11 / 33
第1章 再会
4 聖獣様の来訪 -3-
しおりを挟む
(ナディア目線)
騒ぎを聞きつけた騎士達が部屋に集まる。私は騎士達を制すると伸びたジャンとサーヤを運ぶように命ずる。
「大丈夫よ、彼は危険ではないわ」
騎士達に剣を納めるように指示を出し、ピピに服を用意するように侍女に命ずる。
騒ぎになったことを反省したピピはシーツに包まりしょんぼりする。そんな姿が可哀想で大丈夫だからと頭を撫でて上げると、ピピはぱあっと嬉しそうに顔を綻ばせた。
——可愛いわね…
「姫様、危のうございます!こちらへ」
年長護衛騎士リラジがピピを睨みつけ、私を説得する。
「リラジはいつも五月蝿いだよ」
ピピが不満気に言うとリラジが何故我が名を知っているんだと驚いたようにピピを見た。
「リラジ…私が飼っていたピピを覚えている?」
「は、はい」
「どうやら生まれ変わって私のところに帰ってきてくれたみたい」
「まさか?!」
「ジャンのことも知ってたみたいだし」
「俺はお前達の事、知ってるぞ!
おまえはお菓子好きのロビン、おまえは女好きのバロンだろ、いつも寡黙なマーク、さっき気絶したのはサーヤだろ~、あとアイツは摘み食いし過ぎで太ってるミランダ、さっきいたアニーはマークの妹だってナディアから聞いた」
ピピはニカっと笑うと騎士と侍女達の名と特徴を言い当て、皆驚きの余り口をポカンと開きながら私を見た。
「?!」
私は確かにピピに騎士と侍女達の話を面白おかしく話をしたことが発覚した為、気まずくなり俯く。
「やっぱり、逃げた鳥のピピ??」
私の様子から真実だと察した皆が騒つくとピピは嬉しそうに立ち上がる。
「俺の名はピピじゃないぞ、
ガルダナだ!!
悪いことをして神様に力を封印をされてか弱い鳥にされたんだ!
そして、封印をナディア解いてくれたんだ。
ガルダナは嬉しそうに手をモジモジさせながら私を見る。
「ありがとう、ナディア」
「わ、私が封印を解いたの??」
「あぁ、そうだ。俺は天空の神カーラ様に仕える聖獣ガルダナ様だ!俺は偉いのだ!さぁ、皆、俺を敬え!!」
ガルダナは一瞬にして巨大な紅色の鷹へと変化し、キィエーッと鳴き叫び、炎を吐いた。
「キャアーッ!」
ピピの服を用意した侍女のアニーは突然現れた鷹の姿に驚き気絶する。護衛騎士達も一瞬怯んだが一斉に剣を抜き、巨大な怪物に身構えた。
再び人間の姿に戻ったガルダナは紅色の髪をぽりぽりと掻くと「驚かせてごめん」と舌を出して笑う。
「この姿はカーラ様をお乗せする時に変化するんだ!」
「カーラ様……」
我が国をお守り下さる守護神様の名だ。そして、カーラ様をお守りする炎を吐く伝説の聖獣がいると御伽話で聞いたことがある。
「聖獣様……」
私はぽつりとガルダナ様の名前を呟く。
「聖獣様じゃなくてガルダナと呼べ、ナディア」
とガルダナ様は気恥ずかしいなるような熱い眼差しを送って下さる。その眼差しは私を愛おしいそうに見つめているようだ。
「ガルダナ…様」
「そうだ!ナディア!
おまえのガルダナだ!」
満悦の笑みを見せたガルダナ様はまるで太陽のように神々しく見えた。
騒ぎを聞きつけた騎士達が部屋に集まる。私は騎士達を制すると伸びたジャンとサーヤを運ぶように命ずる。
「大丈夫よ、彼は危険ではないわ」
騎士達に剣を納めるように指示を出し、ピピに服を用意するように侍女に命ずる。
騒ぎになったことを反省したピピはシーツに包まりしょんぼりする。そんな姿が可哀想で大丈夫だからと頭を撫でて上げると、ピピはぱあっと嬉しそうに顔を綻ばせた。
——可愛いわね…
「姫様、危のうございます!こちらへ」
年長護衛騎士リラジがピピを睨みつけ、私を説得する。
「リラジはいつも五月蝿いだよ」
ピピが不満気に言うとリラジが何故我が名を知っているんだと驚いたようにピピを見た。
「リラジ…私が飼っていたピピを覚えている?」
「は、はい」
「どうやら生まれ変わって私のところに帰ってきてくれたみたい」
「まさか?!」
「ジャンのことも知ってたみたいだし」
「俺はお前達の事、知ってるぞ!
おまえはお菓子好きのロビン、おまえは女好きのバロンだろ、いつも寡黙なマーク、さっき気絶したのはサーヤだろ~、あとアイツは摘み食いし過ぎで太ってるミランダ、さっきいたアニーはマークの妹だってナディアから聞いた」
ピピはニカっと笑うと騎士と侍女達の名と特徴を言い当て、皆驚きの余り口をポカンと開きながら私を見た。
「?!」
私は確かにピピに騎士と侍女達の話を面白おかしく話をしたことが発覚した為、気まずくなり俯く。
「やっぱり、逃げた鳥のピピ??」
私の様子から真実だと察した皆が騒つくとピピは嬉しそうに立ち上がる。
「俺の名はピピじゃないぞ、
ガルダナだ!!
悪いことをして神様に力を封印をされてか弱い鳥にされたんだ!
そして、封印をナディア解いてくれたんだ。
ガルダナは嬉しそうに手をモジモジさせながら私を見る。
「ありがとう、ナディア」
「わ、私が封印を解いたの??」
「あぁ、そうだ。俺は天空の神カーラ様に仕える聖獣ガルダナ様だ!俺は偉いのだ!さぁ、皆、俺を敬え!!」
ガルダナは一瞬にして巨大な紅色の鷹へと変化し、キィエーッと鳴き叫び、炎を吐いた。
「キャアーッ!」
ピピの服を用意した侍女のアニーは突然現れた鷹の姿に驚き気絶する。護衛騎士達も一瞬怯んだが一斉に剣を抜き、巨大な怪物に身構えた。
再び人間の姿に戻ったガルダナは紅色の髪をぽりぽりと掻くと「驚かせてごめん」と舌を出して笑う。
「この姿はカーラ様をお乗せする時に変化するんだ!」
「カーラ様……」
我が国をお守り下さる守護神様の名だ。そして、カーラ様をお守りする炎を吐く伝説の聖獣がいると御伽話で聞いたことがある。
「聖獣様……」
私はぽつりとガルダナ様の名前を呟く。
「聖獣様じゃなくてガルダナと呼べ、ナディア」
とガルダナ様は気恥ずかしいなるような熱い眼差しを送って下さる。その眼差しは私を愛おしいそうに見つめているようだ。
「ガルダナ…様」
「そうだ!ナディア!
おまえのガルダナだ!」
満悦の笑みを見せたガルダナ様はまるで太陽のように神々しく見えた。
0
あなたにおすすめの小説
一般人になりたい成り行き聖女と一枚上手な腹黒王弟殿下の攻防につき
tanuTa
恋愛
よく通っている図書館にいたはずの相楽小春(20)は、気づくと見知らぬ場所に立っていた。
いわゆるよくある『異世界転移もの』とかいうやつだ。聖女やら勇者やらチート的な力を使って世界を救うみたいな。
ただ1つ、よくある召喚ものとは異例な点がそこにはあった。
何故か召喚された聖女は小春を含め3人もいたのだ。
成り行き上取り残された小春は、その場にはいなかった王弟殿下の元へ連れて行かれることになるのだが……。
聖女召喚にはどうも裏があるらしく、小春は巻き込まれる前にさっさと一般人になるべく画策するが、一筋縄では行かなかった。
そして。
「──俺はね、聖女は要らないんだ」
王弟殿下であるリュカは、誰もが魅了されそうな柔和で甘い笑顔を浮かべて、淡々と告げるのだった。
これはめんどくさがりな訳あり聖女(仮)と策士でハイスペック(腹黒気味)な王弟殿下の利害関係から始まる、とある異世界での話。
1章完結。2章不定期更新。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
婚約破棄したら食べられました(物理)
かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。
婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。
そんな日々が日常と化していたある日
リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる
グロは無し
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる