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第1章 祖国の滅亡

幕間 ローズ王女ー1ー

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「はぁ、はぁ、はぁ」

私は必死に逃げる。 
あの気持ち悪い男の手に落ちるのは真っ平ごめんだわ。
 後ろからカツ、カツとあの男のわざとらしい足音が聞こえるようだ。

 迂闊だった。
 また、王妃にめられるとは。母付きの侍女に母から呼ばれているので部屋に案内すると言われた。内密の話をするのかと一人で向かったら、部屋に入るなり見えたのは、紫色の頭だった。王妃の兄ゾーン国将軍ザカルケだ。いつの間にか侍女も王妃に買収されたのか……。
 今すぐに逃げろと身体が痙攣が鳴らす。私は侍女を押しのけ外に出た。
 靴が邪魔だ。
 すぐさま私は靴を脱ぎ走った。
 すると、私の腰を掴み誰が部屋に引き込んだ。

「ひぃっ」
しまった。私は叫び声をあげようとしたら、口を塞がれた。

「静かに。誰かから逃げてるの?」
私はうん、うんと盛大に頷いた。

ドアの外から気持ち悪い声で、
「どこだい~」
と聞こえる。
その声はだんだん遠くなる。

「はぁ」
と安堵した。
私は安心してたら腰が抜けたようで立てなくなってしまった。

「貞操の危機だもんね。ほら、テラスから噴水の方へ行こう。まさか外にいるとは思うまい」

男性は私を抱え、テラスから外へ出て噴水まで連れて行ってくれた。
ようやく外の明かりで姿がわかる。

「ありがとうございます。本当に助かりました」

男性を見ると黒服に胸には、勲章をつけノーザンランド帝国の騎士だと思われた。藍色の短髪、瞳は吸い込まれそう青色。端正の取れた顔立ち。
素敵な方だわ、この方…。
私は一瞬にして恋に落ちた。

「これは、これは、ローズ王女さ」
私は彼の口を塞いぎ、しぃーと指を口にあてた。

「静かに。王女と呼ばないで。私、あの気持ち悪い男に前から狙われてるの」

「そうなんですか…大変ですね」

「本当なのよ」

「…はい…」

「何年か前からやたらといやらしい目で見てきて、最近では肩を触ってきたりするの。虫唾が走るわ。さっきもお母様に呼ばれてたから行ったのに。侍女に騙されるなんて……。私の周りから信用できる者が一人づついなくなるの……。私、いや!絶対いやあんな男のものになるのは…」

 私は目の前の男性を見つめ、
「だから、お願い! 私の純潔を奪って!!私、あなたにひと目見て恋に落ちたわ。だからあなたの思い出があればこれからだって。我慢できるわ…」

 この叫びに迷いなんてなかった。 
 だって彼は私の白馬の王子様だと思ったの。私を連れ出すのは無理だけど、純潔じゃなかったらあの男は私から興味がなくなるかもしれない…

「あの、私はノーザンランドのただの近衛兵で王女様に釣り合わないし、ましてや純潔ってあんた、何言ってんの?」

「私は直感をいつも信じるのよ!あなたは私の運命の人なのよ!だからだから絶対引かないわ!!」

暫し沈黙が流れる。

「ぷっははは!あんた本当に王女様?
 じゃあ、部屋行く?」
彼は裸足の私を抱きかかえて歩き出した。途中私の護衛騎士に会い、私は心配ないから周り上手く言うように伝えた。

 



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