追放される前に、迷宮を支配しました ~聖女は王国を見限る~

鍛高譚

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23話:サラの返答

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23話:サラの返答


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 サラ・ラップは、アルファード王子の前で静かに立っていた。

 彼女の金色の髪は、柔らかな陽光を浴びて輝き、その青い瞳には、まっすぐな意思が宿っていた。

 彼女は、決断を迫られていた。

 王国へ戻るのか、それともこのまま穏やかな暮らしを続けるのか——

 その答えを出す時が来ていた。


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アルファードの説得

 「サラ。」

 アルファードの声は、静かだった。

 「王国には、お前が必要だ。」

 その言葉に、サラは目を細める。

 「……今さら?」

 彼女の声には、微かな皮肉が混じっていた。

 アルファードは、真っ直ぐな視線で彼女を見つめた。

 「……そうだ。今さらだ。」

 「……」

 「だが、それでも俺は、お前を迎えに来た。」

 彼の言葉には、一切の迷いがなかった。

 サラは、ふっと息をつく。

 「国のため、ですか?」

 「そうだ。」

 「私が戻れば、王国が救われると?」

 「それは分からない。」

 アルファードは正直に答えた。

 「だが、お前がいなければ、何も変わらない。王国を立て直すためには、お前の力が必要なんだ。」

 サラは、しばらく黙っていた。

 彼の言葉は、真実だと分かっていた。

 王国を守るために尽くしてきた日々。

 その努力を、エクシードとクレアによって無にされたこと。

 そして、彼らが追放されてもなお、王国が混乱していること。

 サラは、自分がどれだけ重要な存在だったのかを、今になって改めて実感していた。


---

サラの条件

 「……分かりました。」

 サラは、ゆっくりと口を開いた。

 「私は、とりあえず王宮へ戻ります。」

 「……!」

 アルファードの表情に、安堵の色が広がる。

 しかし、サラはすぐに続けた。

 「ただし。」

 その声には、はっきりとした意思がこもっていた。

 「私は、王宮へ戻ったからといって、すぐに聖女としての務めを果たすつもりはありません。」

 「……?」

 アルファードが眉をひそめる。

 「私はもう、"聖女"という肩書きを押し付けられるつもりはないんです。」

 「……お前の意思を尊重しよう。」

 アルファードは、即座に頷いた。

 「俺は、お前を無理に利用しようとは思わない。お前がどうしたいのか、それが大切だ。」

 サラは、彼の言葉を聞いて、少し驚いたように彼を見た。

 アルファードは、エクシードとは違った。

 彼は、彼女を"都合のいい存在"としてではなく、一人の人間として見ていた。

 それが、彼女の心をわずかに揺らした。


---

旅立ちの準備

 「では、明日の朝、ここを発ちましょう。」

 サラがそう言うと、アルファードは頷いた。

 「準備は俺たちがする。お前は、ゆっくり休め。」

 「ありがとうございます。」

 サラは微笑んだ。

 教会の祭壇を見つめる。

 ここでの生活は、静かで穏やかだった。

 しかし、彼女は知っていた。

 自分がここにいても、何も変わらない。

 王国の未来を決めるのは、やはり彼女なのだ。

 サラは、自分の役目を改めて受け入れることにした。


---

夜の静寂

 夜になり、サラは静かに教会のベッドに横たわった。

 窓からは、満天の星空が広がっている。

 彼女は、過去を振り返った。

 王宮での日々、祈りを捧げる毎日。

 そして、エクシードに裏切られ、迷宮に捨てられたこと。

 あの時は、ただ怒りと悲しみだけがあった。

 しかし、今は違う。

 彼女の心には、冷静な決意が宿っていた。

 私は、私の意思で王国に戻る。

 誰のためでもない。

 自分のために——
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