31 / 33
第3章 北の国 クレイロック
2 北国への入り口
しおりを挟む
ガルダナとリラジは王国を離れ、傭兵希望の親子に扮して北の国へと向かっていた。穏やかな南の海に比べて、北に向かう海は荒れていた。
激しい揺れの中、王国を出た若者達、大半が船酔いにあい、船内で苦しんでいる。
「おまえ、聖獣なんだろ…」
リラジは涙目で横たわるガルダナの背中を摩ってやる。
「だから、鳥になって空を飛んできたら良くなるって言ってるだろっ、おっえっ~~」
「馬鹿、正体がバレるだろ、パンでも食べるか?」
「いるか!!」
大半の若者達は船酔いで横たわる姿を見たリラジはこんなに弱ければ傭兵として使えないのではないかと呆れてしまう。この弱々しい若人達の姿を見るとあっさり国が滅亡したと聞かされた未来も納得してしまうのだ。
「帰ったら本腰いれて改革だな」
「何の改革?」
「おまえは寝てろ、ねんねんころりーよ~」
とリラジが歌いだすと寝ている若者達はうるさいと怒り出した。
「親父、歌下手」
「心配してやったのに、もういい」
リラジは気分を悪くすると甲板の上がり、海の様子を見に行った。
相変わらず海は荒れており、白波が立つのが見える。しかし、奥の方角を見ると陸地の姿が現れた。
「まもなく到着だー!」
同時に船員が大声で叫ぶと船酔いで苦しんでいた若者達から歓声が上がる。
「助かったー、ようやく陸だ」
ガルダナの横で苦しんでいた青年、ディアンは横になっていた身体を起こした。
「本当に助かったよ、ようやく飯が美味く食べれる」
「本当だよ、さっき看病してくれた人は?」
「お、親父!」
「君のお父さん優しいね、ずっと看病してくれてたね、一緒に来れて羨ましいな」
青年、ディアンは一瞬哀しそう表情したがガルダナに笑いかけた。
「あぁ、親父がいてくれて頼もしいよ、おまえ、顔、青いぞ?大丈夫か?
「大丈夫じゃないよ、吐きすぎて死にそう」
「俺も。腹減るから食べたら吐くだろ、もう最悪だよ」
「君…凄いよ、僕は食欲なんてない」
「腹減るだろ??」
「減らないよ……あはは、君なんだか面白いね、ちょっと元気でたよ。僕はディアン、君の名は?」
「俺、ガルダナ」
よろしくと二人は握手を交わしていると船は戦場がある北国アルカへと到着したのだ。
激しい揺れの中、王国を出た若者達、大半が船酔いにあい、船内で苦しんでいる。
「おまえ、聖獣なんだろ…」
リラジは涙目で横たわるガルダナの背中を摩ってやる。
「だから、鳥になって空を飛んできたら良くなるって言ってるだろっ、おっえっ~~」
「馬鹿、正体がバレるだろ、パンでも食べるか?」
「いるか!!」
大半の若者達は船酔いで横たわる姿を見たリラジはこんなに弱ければ傭兵として使えないのではないかと呆れてしまう。この弱々しい若人達の姿を見るとあっさり国が滅亡したと聞かされた未来も納得してしまうのだ。
「帰ったら本腰いれて改革だな」
「何の改革?」
「おまえは寝てろ、ねんねんころりーよ~」
とリラジが歌いだすと寝ている若者達はうるさいと怒り出した。
「親父、歌下手」
「心配してやったのに、もういい」
リラジは気分を悪くすると甲板の上がり、海の様子を見に行った。
相変わらず海は荒れており、白波が立つのが見える。しかし、奥の方角を見ると陸地の姿が現れた。
「まもなく到着だー!」
同時に船員が大声で叫ぶと船酔いで苦しんでいた若者達から歓声が上がる。
「助かったー、ようやく陸だ」
ガルダナの横で苦しんでいた青年、ディアンは横になっていた身体を起こした。
「本当に助かったよ、ようやく飯が美味く食べれる」
「本当だよ、さっき看病してくれた人は?」
「お、親父!」
「君のお父さん優しいね、ずっと看病してくれてたね、一緒に来れて羨ましいな」
青年、ディアンは一瞬哀しそう表情したがガルダナに笑いかけた。
「あぁ、親父がいてくれて頼もしいよ、おまえ、顔、青いぞ?大丈夫か?
「大丈夫じゃないよ、吐きすぎて死にそう」
「俺も。腹減るから食べたら吐くだろ、もう最悪だよ」
「君…凄いよ、僕は食欲なんてない」
「腹減るだろ??」
「減らないよ……あはは、君なんだか面白いね、ちょっと元気でたよ。僕はディアン、君の名は?」
「俺、ガルダナ」
よろしくと二人は握手を交わしていると船は戦場がある北国アルカへと到着したのだ。
0
あなたにおすすめの小説
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
花嫁召喚 〜異世界で始まる一妻多夫の婚活記〜
文月・F・アキオ
恋愛
婚活に行き詰まっていた桜井美琴(23)は、ある日突然異世界へ召喚される。そこは女性が複数の夫を迎える“一妻多夫制”の国。
花嫁として召喚された美琴は、生きるために結婚しなければならなかった。
堅実な兵士、まとめ上手な書記官、温和な医師、おしゃべりな商人、寡黙な狩人、心優しい吟遊詩人、几帳面な官僚――多彩な男性たちとの出会いが、美琴の未来を大きく動かしていく。
帰れない現実と新たな絆の狭間で、彼女が選ぶ道とは?
異世界婚活ファンタジー、開幕。
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
一般人になりたい成り行き聖女と一枚上手な腹黒王弟殿下の攻防につき
tanuTa
恋愛
よく通っている図書館にいたはずの相楽小春(20)は、気づくと見知らぬ場所に立っていた。
いわゆるよくある『異世界転移もの』とかいうやつだ。聖女やら勇者やらチート的な力を使って世界を救うみたいな。
ただ1つ、よくある召喚ものとは異例な点がそこにはあった。
何故か召喚された聖女は小春を含め3人もいたのだ。
成り行き上取り残された小春は、その場にはいなかった王弟殿下の元へ連れて行かれることになるのだが……。
聖女召喚にはどうも裏があるらしく、小春は巻き込まれる前にさっさと一般人になるべく画策するが、一筋縄では行かなかった。
そして。
「──俺はね、聖女は要らないんだ」
王弟殿下であるリュカは、誰もが魅了されそうな柔和で甘い笑顔を浮かべて、淡々と告げるのだった。
これはめんどくさがりな訳あり聖女(仮)と策士でハイスペック(腹黒気味)な王弟殿下の利害関係から始まる、とある異世界での話。
1章完結。2章不定期更新。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる