9 / 11
9
しおりを挟む
三人の男に代わる代わる組み伏せられ、腹のなかに何度も吐精された。
行為が終わると最初に体を洗ってくれた男が抱きかかえて浴室まで連れて行って綺麗に洗い流してくれた。
長い髪を乾かしてバスルームを出ると男たちはもういなかった。
服を着ると熀雅がやってきた。
「歩ける?送っていくよ」
まるで先程までしていた行為など無かったかのように口調は変わらない。
少しよろける身体を奮い立たせ紅丸は歩いた。
「わがまま言っていい?」
どこまでも美しく舗装されたハイ・シティを走る車の中で、かすれた声の紅丸がぽつりと漏らす。
「いいよ」
「コンビニ寄って」
熀雅は言われた通りコンビニで止まる。紅丸は店に入るとすぐに買い物を済ませて出てきた。
助手席に戻り熀雅に話しかける。
「時計、俺のと交換して」
熀雅はやや逡巡したが、やがて腕時計を外すと紅丸に渡した。
紅丸は細い腕に熀雅の時計を巻きつけるとポケットからコンビニで買ったマジックを出し、下手くそな腕時計を熀雅の腕に時間をかけて細部まで綿密に描いた。
触れている間中、熀雅の肌の温かさが手から伝わり泣きたくなった。
「時の進まない時計だね」
熀雅は優しく微笑む。
「ネバーランドで止まればよかった」
二人はそれ以上何も言葉を交わさず紅丸の家で別れた。
行為が終わると最初に体を洗ってくれた男が抱きかかえて浴室まで連れて行って綺麗に洗い流してくれた。
長い髪を乾かしてバスルームを出ると男たちはもういなかった。
服を着ると熀雅がやってきた。
「歩ける?送っていくよ」
まるで先程までしていた行為など無かったかのように口調は変わらない。
少しよろける身体を奮い立たせ紅丸は歩いた。
「わがまま言っていい?」
どこまでも美しく舗装されたハイ・シティを走る車の中で、かすれた声の紅丸がぽつりと漏らす。
「いいよ」
「コンビニ寄って」
熀雅は言われた通りコンビニで止まる。紅丸は店に入るとすぐに買い物を済ませて出てきた。
助手席に戻り熀雅に話しかける。
「時計、俺のと交換して」
熀雅はやや逡巡したが、やがて腕時計を外すと紅丸に渡した。
紅丸は細い腕に熀雅の時計を巻きつけるとポケットからコンビニで買ったマジックを出し、下手くそな腕時計を熀雅の腕に時間をかけて細部まで綿密に描いた。
触れている間中、熀雅の肌の温かさが手から伝わり泣きたくなった。
「時の進まない時計だね」
熀雅は優しく微笑む。
「ネバーランドで止まればよかった」
二人はそれ以上何も言葉を交わさず紅丸の家で別れた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
7
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる