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第四部 主と共鳴せし道 第一章 闇のオーブを求め

第五百二話 シフティス大陸は誰が行く?

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 シフティス大陸――――人族、獣人族、魔族、神族、魔物などが入り乱れ、絶えず争うと言われる地域。
 そこには魔王や英雄がひしめき合い、ゲンドールの世界でも一、二を争う程の強者が蔓延る場所。
 最南端の位置に属する地域が最も争いが少なく、安全と言われている。
 ルインたち一行はこの地域を目指すこととなる。

 ルインは今回の旅に向かうメンバーを集め、イネービュの話からそれぞれに偽名をつけていった。
 その後おのおのの持ち物や、レミとパモの収納を最大限に用いて準備を急ぐ。
 この二か月、死にかけながらみっちりハクレイに鍛え抜かれた。
 スキアラの許に向かったシーザー師匠もいまだ戻らず、今回の旅に向かうメンバーと
状態はこのようになった。

 ルイン封印組――――
 パモ、ファナ、サラ、ベルディア、レミニーニ、アネスタ、ドラゴントウマ、グリーンドラゴン、ターフスキアー、ホークフレイムの合計十者。

 ルイン同行者組――――
 ライラロ、ハクレイ、ブネ

 セーレ送り組――――
 スピアー、シュイールウェニオン
 
 セーレは送り届けた後帰還し、後発組みのジェネストたちを待つ。
 ルインの追加封印は腰のベルトが十、首飾りが二。
 改良中の頭部装備が間に合えば、さらに増える予定
だが、セーレ、ジェネスト、ウォーラス、レウスさんが先に到着すると、封印からあぶれてしまう可能性があるので、旧妖魔装備をパモに持たせてある。

 その他無数のアーティファクトを保有しているが、シフティス大陸では極力使用しない
ようにする他、上から羽織る隠れやすい衣服を、フォニーに製作してもらっていた。

「この二か月抜かりなく準備が出来たのは、街の人の協力あってこそだ。アルカーンさんは
いなかったけど」
「そうね。特にフォニーには感謝しないと。こんなに可愛い衣服作ってくれて」
「あんたの藍色の髪はそもそも目立たないからいいじゃないの。私の透き通るような白銀は目立つのよねぇ」
「金色の髪だからもっと目立つっしょ。でもラフな格好が一番いい」
「それ高かったんだぞ……でもフォニーにはお金以外にお礼もしっかり考えてある。気絶しそうだけど」
「ところでライラロさんはどうしたの? 見当たらないんだけど」
「凄く嫌な予感がするんだ。特に俺とファナにはトラウマがあってだな……」
「そうね。思い返したくないわ」

 連れて行きたくはない――――のだが、ハクレイ以外にもシフティス大陸に詳しい人はいて欲しい。
 特に女性が多いと女性にしかわからないこともあるだろう。
 それに置いていったら何を言われるかわかったもんじゃない。

 メルザの封印の時だって、いなくて号泣された。戻ってこなかったのはライラロさんなのに。
 本当に自由な人だ。足に羽根が生えてるんじゃなかろうか。そう思っていた時だった。

「キャーーー! お願い、支えてぇ! 落ちたら壊れる!」
「へ? うわぁー-! 神魔解放! 獣化! ……真化!」
「むぅ!? わしも手伝うぞい!」
「老師? いつの間に……」


 上空から落ちてきた大きな乗り物を二人でどうにか両腕で支え、事なきを得る。

「……てへっ」
「あなたは本当にいつもいつも! 事故らないと気が済まないんですか!?」
「ごめんなさぁい……」

 小さくなるライラロさん。しかし彼女はいくら言っても反省しないのはわかっている。
 それにしても……これは風斗車なのか? 随分と見違えるフォルムになった。
 ルシア傭兵団の乗り物、ルクシールに少し似た形状だが、それよりは大分大きい。
 重量も相当あるが、これに乗っていくつもりか? 

「ライラロさん、まさかこれに乗っていくんですか?」
「そうよ。少し操作を誤ったけど、もう大丈夫! さぁ乗って! どこまでだって行けちゃうんだから!」
「いえ、出発は明日です」
「えー、今すぐ行きましょうよー。みんな行きたがってるでしょ、ね?」
「ね? って言われても。準備は出来てるけど」
「もう行くっしょ? それならみんな呼んで来るね」

 そう言いながら、美しい金色のツインテールを靡かせ、メンバーを呼びに行くベルディア。
 今日中にハクレイ老師にお願いして、技の確認をしたかったんだけどな。

 そう、この二か月の間指導してくれたハクレイを、老師と呼んでいる。
 既に三人目の指導者にあたるのだが、ハクレイは魔王というだけあり、魔族の戦い方に
特化していた。指導内容? 吐き気がするのでやめておこう。

 そんなハクレイをちらりと見ると、ニコニコしながらベルディアを見送っていた。

「ニ本尻尾髪ッショ娘の髪は綺麗じゃのう。よい尻もしておる。お主が羨ましいわい」
「老師、どこ見てるんですかどこを! それにその呼称で思い切りぶん殴られたのをもう
お忘れか!」
「いやー、わしはよかれと思ってつけておるのじゃよ、ルンルン」
「だからその呼称はやめてください!」
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