孤独な聖獣は愛しき王女の為に舞い戻る!!

京極冨蘭

文字の大きさ
27 / 33
第2章 旅立ち

8 すれちがい-2-

しおりを挟む
「ピッ、ピッ(服はどこだ)」

孤児院の近くの森の中に入り、木の枝に止まると脱ぎ捨てた服を探す。木影から服らしき物を見つけ飛んで行くとその場所にはリラジが服を持って立っていた。

「ガルダナ、こっちだ!」

俺はリラジの元へ飛び降りと、鳥から人の姿に戻る。

「リラジどうしてここに?」

「おまえを追いかけたら海へ飛んで行ったり、待っていたら港町を戻ってきただろう、ようやく追いついたと思えば孤児院に飛んで行くからさぁ~、心配したんだぞ!」

「心配?」

「大好きな姫さんにキツイ一言で傷ついたんだろ」

「ムッ!!」

「しかし、ガルダナのおかげでこんな光景を拝めるとはな、夕刻から子供に剣を持たすなんて正気の沙汰じゃない」

「俺が敵の城で見た男達は皆、銀髪で翠色の瞳を持っていた…」

俺が話すとリラジはそうかと頷く。

「海へ出た時に北からの船を見つけたんだ、船員の銀髪の男達が黒に髪を染め上げ、入国していた」

「なんだと?!わざわざ髪を染め上げてるんだ?まさか敵国の者が潜伏するために身を隠しているのか…」

俺が前世で城に舞い戻った時、この国の騎士達は殺され、銀髪の兵士が占領していたことを思い出す。

「どうしてわざわざ黒髪に染めるんだ?銀髪のままじゃ駄目なのか?」

リラジは自分の髪を眺めながら考えこんでいた。

「この国では銀髪は目立つんだろう。もしかすると相当な数の北の奴等がいるかもしれないぜ、リラジ」

「あり得るな、ガルダナ、我々を油断させ水面下で計画しているのか…」

リラジは顎髭に手をやりながら深刻な表情で考え込む。

「酒場で若い男が金目当てで傭兵になる為に北の国へ行くと話していたぞ」

「なんだと?!国民は我が国から出ることは許されてないぞ?!」

リラジは頭を抱えながら、
「戦力の若者を外部に出す作戦なのか……
 敵からの襲撃は時期を覚えているか?」

「確か後4、5回冬の季節が巡っていたような」

「4、5年後に占領されるかもしれないのか、クソッ」

リラジは人間の姿に戻った俺に服を着せると家に帰るように言った。

「なんでだよ、この話をナディアにしなければ?!」

「孤児院での騒動で周りがうるさいんだ、なにせ子供に手をあげようとしたんだぞ」

「あれは!!」

「落ちつけ!自身の家臣を制することも出来ないとなるとナディア様の威厳に関わる」

「ウッッ!」

「隊長からはナディア様の側使えの任を外すよう命じらた。ガルダナ、おまえも少し頭を冷やせ」

「どうしてだよ!!俺じゃないとナディアを守れない!!」

「おまえが暴れてもおまえの存在を敵に知らせるだけだ、俺達は敵の存在すらしらないんだぞ、まずは敵について知ることが重要だ」

「敵を知る…」

リラジは少し考えこむと顔を上げた。

「ガルダナ……リリーに旅支度をするように伝えてくれ、俺は城に戻り、このことを説明しに行く」

「わかったよ…」

俺はリラジが何か考えがあるのだと悟ると渋々、リリーがいる家に戻ることにした。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜

具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです 転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!? 肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!? その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。 そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。 前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、 「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。 「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」 己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、 結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──! 「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」 でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……! アホの子が無自覚に世界を救う、 価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

花嫁召喚 〜異世界で始まる一妻多夫の婚活記〜

文月・F・アキオ
恋愛
婚活に行き詰まっていた桜井美琴(23)は、ある日突然異世界へ召喚される。そこは女性が複数の夫を迎える“一妻多夫制”の国。 花嫁として召喚された美琴は、生きるために結婚しなければならなかった。 堅実な兵士、まとめ上手な書記官、温和な医師、おしゃべりな商人、寡黙な狩人、心優しい吟遊詩人、几帳面な官僚――多彩な男性たちとの出会いが、美琴の未来を大きく動かしていく。 帰れない現実と新たな絆の狭間で、彼女が選ぶ道とは? 異世界婚活ファンタジー、開幕。

なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた

いに。
恋愛
"佐久良 麗" これが私の名前。 名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。 両親は他界 好きなものも特にない 将来の夢なんてない 好きな人なんてもっといない 本当になにも持っていない。 0(れい)な人間。 これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。 そんな人生だったはずだ。 「ここ、、どこ?」 瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。 _______________.... 「レイ、何をしている早くいくぞ」 「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」 「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」 「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」 えっと……? なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう? ※ただ主人公が愛でられる物語です ※シリアスたまにあり ※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です ※ど素人作品です、温かい目で見てください どうぞよろしくお願いします。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

処理中です...