白い結婚でしたので、裏切り夫とはお別れいたします

鍛高譚

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第2章:愛なき結婚の真実

10話

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母と交わした会話

 父と話したあと、母が用意してくれた軽い食事をとった。といっても喉はまったく通らず、スープを数口すすっただけで精一杯。それでも母は無理に食べさせようとはしなかった。
 「あなたが元気になったら、また一緒に食事を取りましょう。それまでゆっくり休むのよ」
 そう言いながらも、どこか思い詰めた様子で母は私の顔を見つめる。私はその視線から逃げるように俯く。
 「……母様。ごめんなさい。本当に……情けないわ。結婚を決める前にもっと冷静になって、ギルバートという人をきちんと見極めていれば——」
 「あのね、クレア。そんなに自分を責めないで。もちろん、結婚を決める前にもう少し相手を知る努力は必要だったかもしれない。でも、ギルバートは公爵家の力に群がる悪人だったわけでしょ? あなたが騙されたのは、あなたが純粋だったからよ。それは恥じることじゃないわ」
 母の言葉は優しく、けれどどこか悲しい響きを帯びていた。
 「私や父様も、ギルバートを全面的に信頼してしまっていたわ。実績もあるし、騎士団の評判も悪くなかったから。でも結果的にこうしてあなたを苦しめることになってしまった。これは私たちの責任でもあるのよ」
 母にそう言われると、私は胸が苦しくなる。両親が自分のせいで罪悪感を抱いていると思うと、それが悲しかった。
 「母様……」
 母は私の手を握り、そっと瞳を閉じる。
 「クレア、あなたはもう十分苦しんだわ。これからは、父様と私に任せてちょうだい。あなたが心穏やかに過ごせるよう、私たちも全力を尽くすわ。公爵家に生まれたからには、利用しようとする人間が必ず現れる。けれど、それを許すわけにはいかないの。あなたは私たちの大切な娘なんだから」
 母の言葉に、目が潤む。愛されていると感じる瞬間でもあった。たとえ私が結婚で失敗したとしても、両親はこんなにも私のことを大切に思ってくれる。私は、家や爵位のためだけに育てられたわけではないのだと、あらためて実感する。
 「ありがとう……母様。私、父様や母様がいてくれて、本当に救われてる」
 そう言いながら、私は母の手をぎゅっと握り返す。今回の件は、私の甘さが原因の一端だと自覚している。でも、もう後戻りはできないし、後悔だけでは先へ進めない。
 「父様に離縁の手続きを進めてもらって、すべて終わったら……もう一度、人生をやり直したいです。こんな恥をかいて、周囲からどんなふうに見られるか想像もつかないけれど、少しずつ前に進めるように頑張りたい」
 自分でも驚くほど、毅然とした声が出た。母はそれを聞いて、安心したように微笑む。
 「そうね。今はそれだけで十分よ、クレア。あなたの傷は深いけれど、きっといつか、ちゃんと癒えるから」
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