どういたしまして」
答えたものの、アレクシスもそのまま身を投げ出すように座り込んで、大きく息を吸った。
「さすがにキツイな」
額の汗を拭いながら何度も大きく息をついて、呼吸を整えていく。
トリニティがまだふらついている間に、アレクシスは立ち上がると馬のところへ行き、手綱を引いて手近な木に結ぶと、馬の体を布で丹念に拭きはじめた。
「な、何?」
荒い息遣いでトリニティが聞いた。なぜ、自分たちのことより一番に馬の事をするのか。理由が分からなかった。
「これか──?」
アレクシスが振り返ったので、トリニティは頷いた。
「距離を稼ぐために長く走ったからな。馬も汗でずぶ濡れだ。……すぐに拭いておかないと……貴重な足を無くす事になるだろ?」
「どういうこと?」
「なんだ、分からないのか?」
トリニティは再び頷いた。アレクシスが一瞬呆れたような顔をしたのが月明かりの下でも分かって──自分の無知さを晒すようで、なぜ今夜はこれ程月が明るいのだろう、と恨めしく思った。
「俺たちだって、汗だくになって服が濡れると冷えるだろ? 人間なら服を着替えればいいが、馬はそうはいかない」
アレクシスの説明を聞きながら、トリニティが目を見開いた。彼の話が理解できなかった。余程戸惑った顔をしていたのだろう。アレクシスがそっと溜息をついた。
「──服がずぶ濡れになるほど汗をかいた事は?」
トリニティは首を振った──横に。
二人の間に奇妙な間が生まれる。
「ああ──まあ、ずっと監禁された生活だったんだからな」
トリニティは項垂れた。
「ごめんなさい」
トリニティは自分を恥ずかしく思った。
きっと普通の人なら、簡単に察しがつく事なのだろうし、いちいち説明などしなくても知っていて当然のことなのだろう。
それなのに自分は何も知らないのだ。──普通の人間が普通に生活して、普通に経験する事の多くを、トリニティは殆ど何も知らなかった。
八年もの幽閉生活を強いられたから?
それとも、王女として優遇された生活を送り、多くの者がする経験を積む事もなかったから?
……トリニティにはどれも言い訳にしか感じられなかった。
自分はこんなにも物を知らない。
それが、恥ずかしかった。
「……」
「いつかお前もそんな経験をすれば分かる事なんだがな」
悔しさに唇を噛むトリニティに、アレクシスは苛立つでもなく作業を続けながら説明してくれた。
「服が濡れるほど汗をかくと、その後すぐに、驚くほど体が冷えるんだ。……濡れた衣服が体温を奪うんだな。すぐに着替えないと、震えがついて、止まらなくなるほどだ。……それが夜の屋外で、着替えもないような状態だと、悲惨だぞ。馬もそうだな。馬は人間と違って着替えられないし、自分では汗も拭けないから、そのまま放っておくと死んでしまうこともある。ましてや、この季節だ。確実に……朝までには馬を失うな」
「そうなの」
「これから先の行程を、この季節、徒歩で進みたくはないだろ?」
トリニティは頷いた。そして、立ち上がる。
考えるのは止めた。
さっきからずっと頭痛や耳鳴りが続いていたが、構わずにアレクシスの傍へ寄った。
後ろを振り返る事も、思い悩む事も止めた。
「あたしも手伝うわ」
今悩んでも、今更悩んでもしようが無いのだから。
それくらいなら、体を動かそうと思った。
「──」
トリニティが慣れぬ手つきで馬の体を拭き始めると、アレクシスは何か言いかけたが、すぐに口を閉じた。ただ、そっと綻ぶように笑うと黙って作業を続けた。
トリニティは、きっと自分は足手まといに違いないと思った。幼子が親を手伝うつもりで、かえって散らかすようなものなのだろうと。
自分は物を知らない。
どうしようもない程、経験が足りない。
だから今からでも、少しでも多くの事を経験して、少しでも早く普通の人たちと同じだけの経験を積みたかった。
そのためには、こんなところで二の足を踏んでいるわけにはいかないのだ。
新しい世界に踏み出す事。
初めての事を経験する事。
──本当はどれも怖かった。
できる事なら膝を抱え込み、心を閉ざしてしまいたい。
塔に閉じ込もっていたままだったら、きっとこれ程多くの事を──心が折れてしまいそうだと思う程の事を──経験せずに済んだのだろうと思う。
でも。
トリニティは自分の隣で黙々と作業を続けるアレクシスを見上げた。
今の自分を取り巻く状況や、後に残してきた人々の事を考えると、そんな弱音は口に出しては言えない。思う事も許されないと思った。
今はただ、自分に出来る事を精一杯やって、前に進み続けるしかないのだ。
それに──こんな時、アレクシスはいつも何も言わなかった。足手まといだとも、からかうような事も、何も。初めて出会ったときからそうだった。だた黙って、辛抱強く自分に付き合ってくれる。
……ありがたいと思った。
馬鹿にされたり、嫌味を言われたり、貶されたりしていたら、トリニティはきっと立ち直れ無い程傷ついて、卑屈になったろう。
生まれて初めて外の世界に出て、沢山の失敗と経験を積んでも、トリニティ本来の素直で伸びやかな感情が損なわれなかったのは、きっと、アレクシスと共に過ごしてきたからに違いない。
突き放すでもない。甘やかすでもない。守るでもないようで……けれど、肝心なところでは必ず守られている。一見すると優しくないようなのに。これほどの優しさも無いだろうと思われた。
挫けそうな時。
あのまま塔を出ないままの方が良かったのではないかと思う。
けれど。
やはり塔を飛び出してよかったと思った。
あのまま。あの場所に留まっていたら、きっと、これ程の経験を味わう事もなかっただろうから。
トリニティは知らなかった。
世界がこれ程広い事。
人々がこれ程多くの経験を積むこと。
人間にこれ程多くの感情があること。
嵐のような怒りも。底が見えないほどの悲しみも。花が綻ぶような喜びも。
凪の海のような穏やかな感情や、どれ程の苦しみにあっても決して消えない、誰かを想う心も──。
その全てをこの男と共に過ごす事で得たのだというのなら。
人として。
これ以上の喜びは──きっと、ないだろう。
(続く)
+-----------------------------+
| 「語バラ(裏)」
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トリニティ:「だんだん恋愛色が濃くなってきたわね……」
(今回の演技も、なかなか迫真の演技でしたよ)
トリニティ:「この台本……。なんだか趣味に走り出してる?」
(ドキッ。──いえいえ。そんなことは、決して)
トリニティ:「同人小説っぽくならないように気をつけてたはずよね?」
(ええ。まあそうですね。単なる趣味で書く小説ならともかく、汎用をめざすなら気をつけないといけないポイントですよね。
……まぁ……ホント、趣味の小説なんですけど……)
トリニティ:「あら。そのツッコミ、あたしがしようと思ってたのに。自分で言っちゃったのね」
(──相変わらずキツイ性格ですね)
(でもまあ。話が長い分、登場人物を書き込めるから。そこがいいですね)
(続きを書いて、話を長くしようって決めた時点で、キャラクターの書き込みをしっかりしようと思ったわけで)
(単作だと、そこまで書き込めませんから)
トリニティ:「そうね──。でも、あたしは恥ずかしいな。自分の恥ずかしい心情とか、一杯書かれる訳だし」
(え~? ファンタジーって、主人公が悩んだり成長したりするのを、読み手も一緒に味わって楽しむジャンルの小説でしょ?)
(だからこれでいいんですよ)
トリニティ:「そ、そうかな」
(そうですよ。だから主人公は生きるのに不器用な方がいいんです)
トリニティ:「むかっ」
(それから、恥をかくような失敗が多いのもいいですね)
トリニティ:「むか、むかっ」
(まあ、これはあくまでも私個人の独断と偏見ですが──)
(あっ! イタイ! 何するんですか、いきなりっ)
トリニティ:「うるさいわねっ! 悪かったですね! 恥さらしの不器用者でっ!」
(いえっ。そういう意味じゃ──。イタイ!)
トリニティ:「問答無用っ!」
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