きっといつかのプレイリスト

ミネ

文字の大きさ
上 下
7 / 11

7

しおりを挟む
 ネバーランドはいつ行っても賑わっている。

 恋人や友達同士、何人もで来ているグループ。みんなネバーランドで売られているキャラクターに模したカチューシャやTシャツを身につけて存分にこの空間を楽しんでいる。

 紅丸もツーサイドアップの髪飾りをキャラクターのものにした。


 パークはユニバースを選んだ。宇宙をモチーフとした建造物が立ち並び、アトラクションをいくつか乗るとパークをぶらついた。
 熀雅はスレンダーで今日もお洒落で落ち着いた服装で隣を歩く。 
 時折り優しくて少し甘い香りがふんわりと香る。香水だろうか。


 
 手を繋ぎたいな。

 美しく彩られた世界は紅丸に強くそう思わせた。熀雅は紅丸に触れたことがない。

 唇が触れそうなくらい近い距離で音楽を聴いていてもそれ以上踏み込んでくることはなかった。

 一切触れないのに、紅丸の誘いや願いは断らない。紅丸の気持ちは募るばかりだ。
 もう一歩、熀雅に踏み込みたい。踏み込んでほしい。それができる距離にいるはずなのに向こうからは決して近づいてこない。
 もどかしい思いが紅丸の心を占領している。
 


 たわいない会話をしながら食事をする。熀雅の仕草は上品でそつがない。見惚れてしまう。一緒にいられる時間がとても大切なものに思えた。

 
 プラネタリウムのアトラクションに入ると、暗闇で満天の星空がロマンチックにペアシートの二人の頭上に輝いた。

 皆が上を眺めている中、紅丸は隣の熀雅をじっと見つめ、その視線に気づいて熀雅は微笑みかけた。



「ねえ、‥‥すき」

 アトラクションのBGMにかき消されて聞こえないくらいの声で紅丸は囁いた。

 
 声は届いたのか、ささやかに笑った気配を残したあと何もなかったのように熀雅は星空を眺めた。
しおりを挟む

処理中です...