婚約破棄された公爵令嬢は、もう誰の駒にもなりません

鍛高譚

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12話

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 王宮の重厚な石造りの大広間には、今や絶望と怒号、そして深い静寂が交錯していた。昨夜、王宮内で起こった一連の事件が、ついに王族全体に衝撃を与える形で明るみに出た。王太子アルベルト・フォン・ディアレストが、密かに企てた第二王子エドワード殿下への暗殺計画が発覚し、その証拠が次々と明らかになったのだ。

重臣たちが緊急会議のため大広間に集い、宰相の厳粛な声が部屋全体に響いた。「本日、調査の結果、王太子殿下の指示による第二王子殿下への暗殺未遂が確定いたしました。この行為は、王族間の信頼のみならず、国家の根幹をも揺るがす重大な反逆行為であります。」
その言葉に、広間にいた貴族や重臣たちは、一様に顔を伏せ、深い憤りと失望の表情を浮かべた。国王自身も、厳粛な面持ちで壇上に立ち、次の宣告を始めた。

「アルベルト・フォン・ディアレスト、お前は王族としての誇りを完全に失い、もはや王位継承権を保持する資格は認められぬ。」
その宣告とともに、王宮内には凍りつくような静寂が訪れた。王太子は、まるで全世界に裏切られたかのような虚ろな瞳で広間を見渡し、震える声で訴えた。「なぜ……なぜ、私は報われない!? すべてルーシュエのせいだ!」
その叫びは、怒りと狂気に満ち、王太子自身の心の闇と絶望を如実に物語っていた。

だが、その瞬間、広間の隅からルーシュエ・フォン・リヒトが、冷静な声で静かに口を開いた。「すべては、あなたの選択の結果よ。」
その一言は、王宮内にいる全員の耳に鋭く突き刺さり、王太子の怒りは一層激しさを増した。
「私が……私があの日、君を捨てたせいで……!」
アルベルトの叫びは、もはや理性を超え、狂気の叫びと化していた。広間に集まった重臣たちも、その激しい言葉に言葉を失い、ただただ沈黙を守るしかなかった。

国王は、厳粛な面持ちでその場を締めくくった。「これにより、アルベルト・フォン・ディアレストは王位継承権を剥奪され、廃嫡とする。王位は第二王子エドワードに継承される。」
その宣告が下されると、王宮内は、一瞬の静寂とともに、深い後悔と共に悲哀が漂い始めた。王太子の廃嫡が正式に決定され、彼はもはや王族としての誇りを失い、ただ虚無と狂気の中に沈んでいく運命にあった。

アルベルトは、国王の宣告を聞いたその瞬間、顔を青ざめさせ、拳を握りしめながら、苦悶の叫びを続けた。「なぜ……なぜ、私は報われない!? すべてはルーシュエのせいだ……!」
彼の声は、暗い王宮の廊下に虚しく反響するだけで、誰にも届かぬ孤独な絶叫となった。
「君が、私を拒絶したから……君が私を捨てたから……」
彼は、あの日の決断を繰り返し自責し、深い後悔に苛まれていた。

一方、ルーシュエはその場には立っていなかった。
彼女は、王宮内で起こったこの一連の事件を、遠く離れた場所から冷静に見つめていた。
王宮の混乱は、家族内の陰謀と裏切り、そして個人の悲劇が国家全体に影響を及ぼすという、厳しい現実を物語っていた。
「すべては、あなたの選択の結果よ。」
ルーシュエのその言葉は、彼女自身が自由と尊厳を求めて歩む道そのものであり、誰にも縛られることなく生きるための覚悟を示していた。

国王や重臣たちは、アルベルトの行為を厳しく非難し、改革の必要性を強く訴えた。
「我々は、王族の誤りによって国が混乱することを、決して許してはならぬ。」
その言葉は、国中に広がる不信感と民衆の怒りを象徴するものとなり、王家の新たな体制の構築が急務とされた。

アルベルトは、すべてを失った王太子として、廃嫡の刑に服することを余儀なくされ、重い鎖につながれたまま、王宮の外へと追いやられた。
「私は、何もかも失った……」
彼の虚ろな瞳には、かつての輝かしい希望はなく、ただ深い絶望と狂気が映し出されていた。
王宮の門が閉ざされると、その背中には、もはや誇りも希望も残されず、ただ無力さだけが漂っていた。

この一連の出来事は、王宮内外に激しい波紋を呼び、王族のあり方、そして国の未来そのものに大きな影響を及ぼすこととなった。
国王は、王家の内部改革を断行し、国庫の財政再建と民衆の信頼回復に向けた新たな政策を打ち出すと同時に、王太子アルベルトの名を歴史から抹消する決断を下した。
「これにより、王太子アルベルト・フォン・ディアレストの存在は、もはやこの国の未来に関与するものではない。」
その言葉が広宮内に告げられると、重臣たちは静かに頷き、民衆は新たな時代の到来を予感していた。

王宮の一角で、アルベルトは最後の瞬間まで自らの誤った選択を悔い、苦悶に打ちひしがれていた。
「なぜ、なぜ、こんなことに……」
彼は、独り言のように呟きながら、かつてルーシュエとの交わした約束や、彼女の温かい笑顔を胸に刻みつけた。しかし、取り返しのつかぬ過去は、彼の心に永遠の傷を残すだけだった。

その一方で、ルーシュエは、王宮の混乱と、王太子アルベルトの狂気と後悔を静かに見守りながら、自由な冒険者としての歩みを続けていた。
彼女は、家族の裏切りと陰謀、そして王宮内の重苦しいしがらみに縛られることなく、ただ自分の生きる道を選んだ。
「私は、誰にも支配されることなく、自分の未来を自らの力で切り拓く。」
その言葉は、王宮の暗い廊下にこだまし、民衆の心に新たな希望の光として、静かに広がっていった。

国王は、改革のための厳正な政策を打ち出し、王家の伝統と国の未来を再建するための一連の施策を始めた。
その中で、王太子アルベルトの失墜は、国の指導層にとって重い教訓となり、再び同じ過ちが繰り返されることのないよう、厳しい体制が築かれていった。
「我々は、王族の誤った選択によって国が混乱することを、決して許してはならぬ。」
という言葉が、評議会の場で重々しく響いた。

アルベルトの後悔と孤独は、王宮内の隅々にまで染み渡り、彼の名前は、次第に歴史の闇に葬り去られる運命となった。
「すべては、私の選択の結果……」
その呟きが、廃墟のような王宮の静寂に混ざり、永遠に戻ることのない悲劇として刻まれていった。

こうして、第三部 第3章は、王太子アルベルトの暗殺計画の発覚と廃嫡、そして彼の深い後悔と狂気の果てに、国の未来が大きく揺れ動く決定的な転換点となった。
王宮内の混乱は、民衆の不満とともに新たな政治改革の波となり、国全体の命運を左右する重要な一幕として、後に語り継がれることとなった。

ルーシュエは、そのすべてを静かに見届けながら、自らの自由と尊厳を守るため、今後の行動に一層の決意を新たにした。
「私は、誰にも利用されることなく、真実を追求し、自分の未来を切り拓く。」
その言葉は、冷たい王宮の廊下や、記憶の欠片が散らばる古い書庫に、確固たる希望と覚悟として刻まれていた。

夜が更け、王宮の暗い回廊にひっそりと佇むアルベルトの姿は、まるでかつての輝きを失った王族の幻影のようであった。
「ルーシュエ……君が、今も自由でいてくれるなら、私の後悔もいつか、風に消えるのだろうか……」
その呟きは、王宮の冷たい石壁に吸い込まれるかのように消え、永遠に返すことのない過去の悲哀となった。
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