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シロコロネの宿で一泊……のはずだったのです

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 ――そして俺たちは、道に迷いました……。

「おしまい」
「だから突然何なのよ! ……本当にどうするのよ。何も知らない町で迷子なんて、洒落に
ならないわ……」
「心細くなってきたニャ……どうすればいいニャ!?」
「こういう時こそ人に道を尋ねるべきなんだけど、人が見当たらない……」
「説明しよう! 俺たちがなぜこうなったのかを!」
「……何言ってるニャ、シロン」
「まず俺たちは御者さんに宿の場所を尋ねました。それはもう親切丁寧に教えてくれたわけですよ。
本当に。ところがですね。その道がなんと……とても入り組んでいた! そして辺りはどれもこれも
同じような真っ白な建物です。これ、間違えても当然じゃね? という造りでした。それでですね。
俺たちは全員同じポーズを取りました。首を傾げやがったんです!」
「やがったってあんたも傾げてたじゃないの」
「てへっ」
「てへじゃない! ……このままだと、野宿なの?」
「それはちょっと嫌ですぅ……」
「なんで誰もいないニャ?」
「さぁ……しらないわよそんなの」
「もしかして俺たちは既に、珍事件に巻き込まれているのでは? 犯人はきっとこの町にいます!」
「まだ何も起こってないじゃない」
「そういえばこの町がどんな町なのか、全く聞いてなかったですねぇ……どういう町なんでしょうかぁ……」
「何かダルそうね、ラフィー。あんたそんなとこで寝ないでよ」
「わかってますよぉ……でもなんか力が抜けて……」
「よし、吸血! 地雷フィーさんの体力を全て吸いつくしてやれ!」
「ひぃーん。シロンさんの意地悪ぅ!」
「体力を奪っておけば地雷は起きないニャ。なかなか考えたニャ」
「はぅ……」
「ちょっと! 私しかおぶっていく役いないのよ!」
「ファイト! サルサさんなら出来る! やれば出来る子なんだから!」
「人をダメな子みたいに言うんじゃないわよ! 後で覚えてなさいよ……」
「さて、地雷も封印したしおふざけはこの辺にしてと。そもそも道を尋ねようにも
どの家にも扉すら無いんですよね……これはそういう建物なんでしょうか?」
「でも先に行ったはずのルビーたちもいないってことは、どこかに入れる建物があるってことよね。
まずはそれを探しましょうか。幸い町の中は夜でも明るいし」
「既に冒険は始まってるニャ! 剣士ニャトルの実力、見せてやるニャ!」
「物騒だから町中で尻尾振り回すんじゃないわよ」

 全員同じ建物をグルグルグルグル回ること小一時間程。
 再び町の入り口まで戻ってきちゃいました。
 一体どうしたらいいんだろう? せっかく新しい町まで来たのに。
 
「このままじゃらちがあきません。一度クローネの町に行ってみませんか?」
「今私もそう思ったところよ。こっちの町がおかしくなってる可能性だってあるものね」
「もうお腹空いたニャ。ご飯が食べれればどっちでも構わないニャ……」
「これは匂いますね、事件の匂いがプンプンします。名探偵シロンの出番ですね」
「何か、危険な香りのする名前ニャ……」
「じゃっかあしい。三文字と最後がンって事以外危険じゃないやい!」
「何言ってるのかさっぱりだわ。お腹が空いて少し頭が回っていないようね」
「はぅ……お腹……空きましたぁ……」
「地雷源に栄養を与えると危険ですので少々お待ちください」
「はぁ……高くつくわよラフィー。しかし軽いわね……地味に胸だけ大きい癖に……」
「えぇ……サルサさんだってそこそこあるじゃないですかぁ……」
「誰がそこそこよ! 置いて行こうかしら……でもそうすると後でお金取れないし……」
「お金が運ぶ理由なんだ……さすがサルサさん……」
「それよりクローネの町の方は本当に真っ暗ニャ。ニャトルじゃないときっとよく見えないニャ」
「よし先導しろニャトルよ。今日こそお前が役に立つ番だ」
「フンニャ。シロンとは格が違うところを見せつけてやるニャ」
「いいだろう見せてみろ!」
「ちょろい……」

 ニャトルが先導して俺たちはクローネの町を目指すことになりました。
 一体宿屋はどこだったんだ……。



「町をさまよっただけで前半終わり?」
「だってぇ、宿屋がないんですもん。そんな俺たちはさまようヨロイズです」
「ヨロイズって何かしら……こんなことになるんなら、お爺さんと一緒に先に行けばよかったわ……」
「わかりませんよ。案外宿を探すのがが正しい選択って可能性も……」
「無いでしょ! どう考えても!」
「はう……」
 続くよ! 
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