捨てられた令嬢と、選ばれなかった未来

鍛高譚

文字の大きさ
12 / 18
第3章:エミリアの逆襲と、皇太子との急接近

3-4

しおりを挟む
離宮での舞踏会――始まる逆転への序曲

 迎えた当日、エミリアはウィンスレット公爵家が所有する最高級の馬車に乗り、護衛を数名伴って離宮へ向かった。ドレスは濃いラベンダーを基調とし、胸元と袖口にシルバーの刺繍が施された繊細なデザイン。派手すぎず地味すぎず、それでいて気品と華やかさを失わない絶妙なバランスを追究した一着だ。
 離宮に到着すると、その建物の美しさにエミリアは息を呑む。王宮とは異なる淡いベージュの壁面に、優雅な曲線を多用した建築様式。庭園には季節の花が咲き誇り、噴水や彫像が点在している。夜になると無数のランタンが灯され、幻想的な雰囲気を醸し出すのだろう。

 案内されたホールに足を踏み入れると、すでに音楽隊が優雅なワルツを奏でていた。参加者はおそらく三十名ほどか――通常の王族主催の舞踏会と比べて人数は格段に少ない。貴族だけでなく、遠方からの大使や隣国の王子らしき人も見受けられる。まさに“小規模の国際交流の場”といった趣きだ。
 エミリアがホールを一望していると、すかさず衛兵が近寄り、「皇太子殿下がエミリア様をお待ちです」と告げた。妙に段取りがいい。まるで、アレクシス皇太子がエミリアの到着を心待ちにしていたかのようだ。

 (やはり、私と直接話すつもりなのね……)

 心の奥がざわつくのを感じながらも、エミリアは深い呼吸をして落ち着きを取り戻す。周囲の視線がある以上、堂々と振る舞わなければならない。
 衛兵に導かれるままホールの奥へ進むと、そこにアレクシス皇太子が控えていた。漆黒の髪を後ろへ流し、深紅を基調とした礼装に身を包んだ姿は、いつにも増して風格がある。近づくエミリアを見つけると、アレクシスは柔らかな笑みを浮かべて声をかけた。

 「よくいらしてくれたね、エミリア・ウィンスレット。…そのドレス、とてもお似合いだ」

 「皇太子殿下、過分なお言葉をありがとうございます。お招きいただき、光栄に存じますわ」

 エミリアが丁寧に一礼すると、アレクシスは「どうぞ、顔を上げてくれ」と言い、近くのテーブルへ案内した。そこには既に準備された上質なワインと、水晶のグラスが並べられている。傍らに数名の随員も控えているが、アレクシスが手振りで下がるよう指示すると、皆遠巻きに後退していった。

 「賑やかそうだが、ここは公的な舞踏会よりも、私的な気安さを重視している。参加者の多くは、私個人の客人や親交を結びたい相手だ。その中に君を招いたのには、いくつか理由がある」

 「理由、ですか……?」

 エミリアが小首を傾げると、アレクシスは軽くワインを注ぎ、彼女のグラスへ差し出した。エミリアは礼を言ってそれを受け取る。深いルビー色の液体がグラスの中できらめく。

 「一つは、先日の晩餐会で君とちゃんと話をする機会がなかったからだ。あの場では、国の要人やら貴族やらに囲まれて、ゆっくり言葉を交わすこともできなかった。――何より、私はずっと気にしていたのだよ。あの舞踏会で、君が婚約を破棄されてしまったことを」

 そう言うアレクシスの声には、どこか申し訳なさが滲んでいる。エミリアは少し戸惑いながらも、明るい調子で答える。

 「殿下がお気に留めることはありませんわ。あれはアルバートと王女殿下の問題ですし、私自身、今では吹っ切れております」

 「吹っ切れている、か。……そうだといいが、私は王女クラリッサの性格をそれなりに知っている。あれだけのことをしたのだから、君の心に深い傷を残したのではないか、と思わずにはいられなかったのだ」

 まるでこちらの苦しみを共有してくれるような口ぶり。皇太子がここまで親身に感じる理由とは何なのか。エミリアは首を振り、穏やかな微笑を浮かべる。

 「お気遣いはありがたいのですが、私はもう大丈夫ですわ。むしろ、こうして社交界で何が起きようと、私が私であることに変わりはありませんから」

 「……そうだな。まさに君らしい答えだ」

 その言葉と同時に、アレクシスはグラスのワインを一口含んだ。その横顔を見ていると、どこか優しい――というより、“悲しげ”な印象を受ける。エミリアが不思議に思いかけたとき、彼が言葉を続ける。

 「もう一つの理由。――実は、この舞踏会には近々、ある“計画”を進めるための協力者を探す意図があってね。その計画に、君が手を貸してくれないかと思っているのだ」

 「計画、とは……?」

 「簡単に言えば、王族間の権力争いを少しでも穏便に解決し、この国の未来を安定させるための試みだ。王女クラリッサは権勢を欲し、アルバートはそれに乗じて出世を狙う。正直、見過ごしていたら国が乱れかねない。……だからこそ、私の側もある程度の態勢を固める必要があると考えている」

 エミリアは驚きに言葉を失う。まさか皇太子が、王女とアルバートの動きを“危険”とみなしているとは。確かに、国政に強い影響力を持ち始めれば、暴走する可能性は否めない。アレクシスがそこを懸念するのも、ある意味当然なのかもしれない。

 「私は先王(今の国王の父)の血統を色濃く引いているが、クラリッサは王妃の血統。……腹違いのきょうだいゆえ、表面上は仲良く見せていても、実際には葛藤がある。ましてや、あのアルバートが入り込んでくれば、さらに状況は複雑になるだろう。――そこで、私は信頼できる人々を集めて、王女派の動きを牽制したいのだよ」

 「私に、その協力を……ですか? 私など、今や捨てられた令嬢と噂されておりますのに」

 エミリアの自虐にも似た言葉に、アレクシスは小さく笑みを漏らす。

 「捨てられた、ね。――だが、私は知っている。君にはウィンスレット公爵家という強大な後ろ盾がある。政治的にも十分に発言力を行使できるし、社交界での立ち振る舞いも群を抜いている。それに、君自身がただの“お飾り令嬢”ではないことは、幼い頃から感じていたよ」

 その言葉に、エミリアの胸が小さく震える。自分のプライドや力を見抜いて、正当に評価してくれる存在。それは、今の彼女にとってかけがえのない助力であり、思わず心を揺さぶられるものだった。

 「王女クラリッサが国王の寵愛を得て、王城での発言力を大きくしようとしている今、私としても黙って傍観はできない。……もし、アルバートのような人間が国政を動かす立場になったら、この国はどうなるか分からないからな」

 アレクシスの瞳は真摯だった。そこには“私利私欲”よりも、“国を思う気概”が感じられる。エミリアは軽く息をつき、己の思いを吐き出すように口を開く。

 「私も、アルバートが国の中枢を握るのは危険だと思っています。……あの方は、昔はともかく、今は権力に目が眩んでいる。王女殿下と結びつくことで、より上へ、より強い権力へと手を伸ばすことでしょう。それが何をもたらすのかは、考えるだけで不安になりますわ」

 「ならば、協力してくれるか?」

 アレクシスの問いかけに、エミリアはわずかに言葉を詰まらせた。王女とアルバートを牽制するということは、それこそ彼らを敵に回すという意味だ。だが、もはやエミリアは“敵に回す”というよりも、すでに“敵視されている”と言ってもいい。ならばこそ、むしろアレクシス皇太子側につくほうが生き残る道だろう。

 「……分かりました。私でお力になれるのでしたら、喜んで協力させていただきます。ウィンスレット公爵家の父とも相談し、できる限りの協力体制を築きましょう」

 エミリアがそう答えると、アレクシスは安堵の笑みを浮かべ、グラスを軽く掲げた。

 「ありがとう、エミリア。これは私個人だけでなく、この国にとっても大きな一歩になると信じている。――さて、難しい話はここまでにしようか。今日は舞踏会だ。君が来てくれたのだから、一曲踊りでも付き合ってほしい」

 エミリアが驚いて目を瞬かせると、アレクシスはすっと手を差し出す。遠巻きに周囲を伺っていた人々も、皇太子がエミリアをダンスに誘ったと知るや否や、どよめきに近い視線を向けてきた。
 (また余計な噂が立ちそうだけど……)
 それでも、“捨てられた令嬢”から“皇太子のダンスパートナー”へ。これほど見事な変化を示す機会はない。エミリアは微笑みながらその手を取り、軽く礼をしてホールの中央へ足を進める。

 ややアップテンポのワルツが始まり、アレクシスとエミリアは呼吸を合わせるようにステップを刻む。皇太子のエスコートは堂に入っていて、エミリアも自然なリズムで彼に寄り添って踊る。まるで長年のパートナーかのように息が合い、周囲の視線を惹きつけてやまない。
 ――ほんの数分前まで、エミリアは「なぜ招かれたのか」と戸惑っていた。しかし、今はもう腹が決まっている。アレクシスが差し伸べた手を取り、王女クラリッサやアルバートの野望と渡り合う。それは彼女自身の“復讐”と“自立”にも通じる道だ。

 音楽に合わせて舞ううちに、エミリアの胸中には不思議な高揚感が生まれていた。皇太子アレクシスの隣は心地よく、彼のさりげない気遣いと柔和な笑みが、沈んでいた気持ちをほんの少し解きほぐしてくれる。

 (私はまだ負けていない。ここからが本番……。アルバート、王女殿下、覚悟なさい)

 踊りながら、エミリアはそう心の中で決意を再確認する。侮辱され、捨てられた苦しみは決して消えない。けれど、そこから立ち上がり、新たな力を得て進むことはできる。それこそが、公爵令嬢エミリア・ウィンスレットの戦い方だ。

 曲の終わりとともに、アレクシスがエミリアの手を軽く握り、にこりと笑みを交わす。周囲からは称賛の拍手が湧き起こり、先ほどまで興味半分で眺めていた貴族たちも、いつの間にか二人の優雅さに心を奪われていたかのようだ。

 ――こうして、エミリアの“新たな幕開け”とも言うべき夜が、更けていく。王女とアルバートが君臨する社交界に対し、皇太子とエミリアがどのような一手を打っていくのか。次なる戦いへの期待と緊張を胸に、エミリアは再び舞踏曲のリズムに身を委ねたのだった。


---


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されたので、戻らない選択をしました

ふわふわ
恋愛
王太子アルトゥールの婚約者として生きてきた 貴族令嬢ミディア・バイエルン。 だが、偽りの聖女シエナに心を奪われた王太子から、 彼女は一方的に婚約を破棄される。 「戻る場所は、もうありませんわ」 そう告げて向かった先は、 王都から遠く離れたアルツハイム辺境伯領。 権力も、評価も、比較もない土地で、 ミディアは“誰かに選ばれる人生”を静かに手放していく。 指示しない。 介入しない。 評価しない。 それでも、人は動き、街は回り、 日常は確かに続いていく。 一方、王都では―― 彼女を失った王太子と王政が、 少しずつ立ち行かなくなっていき……? 派手な復讐も、涙の和解もない。 あるのは、「戻らない」という選択と、 終わらせない日常だけ。

婚約破棄ですか?構いませんわ。ですがその契約、すべて我が家のものです

ふわふわ
恋愛
王太子ユリウスは、王立学園の卒業舞踏会で突然宣言した。 「カリスタ・ヴァレリオンとの婚約を破棄する!」 隣には涙を流す義妹ルミレア。 彼女は「姉に虐げられてきた可哀想な令嬢」を演じ、王太子はそれを信じてしまう。 だが――王太子は知らなかった。 ヴァレリオン公爵家が 王国銀行の資金、港湾会社の株式、商人組合の信用保証―― 王国経済の中枢を支える契約のほとんどを握っていたことを。 婚約破棄と同時に、カリスタは静かに言った。 「では契約を終了いたします」 その瞬間、王国の歯車は止まり始める。 港は停止。 銀行は資金不足。 商人は取引停止。 そしてついに―― 王宮大広間で王太子の公開断罪が始まる。 「私は悪くない!」 「騙されたんだ!」 見苦しく喚き暴れる王太子は、衛兵に取り押さえられ、床を引きずられるようにして連行されていく。 王太子、義妹、義父母。 すべてが破滅したとき、カリスタはただ静かに告げる。 「契約は終わりました」

婚約破棄されましたが、私はもう必要ありませんので

ふわふわ
恋愛
「婚約破棄? ……そうですか。では、私の役目は終わりですね」 王太子ロイド・ヴァルシュタインの婚約者として、 国と王宮を“滞りなく回す存在”であり続けてきた令嬢 マルグリット・フォン・ルーヴェン。 感情を表に出さず、 功績を誇らず、 ただ淡々と、最善だけを積み重ねてきた彼女に突きつけられたのは―― 偽りの奇跡を振りかざす“聖女”による、突然の婚約破棄だった。 だが、マルグリットは嘆かない。 怒りもしない。 復讐すら、望まない。 彼女が選んだのは、 すべてを「仕組み」と「基準」に引き渡し、静かに前線から降りること。 彼女がいなくなっても、領地は回る。 判断は滞らず、人々は困らない。 それこそが、彼女が築いた“完成形”だった。 一方で、 彼女を切り捨てた王太子と偽聖女は、 「彼女がいない世界」で初めて、自分たちの無力さと向き合うことになる。 ――必要とされない価値。 ――前に出ない強さ。 ――名前を呼ばれない完成。 これは、 騒がず、縋らず、静かに去った令嬢が、 最後にすべてを置き去りにして手に入れる“自由”の物語。 ざまぁは静かに、 恋は後半に、 そして物語は、凛と終わる。 アルファポリス女子読者向け 「大人の婚約破棄ざまぁ恋愛」、ここに完結。

婚約破棄された令嬢は、“神の寵愛”で皇帝に溺愛される 〜私を笑った全員、ひざまずけ〜

夜桜
恋愛
「お前のような女と結婚するくらいなら、平民の娘を選ぶ!」 婚約者である第一王子・レオンに公衆の面前で婚約破棄を宣言された侯爵令嬢セレナ。 彼女は涙を見せず、静かに笑った。 ──なぜなら、彼女の中には“神の声”が響いていたから。 「そなたに、我が祝福を授けよう」 神より授かった“聖なる加護”によって、セレナは瞬く間に癒しと浄化の力を得る。 だがその力を恐れた王国は、彼女を「魔女」と呼び追放した。 ──そして半年後。 隣国の皇帝・ユリウスが病に倒れ、どんな祈りも届かぬ中、 ただ一人セレナの手だけが彼の命を繋ぎ止めた。 「……この命、お前に捧げよう」 「私を嘲った者たちが、どうなるか見ていなさい」 かつて彼女を追放した王国が、今や彼女に跪く。 ──これは、“神に選ばれた令嬢”の華麗なるざまぁと、 “氷の皇帝”の甘すぎる寵愛の物語。

婚約破棄された侯爵令嬢ですが、帝国の次席秘書官になりました ――王の隣ではなく、判断を誤らせない場所へ

ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として王宮に仕える侯爵令嬢ゼクレテァ。 彼女は華やかな場に立つことはなく、ただ静かに、しかし確実に政務と外交を支えていた。 ――その役割が、突然奪われるまでは。 公の場で告げられた一方的な婚約破棄。 理由はただひとつ、「愛している相手がいるから」。 ゼクレテァは感情を見せることなく、その決定を受け入れる。 だが彼女が王宮を去った後、王国には小さな歪みが生じ始めた。 些細な行き違い、遅れる判断、噛み合わない政策。 それらはやがて、国家全体を揺るがす事態へと発展していく。 一方、行き場を失ったゼクレテァの前に、思いもよらぬ「選択肢」が差し出される。 求められたのは、身分でも立場でもない。 彼女自身の能力だった。 婚約破棄から始まる、 静かで冷静な逆転劇。 王の隣に立つことを拒んだ令嬢は、 やがて「世界を動かす場所」へと歩み出す――。 -

婚約者チェンジ? 義理の妹は公爵令嬢の地位もチェンジされました』 ~三日で破談、家ごと褫奪の末路です~

ふわふわ
恋愛
「お姉様の婚約者、私がいただきますわ。だって“公爵令嬢”ですもの」 義理の妹コンキュはそう言って、王太子との婚約を奪いました。 父はそれを容認し、私は静かに受け入れます。 けれど―― 公爵令嬢とは“地位”ではなく、“責任”の継承者。 王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。 さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。 そして下されたのは――家ごとの褫奪。 一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。 欲しがったのは肩書。 継いだのは責任。 正統は叫びません。 ただ、残るだけ。 これは、婚約を奪われた公爵令嬢が “本当に継がれるべきもの”を証明する物語。

婚約破棄したその場から、ざまぁは始まっていました

ふわふわ
恋愛
王国随一の名門、アルファルド公爵家の令嬢シャウラは、 ある日、第一王子アセルスから一方的に婚約を破棄される。 理由はただ一つ―― 「平民出身の聖女と婚約するため」。 だが、その“婚約破棄したその場”で、ざまぁはすでに始まっていた。 シャウラは泣かず、怒らず、抗議もしない。 ただ静かに席を立っただけ。 それだけで―― 王国最大派閥アルファルド派は王子への支持を撤回し、 王国最大の商会は資金提供を打ち切り、 王太子候補だったアセルスは、政治と経済の両方を失っていく。 一方シャウラは、何もしていない。 復讐もしない。断罪もしない。 平穏な日常を送りながら、無自覚のまま派閥の結束を保ち続ける。 そして王国は、 “王太子を立てない”という前代未聞の選択をし、 聡明な第一王女マリーが女王として即位する――。 誰かを裁くことなく、 誰かを蹴落とすことなく、 ただ「席を立った」者だけが、最後まで穏やかでいられた。 これは、 婚約破棄から始まる―― 静かで、上品で、取り返しのつかないざまぁの物語。 「私は何もしていませんわ」 それが、最強の勝利だった。

侯爵令嬢の四十日間 ――均衡が国を変えるまで

ふわふわ
恋愛
婚約を解かれた侯爵令嬢。 けれど彼女は、泣きもしなければ争いもしなかった。 王都から距離を置いたその日から、国の流れはわずかに変わり始める。 事故が増え、交易は滞り、民の不安は静かに積もる。 崩壊ではない。 革命でもない。 ただ――“均衡”が失われただけ。 一方、北の地で彼女は何も奪わず、何も誇らず、ただ整える。 望まぬ中心。 求めぬ王冠。 それでも四十日後、国は気づく。 中心とは座る場所ではなく、 支える位置なのだと。 これは、復讐の物語ではない。 叫ばぬざまあ。 静かに国を変えた、侯爵令嬢の四十日間の記録。 ---

処理中です...