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第40話 :文化祭論争、勃発!
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「そろそろ文化祭の準備、始めないといけないっすね~」
教室内の空気が少しだけざわついてきた。九月も終わり、十月に入ったばかり。秋の気配とともに、校内には文化祭の話題がちらほらと聞こえ始めていた。
真子は窓際の席で背伸びをしながら、ちらりと教壇の前にいる弓子――大橋弓子、我らが3年C組の委員長を見やった。
しかし、彼女は相変わらず真面目な顔で、配布されたプリントに目を落としているばかりだった。文化祭のことには触れず、今日のLHR(ロングホームルーム)もあっさり終了するかに見えたそのとき――
「ちょっと待ってください!」
教室の後方から、誰かが立ち上がって声を上げた。
「文化祭の話、ちゃんと議論した方がいいと思います!」
発言者は積極派の筆頭、井上だった。髪を後ろで束ね、眼鏡越しの鋭い目で前方を睨みつけている。
「えっ……?」
弓子が戸惑い気味に振り返る。
「私たち、3年生ですよ?高校生活最後の文化祭なんです!それを“適当な展示”で済ませようなんて、もったいないじゃないですか!」
井上の発言に、教室のあちこちから小さなどよめきが走る。
「でもさあ、現実的に無理じゃね?」
反論の声が上がったのは、前列に座っていた男子、清田。明らかに消極派だ。
「もう10月だぜ?準備期間がほとんどねぇよ。それに俺ら受験生だし。無理にやるより、無難な展示でちゃちゃっと終わらせようぜ」
「清田の言うとおりだよ。今から凝ったことなんてやろうとしたら、他の時間を圧迫するだけだよ」
と、別の女子も続ける。
たちまち教室は、「記念に何かしたい」派と「もう時間もないし、受験に集中したい」派に分かれて議論がヒートアップしていった。
弓子はオロオロとその場に立ち尽くし、うまくまとめることができずにいた。
「委員長のせいじゃね?」
誰かがぽつりと呟いたその一言が、火に油を注いだ。
「そうだよ、最初からもっと積極的に話し合いを進めてればよかったじゃん!」
「そもそも文化祭に関する話し合い、委員長から一度もなかったよね?」
次々と責任転嫁の言葉が弓子に向かって浴びせられる。弓子は顔を伏せ、何も言い返せなかった。
その瞬間、静かだった前方の席から倉子が立ち上がった。
「ちょっと待ってくれる?」
低く、しかし芯のある声が教室中を静まり返らせる。
「急に参加に積極的になったのだから、委員長の責任を問題にするのは間違ってるわ。本当に真剣に参加を考えていたなら、もっと早く話し合いを持つよう提案するべきだったはずよ。それを棚に上げて、いまさら責任を問うのはどうかしてる」
倉子の言葉に、ハッとするように目を伏せる井上。周囲の数人も、黙り込んだ。
「それに……」
真子も静かに立ち上がる。
「今のとこ、消極派がまだ大多数っす。参加したいって言うなら、消極派が納得できるような企画を今からでも考えて、賛同を得るのが筋っすよ。最初から全部他人任せじゃ、そりゃ納得されないっす」
「……」
弓子は、二人の話を聞いて、ふと顔を上げた。強くはないが、目には力が宿っていた。
(やっぱり、この二人……すごい)
そう思ったのは弓子だけではなかった。クラスの空気も、徐々に沈静化し、険悪だった雰囲気が和らいでいく。
「……ごめんなさい。確かに、私も文化祭のこと、もう少し早く動けばよかった。でも、今からでもできることを探しましょう。どうですか?」
弓子の言葉に、今度は誰も異を唱えなかった。
「提案あるやつは、どんどん案出してくれっす。みんなで話し合って、形にするっすよ!」
真子の声に、ぽつぽつと手が上がる。
「演劇ってのは?」
「いや、展示でもテーマ性のあるやつなら面白くなるかも」
次第に教室内が活気を取り戻し始めた――
第41章-2:動き出したクラスと委員長の覚悟
LHRの終了を告げるチャイムが鳴ったあとも、教室の空気はどこかざわついていた。
「演劇って言ってもさ、台本とか衣装とか、今から用意して間に合うわけ?」
「じゃあ展示にしようよ!テーマを決めて、教室を丸ごと使って演出すれば、手軽にできて盛り上がるって!」
「でも展示って、なんか地味じゃない?」
生徒たちが自発的に集まり、小さな輪がいくつもできていた。それぞれがアイディアを出し合い、どれなら準備時間と労力に見合うかを真剣に考えている。
(さっきまであんなにギスギスしてたのに……)
弓子は席に座りながら、ひとりその様子を見つめていた。
委員長として、何もできなかった自分を責めた直後に、倉子と真子の冷静で的確な発言に助けられた。そしていま、クラスが少しずつ前に進み始めている。
「……私、やっぱりちゃんとしなきゃ」
小さく呟いたその声は、誰にも届かないほど弱かった。
だけど、自分の中にはっきりとした決意の灯がともった気がした。
---
翌日、朝のSHR(ショートホームルーム)の時間。
弓子は教壇の前に立っていた。いつもより背筋を伸ばし、手に持ったプリントの角が少し震えている。
「おはようございます。えっと……昨日の文化祭の件について、クラスとしてしっかり話し合いを進めたいと思います」
生徒たちが一斉に視線を向ける。
「放課後、時間を取って、企画をまとめるミーティングを開きます。参加できる人は、ぜひ来てください。あと、アイディアシートも配るので、授業の合間にでも書いて、提出してくれると助かります」
誰もが、その姿に少し驚いた表情を浮かべていた。
これまで委員長のくせに、どこか自信なさげで、前に出るのをためらっていた弓子が、自分の意志で行動している。そんな雰囲気があった。
「弓子、ちょっと頼もしくなったじゃん」
小声でつぶやいたのは井上だった。昨日、委員長に厳しい言葉をぶつけた彼女も、いまはどこか申し訳なさそうな表情をしている。
---
放課後、教室の机が端に寄せられ、ホワイトボードが中央に設置される。
弓子はそこに「文化祭クラス企画案まとめ」と書き、立ち上がった。
「はい、それじゃあ、集まってくれた人から順番にアイディアを出していきましょう」
まず手を挙げたのは、演劇推しの男子・津田。
「やっぱり演劇がいいと思うんだよな。題材は昔話をアレンジしたやつで、時間は15分くらい。配役も少なめにすれば、負担も減らせるし」
「それ面白そう。でも衣装はどうするの?」
「うちの演劇部の後輩に頼めば、簡単な衣装くらいは貸してくれると思う」
「大道具とかどうする?」
「演劇部の舞台セットを流用すれば……多分いける!」
次に手を挙げたのは、美術部所属の女子・相川。
「私は展示派です。テーマは“夢の図書館”。本棚を模した背景を作って、それぞれがおすすめの本を紹介するっていうのはどうでしょう?装飾もカラフルにして、インスタ映えも狙えるようにして」
「なるほどな……落ち着いた雰囲気になりそうだし、手間も少なそう」
「SNSにも投稿しやすいっすね~」
さまざまな意見が出される中で、徐々に話し合いは熱を帯びていく。
ふと、誰かが呟いた。
「ところで、委員長はどっちがいいと思ってるの?」
弓子は、全員の視線が自分に向けられていることに気づき、少しだけ戸惑った。
けれど、迷いはなかった。
「どっちも、すごくいいと思う。ただ……やっぱり、全員が納得できるものにしたい。だからこそ、両方の案を比較して、どちらが現実的か、どちらが楽しめるか、ちゃんと議論したいです」
その言葉に、教室の空気が少しだけ柔らかくなった。
「……おっけー、じゃあ投票しようぜ。まずは案を二つに絞って、具体的に準備の分担とスケジュールも出して、どっちが実行できそうかを判断しよう」
「いいっすね、それなら納得いく結果になるっす!」
---
結局その日、クラスの意見は「演劇案」と「夢の図書館展示案」の二つに集約され、翌週月曜に最終決定の投票を行うことになった。
その間に両案それぞれの担当チームが、実現可能性をプレゼンすることも決まり、クラス内は一気に活気を取り戻した。
ミーティングが終わり、みんなが教室を出ていく中――
弓子は、教壇の前でこっそりと深く息を吐いた。
(……なんとか、動き出した)
「……弓子」
声をかけたのは倉子だった。隣には真子もいる。
「頑張ったわね。ちょっと意外だった」
「しっかりしてたっすよ、委員長!」
弓子は照れくさそうに笑った。
「二人のおかげだよ……ありがとう」
教室の窓から差し込む秋の夕陽が、三人の背を照らしていた。
第41章-3:文化祭の運命はプレゼンで決まる
文化祭まで、残された時間はもう三週間もない。
そんな中、3年A組の教室では“文化祭プレゼン大会”なるイベントが始まろうとしていた。教室の黒板には大きく、
> 【演劇案】 vs 【夢の図書館案】
と書かれている。
前方の机には簡易ホワイトボードとノートパソコン、そして何やら手作り感満載の資料の山。教室後方には見守るクラスメイトたちがざわついている。
「ふぅ、緊張する……」
ホワイトボードの前で息を吐いたのは、演劇案チームのリーダー・津田。もともと演劇部に所属していた彼は、ややオーバーアクション気味に自らの案をアピールするつもりらしい。
そして、その横には一人の少女――弓子の姿があった。
(……こういうの、ほんと慣れてないんだけど)
心の中で小さくぼやきながらも、彼女はしっかりと前を向いていた。
彼女は今日、議長役として中立の立場を取り、両者の発表と質疑応答の進行を務めることになっていたのだ。
---
「それでは、プレゼンを始めます! まずは、演劇案チームの発表です!」
弓子の声が教室に響くと、津田が前に出て深く一礼する。
「俺たちは、“超高速!桃太郎Z”というオリジナル演劇を提案します! ベースは昔話の桃太郎ですが、SF風にアレンジして、鬼ヶ島を宇宙にしちゃいました!」
「お、おう……!」
「制限時間は15分。配役は桃太郎、犬、猿、雉、鬼にナレーション。全部で6人。大道具は最小限、衣装も演劇部から借りられます」
ホワイトボードには、手描きのスケッチと日程表が貼られていく。
「演出はギャグとアクションを取り入れて、観客を飽きさせません! 3年の意地を見せるなら、これしかないと思います!」
一通りのプレゼンが終わると、教室に拍手が湧いた。
(すごい……ちゃんと練られてる)
弓子も思わず感心した。
「では、質問のある人?」
真子が手を挙げた。
「配役から漏れた生徒は、何をするんすか?」
津田はうろたえもせずに答える。
「照明、音響、小道具など、裏方で全員に役割があります!」
「衣装の予算は?」
「演劇部から無償で借りるので、材料費はゼロに近いです!」
質問にも的確に応じる津田。その姿に、いつの間にか拍手が大きくなっていた。
---
次に登場したのは、「夢の図書館」案を提案する美術部の相川。
「みなさん、こんにちは。私たちは、“夢の図書館”という展示企画を提案します」
相川は落ち着いた声で、スクリーンに投影されたスライドを操作する。
「この教室を、ファンタジー風の図書館に見立てて、装飾をほどこします。本棚風の背景ボード、ステンドグラス風の窓、そして個人のおすすめ本を“本の妖精”が紹介します」
「“本の妖精”?」
「それぞれの生徒が妖精の名札をつけて、好きな本の魅力を語るんです」
すると教室から「かわいい!」という声が飛んだ。
「衣装は白シャツに羽とカチューシャ。既製品を少し手直しすれば十分です」
「デコレーションは?」
「私たち美術部が中心になりますが、簡単なものにすれば1週間で作れます。もちろん、希望者は誰でも参加OKです」
淡々とした語り口だったが、内容は丁寧に組まれており、教室は徐々に温かい空気に包まれていく。
「雰囲気で勝負する展示なんすね……」
真子がポツリと呟いた。
---
「それでは、両案のプレゼンが終わりました。これより、投票を行います!」
弓子の進行で、クラスメイトたちは静かに手元の紙に○を記入する。
(どっちもすごく魅力的だったな……)
そう思いながら、弓子は自分の票を箱に入れた。
結果が集計される数分間の静けさ。
そして――
「開票の結果……演劇案、23票。図書館案、21票。よって、クラスの出し物は――演劇に決定しました!」
拍手と歓声があがる中、相川も笑顔で拍手していた。
「惜しかったわね。でも、いい勝負だった」
その姿を見て、弓子は胸をなで下ろした。
(よかった……これならクラスはまとまっていける)
---
放課後、津田たちが演劇準備に意気込む教室を背にして、弓子は一人、教室を出ようとした。
すると背後から声がかかった。
「委員長、ナイス議事進行だったな!」
津田だった。
「ありがとう。すごくわかりやすかったし、ちゃんと中立だった」
「い、いえ、そんな……」
照れくさそうに頭を下げる弓子のもとに、今度は相川も歩み寄ってきた。
「弓子さん、ありがとう。あなたのおかげで、ちゃんとフェアな勝負ができたと思います」
弓子はゆっくりと、けれど確かな声で答えた。
「こちらこそ、素敵な案をありがとう。どっちが勝っても、きっと楽しい文化祭になってたと思う」
静かに夕暮れの光が廊下を染める。
その日、弓子は初めて――
「委員長でよかった」と心から思えたのだった。
エピローグ:放課後、誰もいない教室で――追加シーン
文化祭の翌日。クラスの展示物も片付き、放課後の教室には、静けさが戻っていた。
夕焼けが窓ガラスを朱に染める中、倉子と真子は後片づけの残りを終え、ようやく椅子に腰を下ろした。
「しかし、演劇なんて……よく間に合ったわね」
倉子がペットボトルのお茶を飲みながらぽつりと漏らすと、真子も大きくうなずいた。
「本当っす。やっぱ委員長の人望っすかね」
「……まあ、どっちにしても、私らが舞台に上がらなくて済んだなら、それでよしよ」
「去年は、えらい目に遭ったっすから」
二人の間に、ひときわ重たい“過去の記憶”がよみがえる。
「まさか、“実録!SP24時間密着ドキュメント”なんて企画になるとは思わなかったわ……しかも、本人役って……あれ、どんな拷問よ?」
「いや、ほんと、隠密行動が基本の私らに、舞台で“どうもー!”とか言わせるって……ありえないっす!」
「しかもアドリブで『実際の護衛任務においてもですね~』とか言わされて……」
「今、思い出しても顔から火が出るっす……」
真子は両手で顔を覆い、机に突っ伏した。
倉子は笑いながら、窓の外を見上げた。空はすっかり茜色に染まり、薄雲が風に流されている。
「でも……今年はいい文化祭だったわね」
「っすね。生徒っぽいイベントで、ちゃんと生徒っぽい空気に混ざれたっていうか」
「……そうね。SPじゃなくて、ただの“高校生”として、ね」
ふたりの目が合い、自然と笑みがこぼれた。
「にしても、弓子ちゃんもよくやったわよね。最初は戸惑ってたけど、委員長として、堂々としてた」
「“成長”ってやつっすか。こっちが教えられた気がするっす」
「そうね、私たち……気づかないうちに年長者ポジションね」
「だってリアルに26歳っすから」
「……言うな」
「来年は27、もうアラサーっすよ」
「だから言うなっての!」
叫びと笑いがこだまする誰もいない教室。その姿は、確かに“ただの高校生”に見えた。
でも、それを知っているのは、彼女たちと、限られたごくわずかな者たちだけ。
カーテンが揺れ、風が通り抜けた。
来年の文化祭も、ふたりは“ただの生徒”としてそこにいるだろう。
そしてまた、誰かの成長を見届ける側に――。
教室内の空気が少しだけざわついてきた。九月も終わり、十月に入ったばかり。秋の気配とともに、校内には文化祭の話題がちらほらと聞こえ始めていた。
真子は窓際の席で背伸びをしながら、ちらりと教壇の前にいる弓子――大橋弓子、我らが3年C組の委員長を見やった。
しかし、彼女は相変わらず真面目な顔で、配布されたプリントに目を落としているばかりだった。文化祭のことには触れず、今日のLHR(ロングホームルーム)もあっさり終了するかに見えたそのとき――
「ちょっと待ってください!」
教室の後方から、誰かが立ち上がって声を上げた。
「文化祭の話、ちゃんと議論した方がいいと思います!」
発言者は積極派の筆頭、井上だった。髪を後ろで束ね、眼鏡越しの鋭い目で前方を睨みつけている。
「えっ……?」
弓子が戸惑い気味に振り返る。
「私たち、3年生ですよ?高校生活最後の文化祭なんです!それを“適当な展示”で済ませようなんて、もったいないじゃないですか!」
井上の発言に、教室のあちこちから小さなどよめきが走る。
「でもさあ、現実的に無理じゃね?」
反論の声が上がったのは、前列に座っていた男子、清田。明らかに消極派だ。
「もう10月だぜ?準備期間がほとんどねぇよ。それに俺ら受験生だし。無理にやるより、無難な展示でちゃちゃっと終わらせようぜ」
「清田の言うとおりだよ。今から凝ったことなんてやろうとしたら、他の時間を圧迫するだけだよ」
と、別の女子も続ける。
たちまち教室は、「記念に何かしたい」派と「もう時間もないし、受験に集中したい」派に分かれて議論がヒートアップしていった。
弓子はオロオロとその場に立ち尽くし、うまくまとめることができずにいた。
「委員長のせいじゃね?」
誰かがぽつりと呟いたその一言が、火に油を注いだ。
「そうだよ、最初からもっと積極的に話し合いを進めてればよかったじゃん!」
「そもそも文化祭に関する話し合い、委員長から一度もなかったよね?」
次々と責任転嫁の言葉が弓子に向かって浴びせられる。弓子は顔を伏せ、何も言い返せなかった。
その瞬間、静かだった前方の席から倉子が立ち上がった。
「ちょっと待ってくれる?」
低く、しかし芯のある声が教室中を静まり返らせる。
「急に参加に積極的になったのだから、委員長の責任を問題にするのは間違ってるわ。本当に真剣に参加を考えていたなら、もっと早く話し合いを持つよう提案するべきだったはずよ。それを棚に上げて、いまさら責任を問うのはどうかしてる」
倉子の言葉に、ハッとするように目を伏せる井上。周囲の数人も、黙り込んだ。
「それに……」
真子も静かに立ち上がる。
「今のとこ、消極派がまだ大多数っす。参加したいって言うなら、消極派が納得できるような企画を今からでも考えて、賛同を得るのが筋っすよ。最初から全部他人任せじゃ、そりゃ納得されないっす」
「……」
弓子は、二人の話を聞いて、ふと顔を上げた。強くはないが、目には力が宿っていた。
(やっぱり、この二人……すごい)
そう思ったのは弓子だけではなかった。クラスの空気も、徐々に沈静化し、険悪だった雰囲気が和らいでいく。
「……ごめんなさい。確かに、私も文化祭のこと、もう少し早く動けばよかった。でも、今からでもできることを探しましょう。どうですか?」
弓子の言葉に、今度は誰も異を唱えなかった。
「提案あるやつは、どんどん案出してくれっす。みんなで話し合って、形にするっすよ!」
真子の声に、ぽつぽつと手が上がる。
「演劇ってのは?」
「いや、展示でもテーマ性のあるやつなら面白くなるかも」
次第に教室内が活気を取り戻し始めた――
第41章-2:動き出したクラスと委員長の覚悟
LHRの終了を告げるチャイムが鳴ったあとも、教室の空気はどこかざわついていた。
「演劇って言ってもさ、台本とか衣装とか、今から用意して間に合うわけ?」
「じゃあ展示にしようよ!テーマを決めて、教室を丸ごと使って演出すれば、手軽にできて盛り上がるって!」
「でも展示って、なんか地味じゃない?」
生徒たちが自発的に集まり、小さな輪がいくつもできていた。それぞれがアイディアを出し合い、どれなら準備時間と労力に見合うかを真剣に考えている。
(さっきまであんなにギスギスしてたのに……)
弓子は席に座りながら、ひとりその様子を見つめていた。
委員長として、何もできなかった自分を責めた直後に、倉子と真子の冷静で的確な発言に助けられた。そしていま、クラスが少しずつ前に進み始めている。
「……私、やっぱりちゃんとしなきゃ」
小さく呟いたその声は、誰にも届かないほど弱かった。
だけど、自分の中にはっきりとした決意の灯がともった気がした。
---
翌日、朝のSHR(ショートホームルーム)の時間。
弓子は教壇の前に立っていた。いつもより背筋を伸ばし、手に持ったプリントの角が少し震えている。
「おはようございます。えっと……昨日の文化祭の件について、クラスとしてしっかり話し合いを進めたいと思います」
生徒たちが一斉に視線を向ける。
「放課後、時間を取って、企画をまとめるミーティングを開きます。参加できる人は、ぜひ来てください。あと、アイディアシートも配るので、授業の合間にでも書いて、提出してくれると助かります」
誰もが、その姿に少し驚いた表情を浮かべていた。
これまで委員長のくせに、どこか自信なさげで、前に出るのをためらっていた弓子が、自分の意志で行動している。そんな雰囲気があった。
「弓子、ちょっと頼もしくなったじゃん」
小声でつぶやいたのは井上だった。昨日、委員長に厳しい言葉をぶつけた彼女も、いまはどこか申し訳なさそうな表情をしている。
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放課後、教室の机が端に寄せられ、ホワイトボードが中央に設置される。
弓子はそこに「文化祭クラス企画案まとめ」と書き、立ち上がった。
「はい、それじゃあ、集まってくれた人から順番にアイディアを出していきましょう」
まず手を挙げたのは、演劇推しの男子・津田。
「やっぱり演劇がいいと思うんだよな。題材は昔話をアレンジしたやつで、時間は15分くらい。配役も少なめにすれば、負担も減らせるし」
「それ面白そう。でも衣装はどうするの?」
「うちの演劇部の後輩に頼めば、簡単な衣装くらいは貸してくれると思う」
「大道具とかどうする?」
「演劇部の舞台セットを流用すれば……多分いける!」
次に手を挙げたのは、美術部所属の女子・相川。
「私は展示派です。テーマは“夢の図書館”。本棚を模した背景を作って、それぞれがおすすめの本を紹介するっていうのはどうでしょう?装飾もカラフルにして、インスタ映えも狙えるようにして」
「なるほどな……落ち着いた雰囲気になりそうだし、手間も少なそう」
「SNSにも投稿しやすいっすね~」
さまざまな意見が出される中で、徐々に話し合いは熱を帯びていく。
ふと、誰かが呟いた。
「ところで、委員長はどっちがいいと思ってるの?」
弓子は、全員の視線が自分に向けられていることに気づき、少しだけ戸惑った。
けれど、迷いはなかった。
「どっちも、すごくいいと思う。ただ……やっぱり、全員が納得できるものにしたい。だからこそ、両方の案を比較して、どちらが現実的か、どちらが楽しめるか、ちゃんと議論したいです」
その言葉に、教室の空気が少しだけ柔らかくなった。
「……おっけー、じゃあ投票しようぜ。まずは案を二つに絞って、具体的に準備の分担とスケジュールも出して、どっちが実行できそうかを判断しよう」
「いいっすね、それなら納得いく結果になるっす!」
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結局その日、クラスの意見は「演劇案」と「夢の図書館展示案」の二つに集約され、翌週月曜に最終決定の投票を行うことになった。
その間に両案それぞれの担当チームが、実現可能性をプレゼンすることも決まり、クラス内は一気に活気を取り戻した。
ミーティングが終わり、みんなが教室を出ていく中――
弓子は、教壇の前でこっそりと深く息を吐いた。
(……なんとか、動き出した)
「……弓子」
声をかけたのは倉子だった。隣には真子もいる。
「頑張ったわね。ちょっと意外だった」
「しっかりしてたっすよ、委員長!」
弓子は照れくさそうに笑った。
「二人のおかげだよ……ありがとう」
教室の窓から差し込む秋の夕陽が、三人の背を照らしていた。
第41章-3:文化祭の運命はプレゼンで決まる
文化祭まで、残された時間はもう三週間もない。
そんな中、3年A組の教室では“文化祭プレゼン大会”なるイベントが始まろうとしていた。教室の黒板には大きく、
> 【演劇案】 vs 【夢の図書館案】
と書かれている。
前方の机には簡易ホワイトボードとノートパソコン、そして何やら手作り感満載の資料の山。教室後方には見守るクラスメイトたちがざわついている。
「ふぅ、緊張する……」
ホワイトボードの前で息を吐いたのは、演劇案チームのリーダー・津田。もともと演劇部に所属していた彼は、ややオーバーアクション気味に自らの案をアピールするつもりらしい。
そして、その横には一人の少女――弓子の姿があった。
(……こういうの、ほんと慣れてないんだけど)
心の中で小さくぼやきながらも、彼女はしっかりと前を向いていた。
彼女は今日、議長役として中立の立場を取り、両者の発表と質疑応答の進行を務めることになっていたのだ。
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「それでは、プレゼンを始めます! まずは、演劇案チームの発表です!」
弓子の声が教室に響くと、津田が前に出て深く一礼する。
「俺たちは、“超高速!桃太郎Z”というオリジナル演劇を提案します! ベースは昔話の桃太郎ですが、SF風にアレンジして、鬼ヶ島を宇宙にしちゃいました!」
「お、おう……!」
「制限時間は15分。配役は桃太郎、犬、猿、雉、鬼にナレーション。全部で6人。大道具は最小限、衣装も演劇部から借りられます」
ホワイトボードには、手描きのスケッチと日程表が貼られていく。
「演出はギャグとアクションを取り入れて、観客を飽きさせません! 3年の意地を見せるなら、これしかないと思います!」
一通りのプレゼンが終わると、教室に拍手が湧いた。
(すごい……ちゃんと練られてる)
弓子も思わず感心した。
「では、質問のある人?」
真子が手を挙げた。
「配役から漏れた生徒は、何をするんすか?」
津田はうろたえもせずに答える。
「照明、音響、小道具など、裏方で全員に役割があります!」
「衣装の予算は?」
「演劇部から無償で借りるので、材料費はゼロに近いです!」
質問にも的確に応じる津田。その姿に、いつの間にか拍手が大きくなっていた。
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次に登場したのは、「夢の図書館」案を提案する美術部の相川。
「みなさん、こんにちは。私たちは、“夢の図書館”という展示企画を提案します」
相川は落ち着いた声で、スクリーンに投影されたスライドを操作する。
「この教室を、ファンタジー風の図書館に見立てて、装飾をほどこします。本棚風の背景ボード、ステンドグラス風の窓、そして個人のおすすめ本を“本の妖精”が紹介します」
「“本の妖精”?」
「それぞれの生徒が妖精の名札をつけて、好きな本の魅力を語るんです」
すると教室から「かわいい!」という声が飛んだ。
「衣装は白シャツに羽とカチューシャ。既製品を少し手直しすれば十分です」
「デコレーションは?」
「私たち美術部が中心になりますが、簡単なものにすれば1週間で作れます。もちろん、希望者は誰でも参加OKです」
淡々とした語り口だったが、内容は丁寧に組まれており、教室は徐々に温かい空気に包まれていく。
「雰囲気で勝負する展示なんすね……」
真子がポツリと呟いた。
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「それでは、両案のプレゼンが終わりました。これより、投票を行います!」
弓子の進行で、クラスメイトたちは静かに手元の紙に○を記入する。
(どっちもすごく魅力的だったな……)
そう思いながら、弓子は自分の票を箱に入れた。
結果が集計される数分間の静けさ。
そして――
「開票の結果……演劇案、23票。図書館案、21票。よって、クラスの出し物は――演劇に決定しました!」
拍手と歓声があがる中、相川も笑顔で拍手していた。
「惜しかったわね。でも、いい勝負だった」
その姿を見て、弓子は胸をなで下ろした。
(よかった……これならクラスはまとまっていける)
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放課後、津田たちが演劇準備に意気込む教室を背にして、弓子は一人、教室を出ようとした。
すると背後から声がかかった。
「委員長、ナイス議事進行だったな!」
津田だった。
「ありがとう。すごくわかりやすかったし、ちゃんと中立だった」
「い、いえ、そんな……」
照れくさそうに頭を下げる弓子のもとに、今度は相川も歩み寄ってきた。
「弓子さん、ありがとう。あなたのおかげで、ちゃんとフェアな勝負ができたと思います」
弓子はゆっくりと、けれど確かな声で答えた。
「こちらこそ、素敵な案をありがとう。どっちが勝っても、きっと楽しい文化祭になってたと思う」
静かに夕暮れの光が廊下を染める。
その日、弓子は初めて――
「委員長でよかった」と心から思えたのだった。
エピローグ:放課後、誰もいない教室で――追加シーン
文化祭の翌日。クラスの展示物も片付き、放課後の教室には、静けさが戻っていた。
夕焼けが窓ガラスを朱に染める中、倉子と真子は後片づけの残りを終え、ようやく椅子に腰を下ろした。
「しかし、演劇なんて……よく間に合ったわね」
倉子がペットボトルのお茶を飲みながらぽつりと漏らすと、真子も大きくうなずいた。
「本当っす。やっぱ委員長の人望っすかね」
「……まあ、どっちにしても、私らが舞台に上がらなくて済んだなら、それでよしよ」
「去年は、えらい目に遭ったっすから」
二人の間に、ひときわ重たい“過去の記憶”がよみがえる。
「まさか、“実録!SP24時間密着ドキュメント”なんて企画になるとは思わなかったわ……しかも、本人役って……あれ、どんな拷問よ?」
「いや、ほんと、隠密行動が基本の私らに、舞台で“どうもー!”とか言わせるって……ありえないっす!」
「しかもアドリブで『実際の護衛任務においてもですね~』とか言わされて……」
「今、思い出しても顔から火が出るっす……」
真子は両手で顔を覆い、机に突っ伏した。
倉子は笑いながら、窓の外を見上げた。空はすっかり茜色に染まり、薄雲が風に流されている。
「でも……今年はいい文化祭だったわね」
「っすね。生徒っぽいイベントで、ちゃんと生徒っぽい空気に混ざれたっていうか」
「……そうね。SPじゃなくて、ただの“高校生”として、ね」
ふたりの目が合い、自然と笑みがこぼれた。
「にしても、弓子ちゃんもよくやったわよね。最初は戸惑ってたけど、委員長として、堂々としてた」
「“成長”ってやつっすか。こっちが教えられた気がするっす」
「そうね、私たち……気づかないうちに年長者ポジションね」
「だってリアルに26歳っすから」
「……言うな」
「来年は27、もうアラサーっすよ」
「だから言うなっての!」
叫びと笑いがこだまする誰もいない教室。その姿は、確かに“ただの高校生”に見えた。
でも、それを知っているのは、彼女たちと、限られたごくわずかな者たちだけ。
カーテンが揺れ、風が通り抜けた。
来年の文化祭も、ふたりは“ただの生徒”としてそこにいるだろう。
そしてまた、誰かの成長を見届ける側に――。
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気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
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だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
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