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翌朝、セオドアが目を覚ますとダブルのベッドの隣には瀧が居た。

目覚めから気分の悪いものを見たおかげで胸がむかむかした。決して昨日の飲み過ぎが理由では無いと自分に言い聞かせる。

セオドアはヒューのこのマンションにも何度も来ておりゲストルームに泊まるのも一度や二度では無い。


慣れた足取りで部屋に付いているシャワールームに入ると昨日の酒の余韻と汗を流した。

リビングに向かうとヒューがセオドアのために朝食を作っていた。

『おはよう、テディ。瀧はまだ寝てる?』

『知らないね。どうしてヒューじゃなくてあいつが僕の隣で寝てるんだよ』

ヒューは悪戯そうに笑うと暖かい紅茶を出す。

『私から瀧を奪ってベッドに連れ去ったのはテディだよ』

『嘘つくなよ。誰があんなの。酔っ払ってても連れ込まない』

実際、一緒のベッドで寝てとヒューにせがむセオドアに怒った瀧が代わりに自分が寝てやると言ってゲストルームのベッドに入ったのが真相だ。


テーブルにふんわりと綺麗に焼けたプレーンオムレツとカリカリのベーコン、それからベーカリーの香ばしいパンとヨーグルトが置かれるとセオドアは目を丸くした。

『これなに』

『私が作ったんだ。瀧のために料理をおぼえたんだよ』

『いつもならカフェかコンビニなのに』

今までそれこそすき焼きの卵すら割らないセオドアと日本に来るまでは似たような環境だったヒューの二人の朝食は近所のコンビニでセオドアの食事を買うか、散歩がてらカフェまで行ってヒューはカフェラテとスコーン。セオドアは紅茶とサンドイッチだった。

セオドアはヒューの変わりようにしゅんとなる。自分では決して起こせない変化を瀧は引き出すことが出来るのだ。

『だから是非とも食べてほしくて。私の長年の大切な親友に』

昨日の帰りのタクシーでのセオドアのつぶやきを憶えていたのか、ヒューはさりげなく話しながら自分用に入れたカフェラテと菓子をテーブルに置きセオドアの前に腰掛けた。

『ずるいよ、ヒュー』

関係をはっきり伝えられるが大切な親友のポジションもセオドアにとっては疎かに出来ない。
そっとオムレツにフォークを入れるとセオドアはゆっくり口にする。

『美味い』

ヒューが微笑むとカリカリのベーコンをフォークの先でつつく。

『僕も料理覚えようかな。上手になったら僕の家にも遊びに来いよ』

『もちろん』

笑顔で返すヒューの答えにセオドアは気持ちを取り戻すと片側の口の端を上げてにんまり笑った。
その表情だけでヒューはセオドアが冗談を言うのが分かる。

『そん時は瀧は抜きでヒューだけで来いよ。そんでめちゃめちゃに抱いてな』



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