婚約破棄された公爵令嬢は、もう誰の駒にもなりません

鍛高譚

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6話

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王宮の高い塔の上、深い夜の静寂を破るように、王太子アルベルト・フォン・ディアレストは一人、暗い書斎に座っていた。重々しい机の上には、豪華な宴の写真や、かつての婚約者ルーシュエの面影が写る古い肖像画が並んでいる。だが、その輝かしい顔立ちとは対照的に、アルベルトの心は深い後悔と虚無感に包まれていた。

「ルーシュエ……」
彼は、ため息交じりに呟く。かつて自分が愛したはずの、自由奔放で芯の強い少女。その笑顔と、真っ直ぐな瞳は、今でも彼の心に鮮明に焼き付いている。だが、運命は残酷だった。王太子は、政治的な判断と、王国の未来を守るために、彼女を捨て、新たな婚約者として華やかな貴族令嬢、イレーネ・フォン・ローゼンを選んだ。しかし、イレーネの誇大な自己主張と、果てしない浪費が、王宮の財政を蝕む中、アルベルトの心には次第に冷たい後悔が芽生えていった。

その日、王宮の朝食の席では、厳粛な面持ちのアルベルトが、隣に座る執事の声を聞いた。
「殿下、昨夜の評議会において、財務担当官より、王宮の支出が急激に膨れ上がっているとの報告がございました。」
アルベルトは無表情にグラスを見つめながら、深いため息をついた。
「……これは、どういうことだ?」
執事は控えめに続けた。
「王太子妃候補であるイレーネ様が、美しさを保つための数々の贅沢な要求をされ、その結果、国庫に大きな負担がかかっております。」
その報告に、アルベルトの心は痛みで締め付けられた。彼は思い出した。ルーシュエの自由な笑顔、彼女が持っていた控えめでありながら確かな強さ。あの日、彼女の瞳に宿る真実の光を――それは、今の彼の心に温かいものとして残っていた。

一方、王宮の中庭では、華やかな宴の準備が進められていた。イレーネ・フォン・ローゼンは、豪奢な衣装に身を包み、まるで舞台の主役であるかのように、堂々と振る舞っていた。彼女は高らかに宣言する。
「美しさこそ、王国の威厳。私が王太子妃となれば、国は輝きを取り戻すのですわ!」
その言葉に拍手喝采が起こる一方で、民衆や一部の重臣たちの間では、不満の声がひそやかに上がっていた。
「こんな無駄遣いが続けば、国は破綻するに違いない……」
「税が上がれば、民衆の苦しみが増すだけだ……」

王太子アルベルトは、宴の最中にも心の中で激しく葛藤していた。
「ルーシュエ……君の温かさと自由な精神が、私の心を癒してくれたのに……」
彼は、ふと過去の記憶のかけらを思い出す。あの日、森で目覚めた彼女の姿、何も知らずとも力強く、そして不思議な優しさに満ちたその笑顔。
「もし、あの時君を捨てなければ、今も……」
しかし、後戻りはできない。選んだ道は、冷徹な現実によって埋め尽くされていた。

夜が更け、王宮の廊下に薄明かりが差し込む頃、アルベルトは一人書斎に籠り、古い文書や日記に目を通していた。
そこには、彼がかつてルーシュエと交わした約束や、彼女に対する真摯な思いが、繊細な筆致で記されていた。
「君は、ただ私のそばにいてほしかった。君の自由な魂こそ、真の愛の証であったのに……」
その言葉を読みながら、王太子は自らの選択の愚かさに打ちひしがれ、涙が頬を伝うのを感じた。しかし、彼はそれを見せることはなかった。
「もう遅い……すべては、私が決めた道の結果だ。」
自責と後悔の中で、彼の心はますます閉ざされていった。

一方、ルーシュエは王宮の喧騒から遠く離れた場所で、自由な冒険者としての生活を満喫していた。
森や山、広大な大地を駆け抜け、彼女は自分自身の力で生きるという確固たる信念を胸に抱いていた。
「私は、ただ自由に生きるだけ。誰にも縛られたくはない。」
彼女は、かつて王宮に戻った時のあの重苦しい空気や、陰謀に満ちた家族のしがらみから完全に解放され、真に自分の生き方を選ぶことができたと感じていた。
冒険の旅の中で、ルーシュエは新たな仲間や友との出会い、そして自らの成長を感じながら、心からの喜びと自由を噛みしめていた。
「王宮の贅沢な生活なんて、私には似合わない。広い世界には、私を待つ未知なる冒険が山ほどあるのよ!」
彼女は、快活な笑顔とともに、広大な大地を歩み続け、未来への希望に胸を躍らせていた。

だが、王宮の中では、イレーネの華やかさと王太子アルベルトの苦悩が、次第に国全体に影響を及ぼし始めていた。
財政難や民衆の不満が高まり、王宮の中枢で暗躍する重臣たちは、イレーネの浪費に対して厳しい批判を投げかけるようになった。
「美しさを保つために、国民の税金を無駄にするなど、到底許されるものではない……」
その声は、王太子の耳にも届き、彼の心にさらなる苦悩を与えた。
「もし、君があの日、ルーシュエとともにいてくれたなら……」
彼は独り言のように呟きながらも、その想いを封じ込めるしかなかった。

ある夜、王宮の広間で、静かな宴が催された。
イレーネは、輝くドレスと完璧な身のこなしで、まるで生きた彫刻のように振る舞い、王太子との婚約を祝福されていた。
だが、王太子の表情はどこか虚ろで、彼の心の奥には、ルーシュエの記憶が暗い影を落としていた。
「私の心は、あの日の君に縛られている……」
その思いは、宴の華やかさの中で、ひそやかに彼を苦しめ続けていた。

王太子は、翌朝、重い心を抱えながらも、宮殿の中庭を一人歩いた。
朝陽が広大な庭園を黄金色に染め上げる中で、彼は心の中で静かに叫んだ。
「どうして、あの日の選択がこんなにも私を苦しめるのだ……」
その叫びは、彼自身にも届かないほどに虚しく、ただ自分の弱さを痛感するだけだった。
そして、彼は静かに呟いた。
「ルーシュエ、君があの日いなければ、今の私は……」

その後、王太子は、かすかな後悔とともに、イレーネとの婚約が国政にどのような影響を及ぼしているか、深刻に考え始めた。
財務担当官からの報告書には、イレーネの要求による王宮の支出の急増と、それに伴う国庫の逼迫が詳細に記されていた。
「殿下、現在の財政状況は、我々の予測を遥かに超えております……」
その数字は、王国全体にとって危機的な状況を示していた。
王太子は、数字に目を通しながら、心の中でひそかに、ルーシュエとの日々が過ぎ去ったあの日々を思い出していた。
「君の穏やかさと温かさ、君の自由な笑顔……」
その記憶は、彼の心を締め付け、今の現実とのギャップに胸を痛めた。

こうして、王太子アルベルトは、自分の決断がもたらした結果に対し、深い後悔と苦悩の中で揺れ動き始める。
彼は、王宮の重厚な廊下を歩くたびに、自分が選んだ道がどれほど間違っていたのかを、痛感せずにはいられなかった。
「もし、君とルーシュエが、今も一緒にいたなら……」
その思いは、彼の内面で静かに燃え上がり、すべてを取り戻そうとする切実な執着へと変わっていった。

だが、同時に、ルーシュエは自由な冒険者として、王宮のしがらみから解放された新たな生活を謳歌していた。
彼女は広大な大地を駆け抜け、森や山、川を越えて、どこまでも自分の意志で歩む日々に、心からの喜びを感じていた。
「私は、ただ自由に生きたいだけ。誰にも縛られることなく、自分の道を歩むの。」
その声は、どこか穏やかで、しかし強い決意に満ちていた。
彼女は、冒険の旅の中で新たな仲間や出会いを得る一方で、王宮の重圧から完全に解放され、真の自由を享受していた。

ある晴れた日の午後、ルーシュエは小さな村の酒場で一人、温かな食事と共に旅の記録をつけていた。
その時、ふと目にした手紙の封筒に、彼女は一瞬戸惑いを覚えた。封筒には、「アルベルト殿下より」という文字が、金色の筆で書かれていた。
ルーシュエは、心臓が高鳴るのを感じながら、封を切った。
中には、王太子からの簡単なメッセージが記されていた。
「ルーシュエ、どうか私と再び会ってほしい。君は、私の運命の相手だ。」
その短い文面には、かすかな後悔と共に、王太子の固執が滲んでいた。
しかし、ルーシュエはそれを受け流し、ただ淡々と手紙を折りたたんで机の上に置いた。
「もう、私には関係ない。」
そう心の中でつぶやき、彼女は再び旅の準備に身を投じた。

その一方で、王宮では、アルベルトの心の中で日々後悔が募っていた。
夜な夜な、彼は書斎にこもり、過去の記憶に浸りながら、ルーシュエの笑顔を思い出していた。
「あの日の君の声、あの温かい瞳……」
彼は、冷たい書類の山に囲まれながら、ひそかに涙を流していた。
しかし、その涙を誰にも見せることはなかった。
王宮内の重圧と、国の未来を守るための決断が、彼の心をますます苦しめ、そして固く閉ざしていった。

こうして、王太子とルーシュエ、二つの運命は、遠く離れた場所で静かに、それぞれの道を歩んでいた。
王太子は、かつての愛と後悔の狭間で、己の誤った選択を悔いながら、国政に揺さぶられる日々を送っていた。
一方で、ルーシュエは、自由な大地を駆け抜け、新たな仲間たちとの出会いや、未知なる冒険に胸を躍らせていた。
それは、まるで運命の二つの糸が、全く違う方向へと引かれているかのようであった。

王宮の豪華な宴や、厳かな儀式の陰で、民衆の不満の声は次第に高まっていった。
イレーネの浪費によって国庫が逼迫し、税金が上がるたびに、庶民の生活は苦しくなっていく。
その様子は、重々しい報告書として王太子のもとに届き、彼の心をますます苦しめた。
「もし、あの時ルーシュエが……」
その考えは、彼にとってあまりにも苦く、そして逃れられぬ呪縛となって、日々の行動を支配していた。

夜が更け、王宮の暗い回廊を歩く王太子は、どこか遠くの記憶に引き裂かれるような孤独を感じていた。
「……私の選択が、国と自分自身を、どれほど苦しめたのか。」
彼は、深い後悔と絶望の中で、かつての愛を取り戻そうとする未練にすがるように、再びルーシュエの名を呟いた。
その声は、夜の静寂に溶け込み、誰にも届かなかった。

こうして、王宮内では、王太子アルベルトの心の闇と、国の危機が静かに進行していった。
そして、ルーシュエは、自由な冒険者としての生活の中で、今後の自らの未来と、本当の自分を見つけるための第一歩を踏み出そうとしていた。
「私は、誰にも縛られることなく、自分の道を歩む。私の力で、未来を切り拓くの。」
その言葉は、広大な大地を前に、確固たる希望として胸に刻まれた。

王太子の心に残る後悔と、ルーシュエの自由への決意――
それは、二つの運命が交錯し、国の未来をも左右する大いなる物語の序章に過ぎなかった。
国王や重臣たちは、王宮内の緊迫した状況をどうにか収拾しようと動いていたが、真実はすでに、王太子の心の中に深い傷を刻んでいた。
「ルーシュエ……君が、どれほど私の心に光を与えたか……」
しかし、彼はその思いを胸に秘めたまま、孤独と後悔の中で、日々を過ごすしかなかった。

こうして、王太子の内面にある苦悩と、ルーシュエの自由への希望は、互いに遠く離れた場所で、確実に形を持って進んでいく。
民衆の不満と、王宮内の混沌とした状況は、国全体に新たな危機感を呼び起こし、未来への不安を募らせる。
だが、同時に、ルーシュエの歩む道は、これから始まる数多の冒険と、未知なる世界への扉を開く鍵となるのだ。

こうして、王太子アルベルトは、後悔と孤独に苛まれながらも、己の誤った選択の重さに耐え、未来への希望を捨てきれずにいる。一方、ルーシュエは、自由を謳歌しながらも、自らの存在の意味と家族の裏切りの真相を求め、静かに、しかし確実に新たな歩みを進める決意を固めていた。
「私の未来は、私自身が決める。どんな困難も、乗り越えてみせる。」
その決意は、風に乗って森や大地へと広がり、彼女の胸の中で、いつしか大きな光となって輝くようになった。

そして、夜明けの光が再び王宮の遠くの地平線を照らし出す頃、王宮と外の世界との間に、確かな隔たりがあることを、ルーシュエは改めて感じ取るのだった。
「これからは、私が自由に生きるの。誰にも縛られず、自分の力で未来を掴み取るの。」
その言葉を胸に、彼女は新たな冒険へと向かうため、決意の一歩を踏み出した。

こうして、王宮内に蔓延る後悔と混沌、そして自由への渇望は、国の未来に新たな波紋を呼び起こし、二つの運命は、静かにしかし確実に新たな物語の幕開けを迎えるのであった。
――王太子の後悔と、ルーシュエの自由への決意が、これからの国の命運を左右する。

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