婚約破棄された私ですが、領地も結婚も大成功でした

鍛高譚

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51話:次なる挑戦への決意

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51話:次なる挑戦への決意


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 教育、医療、農業、商業――
 ヴェルナとエリオットが積み重ねてきた施策は、確実に領地の姿を変えていた。

 住民たちの表情は明るくなり、未来を語る声が増えている。
 だが、ヴェルナの心はすでに、その“先”を見据えていた。

 執務室。
 広げられた計画書を前に、彼女は静かに口を開いた。

「エリオット……私たちがここまで成し遂げてきたことには、誇りを感じているわ」

 指先で書類をなぞりながら、続ける。

「でも、まだ十分ではないと思うの。この領地を“支えられる場所”から、“自ら立ち続けられる場所”にしたい」

「ええ」  エリオットは深く頷いた。 「成功した今だからこそ、次の挑戦を考える意味があります」

「次は――雇用環境よ」

 ヴェルナの瞳に、はっきりとした決意が宿る。

「農業や市場だけではなく、職人や商人を育てる仕組みを作りたいの。技術を学び、仕事を持ち、誇りをもって生きられる領地にしたい」

「領地が自立した経済基盤を持つ……」  エリオットは静かに言葉を受け止めた。 「素晴らしい構想です」


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 その日の午後、二人は職人たちが集まる工房を訪れていた。

 織物、家具、金属加工――
 そこには、日々の努力によって磨かれた技と誇りが息づいていた。

「ヴェルナ様、こちらをご覧ください」

 工房の責任者である老人が、一枚の織物を差し出す。
 繊細な模様と深い色合いに、思わず目を奪われた。

「新しい技法を取り入れたものでして……最近は、他領地からも注文が来るようになりました」

「……本当に美しいわ」

 ヴェルナはそっと織物に触れ、感嘆の息を漏らした。

「こうした技術を、もっと多くの人に学んでもらえたら――この領地は、さらに豊かになるはずよ」

「支援していただけるなら、私たちも後進を育てられます」  老人の声には、確かな希望が込められていた。

「必要な資金や設備について、具体的な提案をまとめてください」  エリオットが即座に応じる。 「私たちは、できる限りの支援を行います」


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 工房を後にした二人は、市場近くの広場を歩きながら話し合いを続けていた。

「職人だけじゃないわ」  ヴェルナは周囲を見渡しながら言う。 「商人たちにも、成長の機会が必要よ。新しい交易路、資金援助、取引を円滑にする制度……」

「商業の発展は、領地全体を支える柱になります」  エリオットは迷いなく頷いた。 「そのために、私たちが示す方向性が重要ですね」

 二人の意見は自然と重なり合っていく。
 かつてのように、どちらかが導くのではない。
 互いを尊重し、支え合いながら、同じ未来を見据えている。


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 夕方、屋敷の書斎。
 二人は机を並べ、計画書の草案を作り始めていた。

「この領地には……」  ヴェルナは静かに語る。 「私たちがまだ知らない才能が、きっとたくさん眠っているわ」

 工房で見た織物が、脳裏によみがえる。

「それを見つけて、育てて、未来につなげる」  彼女は顔を上げた。 「それが、領主としての私の役目だと思うの」

「ええ」  エリオットは力強く頷いた。 「あなたのその想いが、この領地を前へ進めているのです」

 夜が更けるまで、二人の話し合いは続いた。
 計画はまだ“種”にすぎない。
 だが、その種は確かに、次の時代へ芽吹こうとしていた。


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 その夜。
 ヴェルナはテラスに立ち、星空を見上げていた。

「私は、この領地を……もっと希望に満ちた場所にしたい」

 静かな声で、想いを口にする。

「そして、その未来を――あなたと一緒に築いていきたい」

 背後から、エリオットがそっと寄り添い、彼女の手を取った。

「私も同じです、ヴェルナ嬢」  彼は穏やかに、しかし確かな意志を込めて言った。 「あなたと共に進む道こそが、私の選んだ人生です」

 二人は並んで夜空を見上げながら、次なる挑戦への決意を胸に刻んだ。
 新たな章は、静かに、しかし確実に始まろうとしていた。

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