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第4話
しおりを挟む2人の話から察するに、ここは孤児院もしくは教会で、
2人の女性と何人かの子供でここで暮らしているらしい・・・
そして俺は、ローラという女性に無事に保護されたというわけだ
しかし、俺を保護するときの状況が尋常ではなかったらしい
主に植物の面で
「外がうるさくて様子を見に行ったら、その子が捨てられていたんだって?」
「本当に不思議な光景だったのよ。葉っぱがボールみたいにまとまってたからなんなのかなと思って近づいたら、一枚の葉が離れてね・・・中を覗き込んだらこの子が眠っているゆりかごがあったのよ」
「へえ・・・まるで葉っぱがその子を守ってくれていたみたいね」
「そうかもしれないわね。現に、その時はひどい雨だったけどあまり濡れてなかったの。葉っぱが雨から守ってくれたのね」
優しく俺の頭を撫でるローラとほっぺをつついてくるリイルの二人の会話に
俺は何かしらの特殊能力を持っているのだろうかと思い馳せていた
「にしても、ローラがこの子を連れて戻ってきた時の光景は面白かったわ」
「しかたないでしょう!ゆりかごを持っていこうとしたら、この植物がからみついて離れなかったのよ。」
どんなに引きはがそうとして離れなくて大変だったんだからねとプンプン怒るローラと
その時のことを思い出し笑いしているのかけらけら笑いながらローラをなだめるリイル
「だから引っこ抜いて植物ごと持ってきていたのね。ローラって意外とあらっぽいところあるよね」
あの光景は面白かったなあとけらけらと笑うリイラにうるさいと怒鳴るローラ
そうなのか・・・あの植物が花瓶に生けられていたのはローラが引っこ抜いたのか
おしとやかで力仕事には全く似合わない見た目にも関わらず、意外とアクティブなのかもな・・・
ぼんやりとローラに抱き上げられながら、ボケーと二人の話題になっている植物に目を向けると
再びこちらの方に添え木がミシミシと悲鳴を上げながら、傾いてくる植物・・・
葉の手触りがよかったので、迷わず葉っぱを触る
お前は俺を見守っているみたいだな・・・
いつまでも植物って呼ぶのはかわいそうだし
何かしら名前を付けよう
そうだな・・・見守り草(みまもりそう)だから・・・略してモリソウ
よし、モリソウでいいな!
覚えやすいし
「・・・また傾いてきてるよ、この植物。添え木が弱すぎるんじゃないの?」
「そんなはずないわ。丈夫な枝を選んだはずなんだけどね。何度替えてもこの子に向かって傾いてくるのよ」
「・・・実はこの植物は知能を持っているとか?」
「そんな植物聞いたことないわよ」
「だよねえ。不思議な植物だなあ」
「元冒険者のリイルでも見たことないのならよほど珍しい植物なのかしら」
聞きなれぬ単語に思わず手を止める
冒険者ってあれだよな・・・
ゲームや漫画でよく、世界を旅して魔物を倒したりして生活している人たちのことなのか?
やはり、この世界はファンタジーな世界なのかもな?
「あ、笑ってる!かわいい~」
「ほんとね。元気になってよかったわ」
おっといかんいかん
妄想に胸を膨らませて、無意識にくふふと笑ってしまったようだ
しかし、リイルっていう人はもともとは冒険者だったのに
今はシスターに転職したのかな?
とはいえ、ところどころシスターらしからぬ言動や身なりはもともと冒険者だからなのか~
ローラは修行を積み重ねてきたシスターって感じだな
シスターという存在はこの世界で初めて会ったけどそんな感じがする
「ところでさ、本当にこの子育てるの?この子以外の子供を引き取ってるし。ただでさえ、寄付金も減ってる上にあのクソ伯爵が年貢を納めろっていうのよ!?あのクソ野郎は善意というものがないのか!!」
「リイル・・・口を口悪いわよ」
「でも、ローラだってそう思っているでしょ!?」
「それは否定できませんわね・・・」
どうやら芳しくない状況のようだ・・・
ボロボロの壁や寂れてしまったベッドで貧しいのだろうなあと
「それでも私はこの子を育てます。ご両親はこの子を愛しているでしょう・・・。でもなんらかの事情があって離れ離れにならなければならなくなった。だから、ここに託したのでしょう・・・」
「・・・なんでそう思うのよ・・・?玄関前に捨てられていたんでしょ?」
「ええ・・・。でもこのゆりかごにネックレスが添えられてました。その中にこの子の名前とメッセージが刻まれていました」
ローラは懐からポーチを取り出し、その中からとても一色銀色とシンプルだが綺麗なロケットペンダントが取り出される
リイルはローラに促されるがままロケットの中身を確認する
「確かにね・・・。しかも、かなりいい品質だし、この子を愛してたことが伝わるわ」
「でしょう?だからこそ、この子のご両親のためにも立派に育て上げる・・・これも、神のよって課せられた試練なのですわ!」
「ローラ一度決めたら絶対曲げないもんね・・・。わかったよ。私も協力するよ」
「ありがとう・・・。・・・フフ」
やれやれと肩をすくめたリイルにローラは微笑ましく笑う
「・・・何よ?」
「初めから、手伝うつもりだったんでしょう?素直じゃないんだから」
「う、うるさいわね!あんたがどうしてもっていうんだから、仕方なくよ!それに、その子がどっかで野垂れ死んだら、寝覚めが悪いしね」
「はいはい。そういうことにしときます」
どうやら、リイルはローラにはかなわないようだな
見た目に似合わず意外と優しい人なんだな
ぼんやりと二人のやり取りを眺めていたら、赤ちゃんの体質のせいか
強烈な眠気に襲われ、ウトウトし始める
それに気づいてくれたのか、ローラがベッドに戻してくれる
そのあと、ロケットの中身を俺に見せるように目の前に持ってくる
確かに文字が刻まれていたが、日本語ではないため読めずにいた
「見えるかしら・・・?クラルテ。これがあなたの名前よ」
「これからは私たちが家族だからね。立派に育ちなさいよ」
「クラルテ・・・。あなたの未来に幸あらんことを・・・」
俺は二人に見守られながら、心地よい眠気に身を任せた・・・
必ず二人に恩を返そうと小さく胸に秘めながら・・・・
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