32 / 36
32話
しおりを挟む
亡命希望の貴族と、ラグナ帝国の狙い
一方、亡命を希望している有力貴族との面会は、皇帝やクラウス、そしてフローラを含む重臣たちの前で行われた。
その貴族―― ベルンシュタイン侯 と名乗る男は、王国の宮廷ではそれなりの地位を築いていたらしいが、アルベルトの横暴とカトリーナの浪費を見かねて自ら身を引くことを決意したという。
「わたしは、ラグナ帝国の進歩的な体制をかねてから羨望していました。もし陛下がご許可くださるのなら、家族もろともこちらへ移住し、微力ながら帝国の発展に貢献したいと思っております」
そう頭を下げる侯爵に対し、皇帝は興味深げに質問を重ねる。クラウスも黙ってそのやり取りを見守っている。
彼らにとって、王国の有力貴族が亡命を希望するのは、王国の弱体化を如実に証明する材料だ。場合によっては、その知識や人脈を利用し、ラグナ帝国がさらに王国をコントロールしやすくなるかもしれない。
つまり、これらの動きは、ラグナ帝国にとって 悪くない話 でもあるのだ。
最終的に、皇帝は「亡命は受け入れる」とし、代わりに「王国の現状を可能な限り報告し、さらにはこちらの統治にも協力せよ」という条件を提示した。ベルンシュタイン侯はそれを飲み、王国から完全に足を洗う覚悟を示す。
このやり取りを目の当たりにしたフローラは、複雑な思いを覚える。自分は王国出身でありながら、その崩壊を尻目にラグナ帝国で優雅に暮らしている――否、そうなりたかったわけではないが、結果的にそうなってしまったのだ。
だが、同時にフローラは「王国が今さらまともに立て直る見込みは薄い」とも感じていた。もし本当に変わるなら、もっと早い段階で改革を進めていたはずだ。今この瞬間も、アルベルトとカトリーナは現実逃避をしているのだろう。
一方、亡命を希望している有力貴族との面会は、皇帝やクラウス、そしてフローラを含む重臣たちの前で行われた。
その貴族―― ベルンシュタイン侯 と名乗る男は、王国の宮廷ではそれなりの地位を築いていたらしいが、アルベルトの横暴とカトリーナの浪費を見かねて自ら身を引くことを決意したという。
「わたしは、ラグナ帝国の進歩的な体制をかねてから羨望していました。もし陛下がご許可くださるのなら、家族もろともこちらへ移住し、微力ながら帝国の発展に貢献したいと思っております」
そう頭を下げる侯爵に対し、皇帝は興味深げに質問を重ねる。クラウスも黙ってそのやり取りを見守っている。
彼らにとって、王国の有力貴族が亡命を希望するのは、王国の弱体化を如実に証明する材料だ。場合によっては、その知識や人脈を利用し、ラグナ帝国がさらに王国をコントロールしやすくなるかもしれない。
つまり、これらの動きは、ラグナ帝国にとって 悪くない話 でもあるのだ。
最終的に、皇帝は「亡命は受け入れる」とし、代わりに「王国の現状を可能な限り報告し、さらにはこちらの統治にも協力せよ」という条件を提示した。ベルンシュタイン侯はそれを飲み、王国から完全に足を洗う覚悟を示す。
このやり取りを目の当たりにしたフローラは、複雑な思いを覚える。自分は王国出身でありながら、その崩壊を尻目にラグナ帝国で優雅に暮らしている――否、そうなりたかったわけではないが、結果的にそうなってしまったのだ。
だが、同時にフローラは「王国が今さらまともに立て直る見込みは薄い」とも感じていた。もし本当に変わるなら、もっと早い段階で改革を進めていたはずだ。今この瞬間も、アルベルトとカトリーナは現実逃避をしているのだろう。
5
あなたにおすすめの小説
次代の希望 愛されなかった王太子妃の愛
Rj
恋愛
王子様と出会い結婚したグレイス侯爵令嬢はおとぎ話のように「幸せにくらしましたとさ」という結末を迎えられなかった。愛し合っていると思っていたアーサー王太子から結婚式の二日前に愛していないといわれ、表向きは仲睦まじい王太子夫妻だったがアーサーにはグレイス以外に愛する人がいた。次代の希望とよばれた王太子妃の物語。
全十二話。(全十一話で投稿したものに一話加えました。2/6変更)
親切なミザリー
みるみる
恋愛
第一王子アポロの婚約者ミザリーは、「親切なミザリー」としてまわりから慕われていました。
ところが、子爵家令嬢のアリスと偶然出会ってしまったアポロはアリスを好きになってしまい、ミザリーを蔑ろにするようになりました。アポロだけでなく、アポロのまわりの友人達もアリスを慕うようになりました。
ミザリーはアリスに嫉妬し、様々な嫌がらせをアリスにする様になりました。
こうしてミザリーは、いつしか親切なミザリーから悪女ミザリーへと変貌したのでした。
‥ですが、ミザリーの突然の死後、何故か再びミザリーの評価は上がり、「親切なミザリー」として人々に慕われるようになり、ミザリーが死後海に投げ落とされたという崖の上には沢山の花が、毎日絶やされる事なく人々により捧げられ続けるのでした。
※不定期更新です。
壊れた心はそのままで ~騙したのは貴方?それとも私?~
志波 連
恋愛
バージル王国の公爵令嬢として、優しい両親と兄に慈しまれ美しい淑女に育ったリリア・サザーランドは、貴族女子学園を卒業してすぐに、ジェラルド・パーシモン侯爵令息と結婚した。
政略結婚ではあったものの、二人はお互いを信頼し愛を深めていった。
社交界でも仲睦まじい夫婦として有名だった二人は、マーガレットという娘も授かり、順風満帆な生活を送っていた。
ある日、学生時代の友人と旅行に行った先でリリアは夫が自分でない女性と、夫にそっくりな男の子、そして娘のマーガレットと仲よく食事をしている場面に遭遇する。
ショックを受けて立ち去るリリアと、追いすがるジェラルド。
一緒にいた子供は確かにジェラルドの子供だったが、これには深い事情があるようで……。
リリアの心をなんとか取り戻そうと友人に相談していた時、リリアがバルコニーから転落したという知らせが飛び込んだ。
ジェラルドとマーガレットは、リリアの心を取り戻す決心をする。
そして関係者が頭を寄せ合って、ある破天荒な計画を遂行するのだった。
王家までも巻き込んだその作戦とは……。
他サイトでも掲載中です。
コメントありがとうございます。
タグのコメディに反対意見が多かったので修正しました。
必ず完結させますので、よろしくお願いします。
婚約者をないがしろにする人はいりません
にいるず
恋愛
公爵令嬢ナリス・レリフォルは、侯爵子息であるカリロン・サクストンと婚約している。カリロンは社交界でも有名な美男子だ。それに引き換えナリスは平凡でとりえは高い身分だけ。カリロンは、社交界で浮名を流しまくっていたものの今では、唯一の女性を見つけたらしい。子爵令嬢のライザ・フュームだ。
ナリスは今日の王家主催のパーティーで決意した。婚約破棄することを。侯爵家でもないがしろにされ婚約者からも冷たい仕打ちしか受けない。もう我慢できない。今でもカリロンとライザは誰はばかることなくいっしょにいる。そのせいで自分は周りに格好の話題を提供して、今日の陰の主役になってしまったというのに。
そう思っていると、昔からの幼馴染であるこの国の次期国王となるジョイナス王子が、ナリスのもとにやってきた。どうやらダンスを一緒に踊ってくれるようだ。この好奇の視線から助けてくれるらしい。彼には隣国に婚約者がいる。昔は彼と婚約するものだと思っていたのに。
貴方が選んだのは全てを捧げて貴方を愛した私ではありませんでした
ましゅぺちーの
恋愛
王国の名門公爵家の出身であるエレンは幼い頃から婚約者候補である第一王子殿下に全てを捧げて生きてきた。
彼を数々の悪意から守り、彼の敵を排除した。それも全ては愛する彼のため。
しかし、王太子となった彼が最終的には選んだのはエレンではない平民の女だった。
悲しみに暮れたエレンだったが、家族や幼馴染の公爵令息に支えられて元気を取り戻していく。
その一方エレンを捨てた王太子は着々と破滅への道を進んでいた・・・
真実の愛は素晴らしい、そう仰ったのはあなたですよ元旦那様?
わらびもち
恋愛
王女様と結婚したいからと私に離婚を迫る旦那様。
分かりました、お望み通り離婚してさしあげます。
真実の愛を選んだ貴方の未来は明るくありませんけど、精々頑張ってくださいませ。
虐げられた皇女は父の愛人とその娘に復讐する
ましゅぺちーの
恋愛
大陸一の大国ライドーン帝国の皇帝が崩御した。
その皇帝の子供である第一皇女シャーロットはこの時をずっと待っていた。
シャーロットの母親は今は亡き皇后陛下で皇帝とは政略結婚だった。
皇帝は皇后を蔑ろにし身分の低い女を愛妾として囲った。
やがてその愛妾には子供が生まれた。それが第二皇女プリシラである。
愛妾は皇帝の寵愛を笠に着てやりたい放題でプリシラも両親に甘やかされて我儘に育った。
今までは皇帝の寵愛があったからこそ好きにさせていたが、これからはそうもいかない。
シャーロットは愛妾とプリシラに対する復讐を実行に移す―
一部タイトルを変更しました。
あなたの絶望のカウントダウン
nanahi
恋愛
親同士の密約によりローラン王国の王太子に嫁いだクラウディア。
王太子は密約の内容を知らされないまま、妃のクラウディアを冷遇する。
しかも男爵令嬢ダイアナをそばに置き、面倒な公務はいつもクラウディアに押しつけていた。
ついにダイアナにそそのかされた王太子は、ある日クラウディアに離縁を突きつける。
「本当にいいのですね?」
クラウディアは暗い目で王太子に告げる。
「これからあなたの絶望のカウントダウンが始まりますわ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる