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第2章 旅立ち
7 すれちがい-1-
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俺は港上空を旋回し、怪しい場所がないか飛び回る。
一新された港町は人々で溢れ返り、みな珍しい一品を手に入れようと必死だ。
「他国の品が簡単に手に入るなんて、我が国は本当に恵まれているな」
「あぁ、王様のおかげだ。なんと御息女の王女様が高級店街の開店のセレモニーに来るらしいぞ」
「美しいと噂の未来の女王に会えるのか??」
「あぁ!!遠くからでも見に行こう」
と商人達はナディアを一目見ようと高級店街へと向かって歩いている。
俺も商人達の後を追う、高級店街のセレモニー会場には孤児院から移動したナディアの姿が見えた。堂々とした姿に皆、美しいと褒め称える言葉が聞こえる。ナディアの横には彼女の身を守るために護衛騎士のジャン達が脇を固めていた。
——俺がいなくてもいいのか?
先程、彼女から放たれた言葉を思い出し胸がチクリと痛む。
——俺はナディアを救いたいだけなのに
「ピー……」
俺はセレモニー会場から離れ人々の流れを眺めながら溜息を吐くと下から男達の話が聞こえて来た。
「おまえ、本当に北の国へ行くのか??ならず者が暴れて荒れて大変だと聞くぞ」
「大丈夫、大丈夫!ならず者達は新しい国を立ち上げるために頑張っているだ、人が足りないらしく傭兵として一稼ぎできるんだ」
「本当か??」
「あぁ、報酬が良いんだ、金ができたら親の病気も治してやれるから行ってくるよ」
「……絶対帰ってこいよ」
「もちろんさ、心配するなよ」
酒場で若い男達が酒盛りをしながら別れの挨拶をしていた。北からの船に乗り込み、働きに向かうようだ。
酒場に新たな客が入って来た。
——アイツらは?!
よく見ると先程、船で見かけ、髪を染め上げた男達だった。俺は話を盗み聞きしようと男達のテーブル下に飛び降りる。
「武器の積込みが終われば、再び北か」
「まったくだ、良い酒もお預けだ」
「傭兵希望者は揃ったか?」
——傭兵??
若い男も北の国へ行くと話をしていた。どうやら戦力を集めようとしているようだ。
「まだ、足りない、近郊の村々から騙して連れてくるそうだ」
「おや、可哀想に捨て駒なのに…」
「おい、聞こえぞ…コソ、コソコソ…」
声を小さく話を始めたので、俺はアイツらに近づく。
パサッ、パサッ
「おい!テーブルの下に鳥がいるぞ、誰か酒場から追い出せ!」
俺に気づいた客が大きな声を上げて叫ぶ。
——しまった?!
皆、箒や棒を振り回し、窓へ追い出そうと俺に向かってくる。
「ピーッ、ピーッ!!」
俺は棒を避けると窓から逃げだした。
——この、ガルダナ様を殴ろとする
とは?!人間の癖に許せん!!
俺は慌てて上空へ舞い上がると逃げ出した孤児院へと舞い戻っていた。眼下には先程、歌を歌っていた子供達が何かしらの訓練を受けているようだった。
カン、カン、カン
幼い子達は木刀を握らされ、互いに打ち合いをしていたのだった。そして、各々が掛け声を出しながら剣を振っている。
「「「⚪︎△✖︎ □ーー」」」
この国の言語ではない掛け声だったが、俺には何を話しているかわかった。
戦闘訓練……
この異様な光景を目にした俺は北の国の陰謀を確信せざるを得なかった。
一新された港町は人々で溢れ返り、みな珍しい一品を手に入れようと必死だ。
「他国の品が簡単に手に入るなんて、我が国は本当に恵まれているな」
「あぁ、王様のおかげだ。なんと御息女の王女様が高級店街の開店のセレモニーに来るらしいぞ」
「美しいと噂の未来の女王に会えるのか??」
「あぁ!!遠くからでも見に行こう」
と商人達はナディアを一目見ようと高級店街へと向かって歩いている。
俺も商人達の後を追う、高級店街のセレモニー会場には孤児院から移動したナディアの姿が見えた。堂々とした姿に皆、美しいと褒め称える言葉が聞こえる。ナディアの横には彼女の身を守るために護衛騎士のジャン達が脇を固めていた。
——俺がいなくてもいいのか?
先程、彼女から放たれた言葉を思い出し胸がチクリと痛む。
——俺はナディアを救いたいだけなのに
「ピー……」
俺はセレモニー会場から離れ人々の流れを眺めながら溜息を吐くと下から男達の話が聞こえて来た。
「おまえ、本当に北の国へ行くのか??ならず者が暴れて荒れて大変だと聞くぞ」
「大丈夫、大丈夫!ならず者達は新しい国を立ち上げるために頑張っているだ、人が足りないらしく傭兵として一稼ぎできるんだ」
「本当か??」
「あぁ、報酬が良いんだ、金ができたら親の病気も治してやれるから行ってくるよ」
「……絶対帰ってこいよ」
「もちろんさ、心配するなよ」
酒場で若い男達が酒盛りをしながら別れの挨拶をしていた。北からの船に乗り込み、働きに向かうようだ。
酒場に新たな客が入って来た。
——アイツらは?!
よく見ると先程、船で見かけ、髪を染め上げた男達だった。俺は話を盗み聞きしようと男達のテーブル下に飛び降りる。
「武器の積込みが終われば、再び北か」
「まったくだ、良い酒もお預けだ」
「傭兵希望者は揃ったか?」
——傭兵??
若い男も北の国へ行くと話をしていた。どうやら戦力を集めようとしているようだ。
「まだ、足りない、近郊の村々から騙して連れてくるそうだ」
「おや、可哀想に捨て駒なのに…」
「おい、聞こえぞ…コソ、コソコソ…」
声を小さく話を始めたので、俺はアイツらに近づく。
パサッ、パサッ
「おい!テーブルの下に鳥がいるぞ、誰か酒場から追い出せ!」
俺に気づいた客が大きな声を上げて叫ぶ。
——しまった?!
皆、箒や棒を振り回し、窓へ追い出そうと俺に向かってくる。
「ピーッ、ピーッ!!」
俺は棒を避けると窓から逃げだした。
——この、ガルダナ様を殴ろとする
とは?!人間の癖に許せん!!
俺は慌てて上空へ舞い上がると逃げ出した孤児院へと舞い戻っていた。眼下には先程、歌を歌っていた子供達が何かしらの訓練を受けているようだった。
カン、カン、カン
幼い子達は木刀を握らされ、互いに打ち合いをしていたのだった。そして、各々が掛け声を出しながら剣を振っている。
「「「⚪︎△✖︎ □ーー」」」
この国の言語ではない掛け声だったが、俺には何を話しているかわかった。
戦闘訓練……
この異様な光景を目にした俺は北の国の陰謀を確信せざるを得なかった。
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