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第四部 主と共鳴せし道 第一章 闇のオーブを求め
第四百九十五話 トループ対ノーブルトループ 前半戦
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戦闘の所定位置に着くえー、ビー、シー。
相対する三人のうち二人は、確実になめてかかっている。
シーは前方中央に陣取り、軽い剣の構え。左手にアイアンソードを一本持ち、肩にかつぐ。
しかし特徴的なのは右手だった。手甲をはめているわけでもないのに、その右手は青く透き通る水の
ように形を変えていた。
「……」
「こけおどしでしょう。ただのトループですよ?」
「戦ってみればわかるじゃなーい。少しだけやる気でてきたかも」
中衛のエーは両手で槍を上空で持ち、投擲の構えをしている。
中肉中背のエーだが、重心をやや後方へ持っていくと、どこまでも飛んでいきそうな槍に見える程
美しい姿勢となった。
槍が持つ本来の恐ろしさはその射程範囲の広さ。騎馬上の槍であれば攻撃を当てるのは
弓や銃がなければ厳しく、斬撃を飛ばせないような剣術使いでは、太刀打ちするのは困難。
エーは槍が得意というだけの事はあり、どちらにも動ける姿勢を維持し、身構えている。
そして……この闘技場において最初から誰よりも冷静に分析しているのがビー。
彼は後方から一歩も動かず、身構えず、全員の動きを観察し続けていた。
身長、装備、視線、呼吸、癖に至るまでを。仲間の分も含めて。
それに気づいていたのはコーネリウスとシーだけだった。
「これは、本当にいいタイミングでいいやつに巡り合えたかもしれないな。まさかパレードでとはね」
「……あれは本当にただのトループだとでもいうのか? いや、もういい。
始めよう!」
コーネリウスは、ルインに投げたものと同様の青いコインを上空へ投げる。
それが地面に着地したと同時に戦闘開始となる。
そして―――――コインはズシーーーーーン! という重い地響きと共に地面へとめり込んだ!
「円水包玉・魔!」
シーの右手から無数の丸い水の玉が放出される。それは空中で回転しながら広がるように
エルゲンを狙い撃ちにする。
「こんな水遊びでこの俺を倒そうってのかい?」
「いいや? ただの目くらまし」
広い範囲で覆っている丸い玉が突如として真っ黒になり視界を塞いだ。
透明な水の塊と油断していたエルゲンの視界が大きく妨げられたところに、エーが
投擲した槍が貫かれる。
槍の先端を見て身をよじらせて回避するもののバランスを崩すエルゲン。
しかし右足一本で大きく後方に跳ねのけて態勢を元に戻した。
「ひゅー、やるじゃねえか。いい連携だ。まぁあたらなきゃ意味ねえけどな」
「そんなことよりあっちの奥のやつなんとかしてよ! きゃっ……噓でしょ。このあたいが
防戦一方だなんて! く……雄大なる魔の世界より這い出て力となれ……きゃっ、詠唱できない!」
「比重、軽……冷却凍結」
コーネリウスが指に所持しているうちの玉の一つをフィルミナに投げつけると、フィルミナは上空へ飛翔し始めた。
その様子を見てビーは一度射撃の手を止め様子をみつつ、シーに何かの合図を出す。
エーは再度別の槍を構え、エルゲンが突っ込んでこないように警戒をしていた。
「ちっ。あの槍野郎なかなかいい動きしてやがる」
「さっすがコーネリウスぅ。これでやっと落ち着いて術を展開できるわぁ」
「フィルミナ。貴様油断しすぎだ。そんな生易しい相手じゃないのはもういい加減わかっただろう!
この無能が!」
「ひっ……ごご、ごめんなさい。ちゃんとしますから許してください……」
凄まじく怯えた表情になる彼女だが、その隙を見逃すはずもなく、既にシーは動いていた。
高く上がったフィルミナの背後へと飛翔しており、アイアンソードの刀身部分を
打武器のように振り下ろした。
ガコリと上空から振り下ろしたアイアンソードが、フィルミナを地上へと突き落とした。
しかし地上に激突する前にフィルミナは泥と変わり、泥が集まって再びフィルミナへと戻る。
「よくもあたいに恥かかせてくれたわね。絶対に許さないわぁ!」
相対する三人のうち二人は、確実になめてかかっている。
シーは前方中央に陣取り、軽い剣の構え。左手にアイアンソードを一本持ち、肩にかつぐ。
しかし特徴的なのは右手だった。手甲をはめているわけでもないのに、その右手は青く透き通る水の
ように形を変えていた。
「……」
「こけおどしでしょう。ただのトループですよ?」
「戦ってみればわかるじゃなーい。少しだけやる気でてきたかも」
中衛のエーは両手で槍を上空で持ち、投擲の構えをしている。
中肉中背のエーだが、重心をやや後方へ持っていくと、どこまでも飛んでいきそうな槍に見える程
美しい姿勢となった。
槍が持つ本来の恐ろしさはその射程範囲の広さ。騎馬上の槍であれば攻撃を当てるのは
弓や銃がなければ厳しく、斬撃を飛ばせないような剣術使いでは、太刀打ちするのは困難。
エーは槍が得意というだけの事はあり、どちらにも動ける姿勢を維持し、身構えている。
そして……この闘技場において最初から誰よりも冷静に分析しているのがビー。
彼は後方から一歩も動かず、身構えず、全員の動きを観察し続けていた。
身長、装備、視線、呼吸、癖に至るまでを。仲間の分も含めて。
それに気づいていたのはコーネリウスとシーだけだった。
「これは、本当にいいタイミングでいいやつに巡り合えたかもしれないな。まさかパレードでとはね」
「……あれは本当にただのトループだとでもいうのか? いや、もういい。
始めよう!」
コーネリウスは、ルインに投げたものと同様の青いコインを上空へ投げる。
それが地面に着地したと同時に戦闘開始となる。
そして―――――コインはズシーーーーーン! という重い地響きと共に地面へとめり込んだ!
「円水包玉・魔!」
シーの右手から無数の丸い水の玉が放出される。それは空中で回転しながら広がるように
エルゲンを狙い撃ちにする。
「こんな水遊びでこの俺を倒そうってのかい?」
「いいや? ただの目くらまし」
広い範囲で覆っている丸い玉が突如として真っ黒になり視界を塞いだ。
透明な水の塊と油断していたエルゲンの視界が大きく妨げられたところに、エーが
投擲した槍が貫かれる。
槍の先端を見て身をよじらせて回避するもののバランスを崩すエルゲン。
しかし右足一本で大きく後方に跳ねのけて態勢を元に戻した。
「ひゅー、やるじゃねえか。いい連携だ。まぁあたらなきゃ意味ねえけどな」
「そんなことよりあっちの奥のやつなんとかしてよ! きゃっ……噓でしょ。このあたいが
防戦一方だなんて! く……雄大なる魔の世界より這い出て力となれ……きゃっ、詠唱できない!」
「比重、軽……冷却凍結」
コーネリウスが指に所持しているうちの玉の一つをフィルミナに投げつけると、フィルミナは上空へ飛翔し始めた。
その様子を見てビーは一度射撃の手を止め様子をみつつ、シーに何かの合図を出す。
エーは再度別の槍を構え、エルゲンが突っ込んでこないように警戒をしていた。
「ちっ。あの槍野郎なかなかいい動きしてやがる」
「さっすがコーネリウスぅ。これでやっと落ち着いて術を展開できるわぁ」
「フィルミナ。貴様油断しすぎだ。そんな生易しい相手じゃないのはもういい加減わかっただろう!
この無能が!」
「ひっ……ごご、ごめんなさい。ちゃんとしますから許してください……」
凄まじく怯えた表情になる彼女だが、その隙を見逃すはずもなく、既にシーは動いていた。
高く上がったフィルミナの背後へと飛翔しており、アイアンソードの刀身部分を
打武器のように振り下ろした。
ガコリと上空から振り下ろしたアイアンソードが、フィルミナを地上へと突き落とした。
しかし地上に激突する前にフィルミナは泥と変わり、泥が集まって再びフィルミナへと戻る。
「よくもあたいに恥かかせてくれたわね。絶対に許さないわぁ!」
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