SP24歳 女子高生始めました。

鍛高譚

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第22話 反響

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学校での反響



 翌朝。ラーメンの締めまで付き合わされた倉子と真子は、疲労困憊のまま登校した。



 しかし、正門をくぐった瞬間、学校中の空気がいつもとまるで違うことに気づいた。



「……先輩、なんか……全員、見てるっす」



「……予想はしてたけど、これはキツい……」



 すれ違う生徒たちの視線が集まる。  廊下では、上級生や下級生がひそひそと話し合いながら彼女たちを目で追う。



「テレビで見たよ、あの制服SP」 「うちの学校にいたんだ……」 「ニュースで大統領とラーメン食べてたの、あの人たちじゃん!」



 教室に入ると、拍手が巻き起こった。



「服部さん、真田さん! おかえりなさい!」 「めっちゃカッコよかったですよ! 総理と並んでる画面、録画しました!」



 突然のヒーロー扱いに戸惑う二人。



「いやいや……うちら、そんな立場じゃないし……」



「ほんと、恥ずか死ぬっす……」



 そこに澪がやってきて、そっと二人に声をかける。



「お二人とも、本当にお疲れ様でした。私、あのニュースを見て……誇らしかったです」



 素直な言葉が、制服越しにじんと胸に響く。



「……ありがと、澪」



 だが、注目と称賛の嵐はしばらく収まりそうになかった。



「次の海外任務、どこですか?」 「焼き鳥外交、次はどこでやるんですか?」 「SPって、どこまで守れるんですか!? 心とか!」



「……そろそろ転校したい……」 「いっそ転職したいっす……」



 だが、彼女たちの“伝説”はまだ始まったばかりだった。







第22章-1「学校での反響」を反映しました。表彰とメディア報道を経て、学校中が倉子と真子に注目し、騒がしさと称賛の中で彼女たちが困惑する様子を描いています。



SNSと記者対応 世界中を駆け巡る報道



 学校での歓迎ムードの裏で、さらに広がっていたのは――世界中のメディアだった。



 昼休み。職員室に呼ばれた倉子と真子が案内されたのは、応接室。



 そこにはスーツ姿の人物が数名。名刺には『ワールド・ニュース・ネット』『ジャパン・タイムズ』『CNN東京支局』など、国内外のメディアの名が並ぶ。



「服部倉子さん、真田真子さん。本日はインタビューの時間をいただき、ありがとうございます」



「……いや、聞いてないんですけど」



「ご安心ください、学校側からも許可を得ています」



 カメラが回り、マイクが向けられる。



「制服姿のまま、要人表彰を受けた警備員というのは前例がありません。今、世界中で話題となっています」



「“制服のSP”という愛称で、海外SNSでもタグが立ち上がっております」



「いや、愛称じゃなくて……職業なんで……」



 控えめに答えていたが、記者たちの勢いは止まらない。



「総理と並んで焼き鳥を食べるシーンが“日米の絆の象徴”として注目されていまして」



「いや、それただの食事……」



「“女子高生SPが平和をつなぐ”という記事タイトルはいかがですか?」



「やめてください死にます」



 その頃、世界中のSNSも爆発的に盛り上がっていた。



「#制服SP」「#日米ラーメン会談」「#焼き鳥外交」などのタグがトレンド上位を独占。



 アメリカの若者たちからは、“日本行ったら制服SPに守られたい”というコメントまで飛び交い、なぜか“推しSP”人気投票まで始まっていた。



「……なにこれ、現実なの?」



「そろそろ世界の誤解を誰か止めてほしいっす……」



 だが、この現象は単なる一過性のものではなかった。



 後日、外務省の広報課から正式に連絡が届く。



《制服での表彰は意図したものではないが、結果的に国際的友好の象徴となった。今後の広報活動における参考事例として検討する》



「……やばい。制服で仕事する流れが強化される……」



「まさか公式ルートで定着しそうになってる……」



 世界に広がる“制服SP旋風”。



 二人の生活は、もはや静かには戻れない。



 ――だが、それでも彼女たちは進むしかなかった。





一桁多い賞与



 報道の騒ぎもようやく収まりつつあるある日。  制服SPとしての日常に少しずつ戻りつつあった倉子と真子に、ついに“その日”がやってきた。



 ――賞与支給日。



 いつも通り、メールで届いた給与明細を確認した瞬間、二人の時が止まった。



「……先輩……これ……桁が……」



「一桁おかしい……よね? 会計のミス……っすかね……?」



「やばい、あとから“返してください”って言われたら、立ち直れないやつ……」



 動揺を隠せず、即座に社長へ連絡を入れる。



「社長、あの……これ、明細の額……間違ってませんか?」



 電話越しの社長の声は、あまりにも平然としていた。



『間違ってない。それくらいの評価だ。お前たちの功績、社への貢献度を考えれば当然の額だ』



「……本当に?」



『本当だ。自信を持て』



 その瞬間――



「うおおおおおおおおおおおおっ!!」



 職場の天井が震えるほどの歓喜の叫びがあがった。



 倉子と真子、制服のまま喜びの舞いを踊る。



「ついに……ついにSPやってて良かったって思える日が……!」



「ラーメン外交も、焼き鳥外交も……報われた……!」



 この日の彼女たちは、世界一幸福なSPだったかもしれない。



 その歓喜が次の通知で中断されるまでは――あと数時間の猶予しかなかったが。



夢じゃないよね?



 電話を切った直後、倉子と真子のスマホに新着メールが届いた。



 差出人は、もちろんセキュリティ・アテナの社長。



《電話で伝え損ねた。もう一つ、ご褒美がある。学校の夏休み期間中は、完全休養とする。新学期からの活躍に期待している。》



 メールを読んだ二人の視線がぶつかる。



「……夢じゃ……ないよね?」



「夢じゃないっす!」



「うおおおおおおおおおおおおっ!!」



 再び部屋中に響き渡る歓喜の叫び。



 制服のまま飛び跳ねる二人の姿は、もはや業務中のSPではなかった。



「バカンスだ!」



「バカンスっす!!」



「豪遊しよう!」



「豪遊っす!!」



 声を揃えて叫び、机をばんばん叩きながらテンションは最高潮。



「温泉! 南国! おしゃれホテル!」



「ビーチ! 食べ放題! 昼間っからスイーツ三昧っす!」



「やばい……これで人生取り戻せる気がする……」



「制服の呪いから……一時開放っす!」



 そのときだけは、彼女たちはただの若き社会人として、心の底からバカンスを楽しむ準備に胸を躍らせていた。



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