叔父と双子の兄二人に溺愛飼育

ミネ

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にいちゃん一人でも一緒にいると目立つのに、にいちゃん二人はもっと目立つ。

見上げるほどの長身、整った顔立ち、目を惹く男らしい筋肉のついた厚みのある身体。

それが二体。今はふざけて伊達メガネを選んでる。
ショッピングモールの集まる繁華街。目的のゲームを家電量販店で見た後に、混雑して賑う眼鏡屋さんに俺たちは立ち寄った。
ショップにいる女の人たちが商品を見つつも、ちらちらとメガネを選び合うでっかい双子を盗み見てる。

「京、どお?」
嶺にいちゃんがふり返り、選んだメガネを見せてくる。

「んー‥、いんじゃない」
嶺にいちゃん、それ似合わない。

「てめー、笑ってんじゃねーよ」

ヴィンテージ風の丸眼鏡をかけて鏡を見ようとしてた俺を後ろから抱きしめる。

「京はそれ似合うな」
あー、ねー!店員さんとか、まわりのお客さんとか見てるからほっぺにちゅーしないで!!

「ほんとだ。京かわいい。それ」
凱にいちゃんはネイビーとゴールドのメタルフレームの眼鏡をかけている。派手だけど似合う。

「凱にいちゃん、それ似合う」

嶺にいちゃんがムッとして凱にいちゃんから眼鏡を奪う。
「凱が似合うなら俺も似合う」


「似合う似合う。嶺にいちゃん、カッコつけて」

両手で髪を掻き上げる仕草をする嶺にいちゃん。めっちゃキメ顔。俺と凱にいちゃんは笑う。俺の隣にいたおねーさんは頬染めて釘付け。


「あー、なんかはらへった。どっか入ろーぜ」
眼鏡屋を出ると嶺にいちゃんが言った。

「お昼食べたばっかじゃん」

「夕食までまだあるし、休憩しよう。京、ケーキ食べたくない?」

「食べたい‥」
甘いもんけっこう好き。


駅から少し歩いたカフェは日曜日のお昼過ぎということもあってかなり混んでる。運良くすぐ席が空いて、吹き抜けになってる開放感のあるテーブルに案内された。

嶺にいちゃんはサーモンのパニーニとハイネケン。凱にいちゃんはまだメニューを見てる。

「京、決まった?」

「うー、ジェラートにしようかケーキにしようか迷う」

「ケーキは何がいいの?」

「ベイクドチーズ」
全体の半分くらいがクリームで美味そう。

「じゃあ、僕それ頼むからジェラートにしな。半分こしよう」

「うん」
凱にいちゃんやっさしー。

俺は8種の中からヘーゼルナッツとラムレーズンのジェラートを選ぶ。



嶺にいちゃんは注文したパニーニをあっという間に食べ終えた。たぶん三口。

ヘーゼルナッツのジェラートは香りと食感がいい。ラムレーズンは強いコクとお酒のかおり、その後に少しだけ苦みもある。ちょっと大人味。俺は半分ジェラートを食べると凱にいちゃんとケーキを交換する。クリームだけすくって先に口に入れる。ああ、おいしい。

視線を感じると隣にいる嶺にいちゃんが頬杖ついてこっちを見てた。

「うまい?」

「う、うん。‥何?」

「べつに。かぁわいいなあー、って見てただけ」

「うれしくないけど」

「喜ばせてねえもん、俺が喜んでるだけ」

わあ‥。俺、絶対女の子にこんな事言えない。いや、俺女じゃないけど。


「かっこいいー」
棒読みで返す。

「ん?だろ。今日は凱の日だけど、一緒に寝る?あー、もう、いい加減ヤりたい」

嶺にいちゃんの太い腕が俺の肩に回される。引き寄せないで。

嶺にいちゃんは周りに人がいるなんて全く気にせず顔を近づける。こんなとこでやめてほしい。俺は細い腕で抵抗した。


「嶺、」
ジェラートを食べ終えた凱にいちゃんがブラックコーヒーを飲みながらたしなめる。

しぶしぶ嶺にいちゃんは腕を離し、席に座り直してくれた。

ちょっと不貞腐れてる嶺にいちゃん。なんかかわいい。

俺は少し体を上に傾け、嶺にいちゃんの頬を手の甲でよしよしする。
「嶺にいちゃん、機嫌なおして」

いつもにいちゃん達にされていて、なかなか俺がこんなことすることはないから気分がいい。
思わずふふ、と笑みがこぼれた。そのちょっと勝ち誇ったような笑顔が、実は凱にいちゃんと嶺にいちゃんの胸に刺さっていた。二人は顔には出さないがきゅんとしてたんだって。

嶺にいちゃんはわずかに唇を尖らせはにかんだ。
「クソ。はやくヤりてえ」

‥黙って。周りに聞こえんじゃん。もう、失敗した。ご機嫌なんて取るんじゃなかった。

「京」
正面の凱にいちゃんが真顔でこっちを見なから頬を突き出す。

「僕にも。」



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