82 / 1,048
第三章 闘技大会 後編
間話 私とニーメ
しおりを挟む
メリルの領域にて。
「お姉ちゃん、お水持ってきたよ」
「ありがとう、ニーメ」
「今日はね、いい材料が取れたんだ。これでまた
一歩完成に近づけるよ!」
「ニーメ、私が動けるようになるまでは、くれぐれも
危なくないようにね? あなたに何かがあったら私……」
「大丈夫だよ。それにもうじきお兄ちゃんも帰ってくるよ!」
そう。私はルインに助けられた。
あの日闘技場を出て宿屋にいる私は、変なやつらに呼び出された。
人前だし追い払おうとしたけど、あいつらは私にだけ聞こえるようにこう伝えた。
おまえの弟は預かっている。命が欲しければ幻魔神殿までついてこいと。
冷や汗が出た。
私はわざとメッセージを残すように場所の名前だけを回りに聞こえるように言い、やつらに
ついて行った。
しばらくして向かった幻魔神殿の一角に痕跡をばれないように残していたら、意識を失い
気付いたら足がなかった。
どこかの地下牢のような場所。足のない恐怖に何度も気を失ってしまった。
反対側の牢屋から喋り声が聞こえた。
そこには不思議なぬいぐるみ。
地下牢でとても気味が悪かったけど、これからの自分のことを
考えると、そんな相手でも話しているだけ気がまぎれた。
早くに両親を失いニーメと二人だけ。
食べないと生きていけないから悪いこともした。
その報いなのかもしれないわね。けどニーメだけは無事でいてほしい。
場所は宿屋の女将がきこえていたはず。
ここはよくわからない地下牢。
もしかしたら幻魔神殿じゃないのかも知れない。
私たち姉弟を拾ってくれた人たちなら、きっとあの子を助けてくれる。
私はそう信じている。
部屋の上の方が騒がしかった。誰かきたのだろうか?
もしかして……けどこんな場所に助けなんて来ないわ。
もし助かるのなら、こんな足でも頑張れるなら
救ってくれた人のために、全てを投げだそう。
扉が開いた。そして私を助けてくれたのはルインだった。
彼の顔を見て安堵した。助かるんだと。
不安と恐怖から解放され、涙が止まらなかった。怖かった。
一緒にいたぬいぐるみもどうせなら助けてあげてほしい。
そして私の意識は途絶えた。
意識を取り戻して、近くにニーメがいるのが見えた。
自分の足が無いことよりも、ニーメが生きていてくれて
本当によかった。
しばらくして意識を失っていたのか、私はニーメと共にメルザの領域にいた。
ニーメは私のために試作品の義足を作ってくれた。
今はそれを改良するために、材料を一生懸命集めてくれている。
最初は驚いていたが、今は中のいい真奈美……いえマーナと一緒に。
二人は年が近いのか、とても楽しそうに過ごしている。
早くメルザたちが帰ってこないかしら。
大会に出れなくなったから、絶解呪の書がどうなったかとても心配。
パモを助けられるだけのポイントに到達すればいいのだけれど……。
今は祈ってみんなを待つことしかできない。
動けるようになったら必ず、恩返しするからね。
「お姉ちゃん、お水持ってきたよ」
「ありがとう、ニーメ」
「今日はね、いい材料が取れたんだ。これでまた
一歩完成に近づけるよ!」
「ニーメ、私が動けるようになるまでは、くれぐれも
危なくないようにね? あなたに何かがあったら私……」
「大丈夫だよ。それにもうじきお兄ちゃんも帰ってくるよ!」
そう。私はルインに助けられた。
あの日闘技場を出て宿屋にいる私は、変なやつらに呼び出された。
人前だし追い払おうとしたけど、あいつらは私にだけ聞こえるようにこう伝えた。
おまえの弟は預かっている。命が欲しければ幻魔神殿までついてこいと。
冷や汗が出た。
私はわざとメッセージを残すように場所の名前だけを回りに聞こえるように言い、やつらに
ついて行った。
しばらくして向かった幻魔神殿の一角に痕跡をばれないように残していたら、意識を失い
気付いたら足がなかった。
どこかの地下牢のような場所。足のない恐怖に何度も気を失ってしまった。
反対側の牢屋から喋り声が聞こえた。
そこには不思議なぬいぐるみ。
地下牢でとても気味が悪かったけど、これからの自分のことを
考えると、そんな相手でも話しているだけ気がまぎれた。
早くに両親を失いニーメと二人だけ。
食べないと生きていけないから悪いこともした。
その報いなのかもしれないわね。けどニーメだけは無事でいてほしい。
場所は宿屋の女将がきこえていたはず。
ここはよくわからない地下牢。
もしかしたら幻魔神殿じゃないのかも知れない。
私たち姉弟を拾ってくれた人たちなら、きっとあの子を助けてくれる。
私はそう信じている。
部屋の上の方が騒がしかった。誰かきたのだろうか?
もしかして……けどこんな場所に助けなんて来ないわ。
もし助かるのなら、こんな足でも頑張れるなら
救ってくれた人のために、全てを投げだそう。
扉が開いた。そして私を助けてくれたのはルインだった。
彼の顔を見て安堵した。助かるんだと。
不安と恐怖から解放され、涙が止まらなかった。怖かった。
一緒にいたぬいぐるみもどうせなら助けてあげてほしい。
そして私の意識は途絶えた。
意識を取り戻して、近くにニーメがいるのが見えた。
自分の足が無いことよりも、ニーメが生きていてくれて
本当によかった。
しばらくして意識を失っていたのか、私はニーメと共にメルザの領域にいた。
ニーメは私のために試作品の義足を作ってくれた。
今はそれを改良するために、材料を一生懸命集めてくれている。
最初は驚いていたが、今は中のいい真奈美……いえマーナと一緒に。
二人は年が近いのか、とても楽しそうに過ごしている。
早くメルザたちが帰ってこないかしら。
大会に出れなくなったから、絶解呪の書がどうなったかとても心配。
パモを助けられるだけのポイントに到達すればいいのだけれど……。
今は祈ってみんなを待つことしかできない。
動けるようになったら必ず、恩返しするからね。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
93
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる