孤独な聖獣は愛しき王女の為に舞い戻る!!

京極冨蘭

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第3章 北の国 クレイロック

2 北国への入り口

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 ガルダナとリラジは王国を離れ、傭兵希望の親子に扮して北の国へと向かっていた。穏やかな南の海に比べて、北に向かう海は荒れていた。
 激しい揺れの中、王国を出た若者達、大半が船酔いにあい、船内で苦しんでいる。

「おまえ、聖獣なんだろ…」
リラジは涙目で横たわるガルダナの背中を摩ってやる。

「だから、鳥になって空を飛んできたら良くなるって言ってるだろっ、おっえっ~~」

「馬鹿、正体がバレるだろ、パンでも食べるか?」

「いるか!!」

 大半の若者達は船酔いで横たわる姿を見たリラジはこんなに弱ければ傭兵として使えないのではないかと呆れてしまう。この弱々しい若人達の姿を見るとあっさり国が滅亡したと聞かされた未来も納得してしまうのだ。

「帰ったら本腰いれて改革だな」

「何の改革?」

「おまえは寝てろ、ねんねんころりーよ~」
とリラジが歌いだすと寝ている若者達はうるさいと怒り出した。

「親父、歌下手」

「心配してやったのに、もういい」
リラジは気分を悪くすると甲板の上がり、海の様子を見に行った。

 相変わらず海は荒れており、白波が立つのが見える。しかし、奥の方角を見ると陸地の姿が現れた。

「まもなく到着だー!」
同時に船員が大声で叫ぶと船酔いで苦しんでいた若者達から歓声が上がる。

「助かったー、ようやく陸だ」

ガルダナの横で苦しんでいた青年、ディアンは横になっていた身体を起こした。

「本当に助かったよ、ようやく飯が美味く食べれる」

「本当だよ、さっき看病してくれた人は?」

「お、親父!」

「君のお父さん優しいね、ずっと看病してくれてたね、一緒に来れて羨ましいな」
青年、ディアンは一瞬哀しそう表情したがガルダナに笑いかけた。

「あぁ、親父がいてくれて頼もしいよ、おまえ、顔、青いぞ?大丈夫か?

「大丈夫じゃないよ、吐きすぎて死にそう」

「俺も。腹減るから食べたら吐くだろ、もう最悪だよ」  

「君…凄いよ、僕は食欲なんてない」

「腹減るだろ??」

「減らないよ……あはは、君なんだか面白いね、ちょっと元気でたよ。僕はディアン、君の名は?」

「俺、ガルダナ」

よろしくと二人は握手を交わしていると船は戦場がある北国アルカへと到着したのだ。



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