【完結】ノーザンランドの白き獅子リーラ 〜捨てられた王女は人生逆転復活劇は起こしたくない〜

京極冨蘭

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最終章 我が祖国よ永遠に……

第11話 黒獅子達の戦い ー2ー

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      ゾーン国 西部

 第二戦闘部隊が襲撃をされる様子を見て、物陰から笑う男がいる。
「さぁ、君達、ノーザンランドの奴らを倒してしまいなさい!!」
水の精霊アクアベルの分身達を巧みに操る男は部隊を指差し、攻撃を命じていた。


「ウワァーッ!!」
後方からの水の巨人の攻撃に太刀打ち出来ない騎士達は次々に倒れていく。

「斬っても、斬ってもきりがねぇ…」
アデルの上司パブロも流石にハァ、ハァと息が切れてきた。アデルはガクッと膝をついたパブロを支える。

「パブロ隊長、大丈夫ですか?!」

「あぁ、アデル…もしもの時はなんとしても生き残れよ」

「小隊長……
 あッ!!後ろッ!!!」
「クソッ!!」
二人を目掛けて水の攻撃が当たる瞬間、アデル達は観念して目を閉じる。


バサッ!!

「あれっ?水が当たらなかった…」
アデルが目を開くと頭上に無数の丸い袋が敵に向かって飛んで行く。

「あれは?!援軍か!!」
エドモンドはトラフ砂漠側から無数の人影を確認する。

バサッ!
バサッ!

「これは何だ?」
パブロは頭上から落ちてきた袋を拾うと砂が入っている丸い袋だった。


 多様な人種の兵士達が第二戦闘部隊に近づくと馬に乗った鎧姿の大男はエドモンドの前に現れ、
「遅くなってすまなかったなぁ、我はエクレア国戦闘部隊のユーリスだ。王から命じられ助太刀に来た」
と名乗る。

大男とは違う人種の男も挨拶を交わしに来た。
「我はトラフ国、軍司令官のホランと申す。我らはトラフ、エクレア、ベルク国の連合部隊だ。さぁ、化け物退治をしようではないか?!」

「あぁ!かたじけい!」
エドモンドは代表の二人と熱い握手を交わす化け物達を睨みつける。

ベルク国の軍隊長が先程から投げられていた袋の中身の説明を始めた。
「ユーリス殿から敵は水の化け物であると聞き、我が国にはある水を吸収する特殊な砂を用いて攻撃出来ればと考え、砂袋を作ったのです」

「水の化け物についてはちょっと詳しくてよ」
エクレア国のユーリスはへへへっと笑う。
ユーリスはキョロキョロと周囲を見渡すと「みーつけた」とニヤッと笑う。

「水の術師を発見した、そいつを倒すから皆、援護を頼んだ」
ユーリスは馬に乗ると鞘から剣を抜く。

エドモンド、ホラン、ベルク国軍隊長は頷く。
「全軍に告ぐ!後方の敵を集中攻撃だァー!!!」
エドモンドの叫びに騎士達は一斉に後方の敵に向かって走り出した。


「援軍……」
アデルは援軍の到着に安心するとガクッと座り込む。
「まだ終わってない…
 後方の敵を倒すんだ…」
アデルはなんとか立ち上がろうと足を立てた瞬間、
『アデル、頑張れ』
と親友の声が聞こえたような気がした。
「リーラ………の声が…
 あぁ、頑張ろう!元気が出てきたぞ!
 やるぞーッ!!」
他国連合部隊からアデルは砂袋を受け取ると敵に向かい走り出した。


「足を狙え!!」
一気に水の化け物達に砂袋の攻撃が始まる。
ユーリスは馬を走らせ、攻撃の隙を進み、一気に術師に向かう。まさか狙われると思わなかった術師は驚くと地面に尻もちをつく。

「お、おまえは?!」

「久しぶりだな、シャロン!おまえのせいでさぁ、酷いにあったんだ。鬱憤、晴らさせてくれるよな?」 
シャロンの襟ぐりを握り引き寄せると何度もシャロンを殴り始めた。

「やめろーッ!!グハッッ、アッッ、イタイッ、たすけてッ、アーーッ、ごめんなさいッ、グハッッ……」
シャロンが気絶すると指示する者を失った水の精霊達は何をすれば良いのか戸惑い、四方へと散らばり消えて行く。無数の水の玉、巨人も消え去り、辺りは静かになる。



「勝ったーッ!!」
戦闘部隊の騎士達と他国の兵士達は握手を交わし、勝利を分かち合う。




ユーリスはズルズルとシャロンを引き摺り、エドモンド達の元へ連れて行く。
「こいつは水の化け物の研究者だ、
 シャロン、いつまでも寝てんじゃねぇ!」

ユーリスはシャロンの襟ぐりを掴み、揺さぶるとシャロンは目を覚ます。
「おっ、おまえ…ユーリス…生きてたのか…」

「ここにいるのはおまえだけか?枢機卿は?教皇はどこだ?」

「枢機卿様はアクアリディアでおまえ達の仲間を倒しているよ、そして、今頃、教皇様は偉大な力を手にされている!おまえ達は終わりだァー」

「偉大な力?」

「今頃、リヴァリオンで偉大な力を得ていらっしゃるんだ!あははははっ!」

「教皇様、教皇様とうるさいんだよ、黙ってろ!」
とユーリスはシャロンを殴りつけるとシャロンは再び気絶する。
 エドモンドは教皇がリヴァリオンにいると聞き、表情を曇らせた。

「そう言えば、帝国の隊長さんよ、銀髪の女騎士はどこにいるんだ?」

「銀髪の女騎士……リーラはリヴァリオン国攻略を任されている」

「リヴァリオンだと?!教皇がリヴァリオンにいるぞ!!クソッ!!」
ユーリスとエドモンドはリヴァリオンがある山をじっと睨みつけた。












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