【完結】ノーザンランドの白き獅子リーラ 〜捨てられた王女は人生逆転復活劇は起こしたくない〜

京極冨蘭

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第9章 リーラの貴族学院デビュー

第13話 エメラルド王女との別れ

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ベルク最後の夜、騎士達の交流も兼ねてささやかな晩餐会が開かる。
アンディとレンはすっかり王女の護衛と打ち解け楽しそうに話している。

「スミス兄様!渓谷にも精霊いましたよ~」

「そうか、精霊王の話は聞きけたか?」
クリストファーはリーラに優しく微笑みながら尋ねる。
「あっ!魚食べるのに忙しくて忘れてました。王都はどうだったんですか?」

「そうだな、都全体を案内されたが貧困街がなく、美しい街だった。民から納められた税は還元されており福利厚生が充実されているようだ。非常に参考になったな、ビル」

「参考になったって?視察するなら言ってやれよ。皆、観光目的で付いて行ったのに、ルート変更させて、民の暮らしなみから医療院、学校、治安部隊?おかげで、お土産すら見る時間なかったよ…」
周りの様子を見てみると皆、歩き疲れよほどお腹が減ったのか食事を黙々と食べている。
リーラはルディに目をやると観光できず、ガッカリとした表情だ。
「ルディ、馬鹿だなぁ。だから渓谷行こうって言ったのに…」



エメラルドは賑やかな会場を見渡し、リーラを探し出すと、リーラは例の黒髪の騎士とビル・リッチモンドと楽しそうに談笑していた。黒髪騎士はリーラを優しく見つめながら微笑んでいる。
「本当にわかりやすいわね、あの男」
エメラルドは呆れながらリーラ達に近づくと声をかける。

「お話中、失礼。リーラ、頼まれていた物よ」
とエメラルドは箱詰めされている贈り物をリーラ達に手渡す。
「うわぁ、ありがとう!」
レンとアンディも便乗して贈り物を受け取るとエメラルド王女に礼をする。

「王女様、贈り物を頂きありありがとうございます」
様子を見ていたビルはリーラの保護者として王女に礼を伝える。 

「良くってよ。お姉様のプレゼントらしいわ、我が国が誇る肌に良い化粧水なのよ」

「という訳で、お兄様、姉上に渡してくださいね。ちゃんとからのお土産と伝えてくださいね」

「お、おまえ、いつのまにお土産を…僕は買うチャンスなかったのに~~」

「あれ?都に行ってたのに??」

「話聞いてなかったのか?!おまえと違って遊んでいないんだよ!!」
とリーラのコメカミをグリグリするビル。ヒャァーとリーラの叫び声を聞きながらエメラルドは首を傾げた。
「ビル・リッチモンドって確かローズ王女の伴侶だったわよね…」




◇◇◇



最後の夜を語り明かそとエメラルドの寝室にリーラは招かれ、二人はベッドに寝転びながら話を始める。

「明日には帰ってしまうなんて、リーラと早く出会いたかったわ。帝国で無駄な時間を過ごししまったわ」

「ねぇ、エメラルドはまだ陛下に恋してるの?」

「ないわ」

「即答だね」

「あれだけ露骨に見せられたら目が覚めるわ」

「??」

「リーラはどうなのよ」

「恋?しない、しない。私の父親って初恋を拗らせたみたいで…そのおかげて沢山の女性を娶ってね、みんなが悲しむことになったの。子供も被害被るしね、色恋って良いことないって知ってるから…」

エメラルドはハッとする。亡きリヴァリオン国王は沢山の側室がいたと気づいたのだ。

「ねぇ、リーラあの場では話さなかったけど、あなたをリヴァリオン国の王女でしょ」

「えっ?!どうしてわかったの?」

「1つ!リヴァリオン国から来たでしょう、2つ!ローズ夫人が姉だと話してだじゃない、そして先程の話から…」

「エメラルド凄い!」
とリーラは手をパチパチするとエメラルドは当たり前じゃない、わかるわよと照れだす。

「でもどうして私の国に来たかったの?」

「演説大会でエメラルドが話していた人と自然との共存の未来は素晴らしいと思って、そんな自慢のベルク国を見てみたいって思ったの」

「どうだった?」

「素晴らしい国だと思った。貴女の望み通りずっとこの美しい自然を残してね」
とリーラが話すとエメラルドは自国を褒められ嬉しそうにはにかんだ。

「私の国はかつて人と自然との共存していた。けれどもゾーンに奪われ、国は恐らく荒らされているわ。私の国の姿をあなたの国を通して見たかったのかも…」

「辛いことを思いださせてごめんなさい」

「大丈夫、気にしないで」
と首を振るリーラ。

「うーん、そうだ、あなたがノーザンランドにどうやって行ったか教えてよ。冒険者風にアレンジしてもいいからね」

「何それ??仕方ないなぁ、まぁ、私の騎士になるまでの話は結構凄いんだから…」
とリーラの自慢話は延々と続くがエメラルドは嫌な顔せず興味深く聞き、2人の少女たちは朝までお互いの生い立ちを語り合い親交深めたのだった。



◇◇◇



  ベルク国 ポーラー港

ノーザンランドの騎士達はケンドリック王子とエメラルド王女に頭を下げると船へと入って行く。
リーラとエメラルドは互いの両手をぎゅっと握り合うと微笑み合う。

「港まで見送りしなくてよかったのに」

「親友との別れよ、見送りたいじゃない。貴女と出会えて良かったわ」

「私も!じゃあね、エメラルド」

「リーラも元気で、また遊びに来てよ」

「うん、必ず行く」
ふふふと二人はぎゅっと抱きしめ合う。

リーラはタッタッタと桟橋を渡り船に乗り込むと最後の客を乗せたと確認すると船は汽笛パォーンを鳴らし出港を告げる。

「エメラルドー!またねー!」
甲板から顔を出し手を大きく振るリーラの姿が見えた。そして、その横に立つ黒髪の騎士の姿を見たエメラルドはスカートを摘み頭を下げる。

「エメラルド?!誰に頭を下げているんだ」
一緒に見送りに来ていたケンドリックが驚いたようにエメラルドを見る。

「お兄様、一度お会いしたのにお忘れになったの?」

「ん??」

「あの黒髪の騎士はノーザンランド皇帝クリストファー陛下よ」

「えっ?!」

「騎士に扮していらっしゃたのよ」

「なんてことだ…一言言ってくれれば丁重にお迎えしたのに…、ま、まさか我が国を偵察!!」

「はぁーー…愛しい姫君を守るために隠密にいらっしゃたのよ」

「姫君??誰?ま、まさか、リーラのことかい?!」

「お兄様…話にならないわ…」
 

 好きになった人を間違える訳はない…

 国へ帰る途中に騎士に扮した陛下を見かけた時、私を殺す為に見張りの騎士に扮しているかもしれないと恐れた。しかし、2人でいる時、あのリーラを見る眼差しですぐに気付いた。

 自分好みに育てる為に側に置いるのね
 相当な執着心だわ
 ある意味怖い…
 あんな男に見初められるなんて
 リーラ、
 貴女もこれから苦労するわね…

クスッと笑うとエリザベスは帰りますわよとケンドリックの腕を掴み、城への帰路に着いたのだ。
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