孤独な聖獣は愛しき王女の為に舞い戻る！！

第3章 北の国 クレイロック

1 突然の別れ

（ナディア目線）

——ナディア…
　　しばらく別れだ
　　俺はおまえを必ず守ると誓った
　　傍でおまえを守ることはできないが　　　
　　必ず敵を倒しておまえが安心して暮
　　らせるようにする　
　　おまえが女王としてこの国を立派に
　　治めれるように……

　　じゃあな、ナディア…


　　
　太陽の日差しが窓から入り、ナディアは朝の訪れを察すると自然に目が覚めた。
　夢の中でガルダナがナディアの艶のある桃色のナディアの一房の髪に触れながら耳元で囁いた光景を思い出す。

「キャッ…ガルダナ様が～～」

　ナディアはすぐに昨日の出来事を思い出すと顔を曇らせた。あの場を収めるためにはガルダナに対して毅然な態度を取るしか方法がなかったのだ。すぐに謝罪をしようと思ったが、城に戻るまでガルダナの姿が見えず、不安なままで床についたのだ。

「昨日のこと、すぐにガルダナ様に謝らなくちゃ！！」

ナディアはベットから出ると、ガルダナが住まいとするリラジの家が見える窓を開く。毎朝、窓を開くとリラジの家の前からガルダナが手を振ってくれるのだ。

　しかし、いつもその場にいるだろうガルダナの姿はなく、窓枠に紅色の羽根が一枚、落ちていることに気づく。

「あらっ…ガルダナ様の羽だわ、もしかしてガルダナ様が会いに来てくださったのかしら？」

ナディアは空を必死に見渡すが鳥の姿は見ることが出来ない。


　窓から海から運ばれた暖かな風がピュッと入り、ナディアの髪が揺れると、
「あっ……」と夢の中でガルダナが別れを告げていた事を思い出す。


—じゃあな、ナディア…


「まさか……」

「おはよう御座います、ナディア様。急ぎ、騎士団長のカルロス様から謁見の申し訳がございます」

侍女のサーヤの一言にナディアの不安を覚えた。そして、騎士団長カルロスからガルダナが極秘任務の為、異国の地へ旅に出発したと報告受けたのだった。