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第三章:公爵令嬢の再出発と新たなる波紋
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8.ガブリエルとの会話と新たな不安
再び顔を合わせたガブリエルは、どこか心配そうな表情だった。
「アナスタシア様、先ほど一瞬姿が見えなくなったので、何かあったのではと……」
「ええ、少し人混みに酔ってしまい、柱のあたりで涼んでいただけです。ご心配をおかけしました」
アナスタシアは余裕の笑みを浮かべて返答する。もちろん、先ほどの謎の人物のことなど話すつもりはない。下手に動揺すれば、周囲にも感づかれてしまうかもしれない。
ガブリエルはそれ以上問い詰めることはせず、そっと手を貸して席へと案内した。
「ここは人通りが少なく、空気も通りやすい場所ですから、少し落ち着かれるとよろしいでしょう」
舞踏会の盛り上がる様子を遠巻きに眺められる、奥まった一角。そこに簡易的な椅子が並んでおり、休憩スペースとして設けられている。
アナスタシアは一息つきながら、わざと軽い口調で切り出した。
「ガブリエル様。先ほど、警備の任に就いておられるとお聞きしましたが、何か怪しい人物などいませんでしたか? 例えば……フードで顔を隠したような」
「フードで顔を隠した者、ですか? そういえば、そんな人物は今のところ確認していませんね。衛兵にもそういった報告はないと思いますが……なにか気になることでも?」
ガブリエルの目が疑問を含んで光る。アナスタシアは咄嗟に言葉を濁した。
「いいえ、私の見間違いかもしれませんわ。ただ、あまりに派手な装いの人ばかりなので、そういう地味な方がいらしたら逆に目立つかと思ったのですが」
「なるほど。目立ちそうですな。……わかりました。いちおう、部下にも確認しておきましょう。私自身も少し気をつけて見回ってみます」
にこりと微笑むガブリエル。アナスタシアは心の中で安堵すると同時に、少し不安にもなる。――本当にフードの男を誰も見ていないというならば、あれは一体何者なのか。魔術を扱うほどの人物が、どうして自分に接触してきたのか。
舞踏会の最中にそんな謎に直面してしまい、アナスタシアの心は落ち着かないままだ。だが、今ここで騒ぎにするわけにもいかず、とりあえずは冷静さを保つしかない。
ガブリエルが去った後、アナスタシアは一人で考え込む。
(もしや、これまでの婚約破棄騒動に関連する何かかしら? でも、アレン殿下の仕業とは考えにくい。ほかに私を利用しようとする者がいるのか――)
再び顔を合わせたガブリエルは、どこか心配そうな表情だった。
「アナスタシア様、先ほど一瞬姿が見えなくなったので、何かあったのではと……」
「ええ、少し人混みに酔ってしまい、柱のあたりで涼んでいただけです。ご心配をおかけしました」
アナスタシアは余裕の笑みを浮かべて返答する。もちろん、先ほどの謎の人物のことなど話すつもりはない。下手に動揺すれば、周囲にも感づかれてしまうかもしれない。
ガブリエルはそれ以上問い詰めることはせず、そっと手を貸して席へと案内した。
「ここは人通りが少なく、空気も通りやすい場所ですから、少し落ち着かれるとよろしいでしょう」
舞踏会の盛り上がる様子を遠巻きに眺められる、奥まった一角。そこに簡易的な椅子が並んでおり、休憩スペースとして設けられている。
アナスタシアは一息つきながら、わざと軽い口調で切り出した。
「ガブリエル様。先ほど、警備の任に就いておられるとお聞きしましたが、何か怪しい人物などいませんでしたか? 例えば……フードで顔を隠したような」
「フードで顔を隠した者、ですか? そういえば、そんな人物は今のところ確認していませんね。衛兵にもそういった報告はないと思いますが……なにか気になることでも?」
ガブリエルの目が疑問を含んで光る。アナスタシアは咄嗟に言葉を濁した。
「いいえ、私の見間違いかもしれませんわ。ただ、あまりに派手な装いの人ばかりなので、そういう地味な方がいらしたら逆に目立つかと思ったのですが」
「なるほど。目立ちそうですな。……わかりました。いちおう、部下にも確認しておきましょう。私自身も少し気をつけて見回ってみます」
にこりと微笑むガブリエル。アナスタシアは心の中で安堵すると同時に、少し不安にもなる。――本当にフードの男を誰も見ていないというならば、あれは一体何者なのか。魔術を扱うほどの人物が、どうして自分に接触してきたのか。
舞踏会の最中にそんな謎に直面してしまい、アナスタシアの心は落ち着かないままだ。だが、今ここで騒ぎにするわけにもいかず、とりあえずは冷静さを保つしかない。
ガブリエルが去った後、アナスタシアは一人で考え込む。
(もしや、これまでの婚約破棄騒動に関連する何かかしら? でも、アレン殿下の仕業とは考えにくい。ほかに私を利用しようとする者がいるのか――)
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