孤独な聖獣は愛しき王女の為に舞い戻る!!

京極冨蘭

文字の大きさ
21 / 33
第2章 旅立ち

2 孤児院への来訪-1-

しおりを挟む
 ナディアは16歳となり、この国では成人と見做されるそうだ。
 後継者であるナディアは国を支える女王として積極的に公務を行い、国民から慕われる主君へと成長せねばならないのだ。

「おまえが現れなければ、数多くの公務を務めていらっしゃたはずなのに、おまえのせいでッ」
と港町ポルトへ移動中にジャンが俺に絡んでくる。俺の出現で王は国の安全性を疑問視し、安全だと確信が得れるまで公務を控えさせていたのだ。

「あーだ、こーだ、うるさいだよ、おまえ達が強かったらすぐに外に出れたよ。おまえが弱いから悪いんだろ~」

「なんだとぉーっ!!!」

「やめんかーッ!!」
後方で護衛をしていたリラジが俺達の間に入ってくる。

「馬鹿者め!移動中に揉める奴があるかッ!馬に乗っている時は危険を伴うとあれ程話しただろうがーッ」

「しかし!」
「だってコイツがッ」
俺とジャンの声が被さり、再び互いに睨み合う。

「おまえ達の役目は姫様を守ることだ!喧嘩は城に戻ってからにしろッ!」

俺とジャンは渋々承諾し、崩した隊列を
整える。ふと、ナディアは馬車を見るとナディアは不安そうに俺を見ていた。

——すまない、ナディア

俺はおまえを必ず守ると決めたんだ。おまえを見失ってしまったあの日から、今度こそ絶対におまえを見失ったりしないと……


◇◇◇

 馬車内では侍女サーヤが憧れの騎士ジャンを見つけ、ナディアに報告していた。

「姫様!ジャン殿とガルダナ様がお話されていますわ」

ナディアは馬車のカーテンをすばやく開けるとガルダナの姿を見つけると頬を弛めた。

「まぁ、本当ね」

「見た目麗しい殿方の騎士姿は見応えございますわ~」

「わかるわ、ガルダナ様は鳥の姿は本当に可愛らしいて、人の姿になられたら騎士姿も似合っていらっしゃるし、本当に素敵だわ……
キャッ…サーヤ、どうしましょう、ガルダナ様がこちらをご覧になられたわ…手を振った方がいいかしら?ねぇ、どう思う?ねぇったら」

「……まもなく孤児院に到着でございます。気を引き締め下さいませ」

「む~、言い始めたのはサーヤなのに」

 そして。ナディア姫を乗せた馬車はポルト郊外にある孤児院へと到着した。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

一般人になりたい成り行き聖女と一枚上手な腹黒王弟殿下の攻防につき

tanuTa
恋愛
 よく通っている図書館にいたはずの相楽小春(20)は、気づくと見知らぬ場所に立っていた。  いわゆるよくある『異世界転移もの』とかいうやつだ。聖女やら勇者やらチート的な力を使って世界を救うみたいな。  ただ1つ、よくある召喚ものとは異例な点がそこにはあった。  何故か召喚された聖女は小春を含め3人もいたのだ。  成り行き上取り残された小春は、その場にはいなかった王弟殿下の元へ連れて行かれることになるのだが……。  聖女召喚にはどうも裏があるらしく、小春は巻き込まれる前にさっさと一般人になるべく画策するが、一筋縄では行かなかった。  そして。 「──俺はね、聖女は要らないんだ」  王弟殿下であるリュカは、誰もが魅了されそうな柔和で甘い笑顔を浮かべて、淡々と告げるのだった。        これはめんどくさがりな訳あり聖女(仮)と策士でハイスペック(腹黒気味)な王弟殿下の利害関係から始まる、とある異世界での話。  1章完結。2章不定期更新。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

処理中です...