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第2章 旅立ち
前世 -2-
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休むことなく馬を走らせる、馬車しか乗り慣れていない、私と母は必死に護衛にしがみつき、身体中に痛みを覚え始め、疲れはピークに達していた。
しかし、不思議なことにあれほど城を襲うためにいた敵には1人とも会わず、幸運と思うべきだろうが、一抹の不安を覚えたのだ。
ようやく北の地ラーデンに到着すると、小太りの地主グラースがいやらしい笑顔を浮かべ迎えてれた。
「ようこそおいでくださいました王妃様、姫様、ヒッ、ヒッ、ヒッ、全くこのような美しい王妃様にお会いできるとは」
北の地が潤っているのだろう、ドス、ドスと豊満な身体を動かし、グラースはいやらしい目で母を選別するように眺めると母の手を取るとブチュッと口付けした。
母の強張る表情を察した私はグラースに控えるように言うと
「大丈夫よ、ナディア、
すまぬがしばらく世話になる」
「もちろんです、しっかりとお世話致します、ヒッ、ヒッ、ヒッ」
「お母様!!」
母は私を制するとグラースは脂ぎった手で母の手を取り、屋敷の中へ入って行った。
——なんだか変だわ…
周りを見渡すと屋敷の使用人達はこの国の者ではない銀髪の者が多く、なぜか視線が鋭く痛々しく、私と護衛達は屋敷の重々しい雰囲気に不安を隠さずにはいられなかったのだ。私は護衛騎士の1人でラーデン出身のジャンに尋ねた。
「ジャン、貴方のご親戚なのよね」
「はい」
「失礼だけど大丈夫よね…」
「しばらくこの地を離れておりましたが、皆、見慣れた者ばかりでございます、ご安心ください」
「なら良かったわ」
ジャンは私に心配かけぬよう、いつもの優しい表情で私に笑いかけた。しかし、私の目線が離れた瞬間、ジャンの目の表情が固くなったことに私は気付かなかった。
そして、数日後に私達に悲劇が起こったのだ。
しかし、不思議なことにあれほど城を襲うためにいた敵には1人とも会わず、幸運と思うべきだろうが、一抹の不安を覚えたのだ。
ようやく北の地ラーデンに到着すると、小太りの地主グラースがいやらしい笑顔を浮かべ迎えてれた。
「ようこそおいでくださいました王妃様、姫様、ヒッ、ヒッ、ヒッ、全くこのような美しい王妃様にお会いできるとは」
北の地が潤っているのだろう、ドス、ドスと豊満な身体を動かし、グラースはいやらしい目で母を選別するように眺めると母の手を取るとブチュッと口付けした。
母の強張る表情を察した私はグラースに控えるように言うと
「大丈夫よ、ナディア、
すまぬがしばらく世話になる」
「もちろんです、しっかりとお世話致します、ヒッ、ヒッ、ヒッ」
「お母様!!」
母は私を制するとグラースは脂ぎった手で母の手を取り、屋敷の中へ入って行った。
——なんだか変だわ…
周りを見渡すと屋敷の使用人達はこの国の者ではない銀髪の者が多く、なぜか視線が鋭く痛々しく、私と護衛達は屋敷の重々しい雰囲気に不安を隠さずにはいられなかったのだ。私は護衛騎士の1人でラーデン出身のジャンに尋ねた。
「ジャン、貴方のご親戚なのよね」
「はい」
「失礼だけど大丈夫よね…」
「しばらくこの地を離れておりましたが、皆、見慣れた者ばかりでございます、ご安心ください」
「なら良かったわ」
ジャンは私に心配かけぬよう、いつもの優しい表情で私に笑いかけた。しかし、私の目線が離れた瞬間、ジャンの目の表情が固くなったことに私は気付かなかった。
そして、数日後に私達に悲劇が起こったのだ。
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