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第4章――十年の時を超えて、いま選ぶ未来
21話
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――そこまで直球で尋ねるのか。私は息を飲み、レオンがどんな答えを出すのか固唾を呑んで待った。こればかりは、私が口をはさむことではない。レオンが自分で出すべき答えなのだ。
レオンは深く息をつき、視線を床に落とす。苦悩が伺える沈黙が数秒――いや、数分にも感じられるほどの重みをもって流れた。
そして、彼は顔を上げ、まずリリアナの瞳をしっかりと捉えた。
「リリアナ……お前が俺を支えてくれたこと、心から感謝してる。家の重圧に押し潰されそうだった俺に、『一緒に乗り越えよう』と言ってくれたお前がどれだけ心強かったか……言葉では言い尽くせない」
リリアナの唇がかすかに震えているのを見て、私も胸が苦しくなる。レオンはそんな彼女を見つめながら、続ける。
「お前には、俺の気持ちがアーシアに揺れているように見えたかもしれない。――正直に言うと、あながち間違いじゃない。俺はアーシアが目覚めたと知ったとき、いろいろな感情が一度に込み上げてきた。安堵や喜び、罪悪感、焦り……。そのどれもが、本当の俺の気持ちだと思う」
レオンは拳をきつく握ったまま、私のほうにも視線を移す。
「アーシア……。昔の婚約なんて、もう過去のことだと思っていた。でも、こうしてお前と何度も話すうちに、10年前に芽生えた大切な想いは消えていなかったんだ、と気づいた。お前がまだ昔のレオンを探しているように、俺も心のどこかで昔のアーシアを忘れられなかったんだ」
私は思わず目を伏せた。胸が騒ぎ立てる。レオンの言葉が、自分の心のなかに滲みわたっていく。
「だけど、同時に……俺は“今のアーシア”を知りたいとも思う。昔のままじゃない、お前自身の意志や力で前に進もうとしている姿に、惹かれているんだ。それはただの懐かしさや守りたい気持ちじゃなくて……一人の女性としてお前を見ている証拠だと思う」
――そうなんだ。子供の頃の思い出に縛られるだけじゃない、今の私を見てくれている……。その自覚に、心がじんと熱くなる。
レオンは再びリリアナを見据える。その表情には、決意が宿っていた。
「リリアナ。お前も知ってのとおり、俺はお前を深く信頼してる。お前がいなかったら、今頃どうなっていたか想像もつかない。家の跡取りとして働くなかで、お前の助言や立ち居振る舞い、どれだけ助けられたかわからない。だからこそ……お前には幸せになってほしいと思う。俺と一緒にいることが、お前にとって本当の幸せなのか……」
言葉を切り、レオンは唇を噛む。リリアナは微動だにせず、最後まで聞く姿勢を崩さない。
「俺がたとえ心の一部でアーシアを求めているなら、そんな俺と結婚しても、お前が心から幸せになれるのか? それを考えると、やはり俺は――」
レオンは深く息をつき、視線を床に落とす。苦悩が伺える沈黙が数秒――いや、数分にも感じられるほどの重みをもって流れた。
そして、彼は顔を上げ、まずリリアナの瞳をしっかりと捉えた。
「リリアナ……お前が俺を支えてくれたこと、心から感謝してる。家の重圧に押し潰されそうだった俺に、『一緒に乗り越えよう』と言ってくれたお前がどれだけ心強かったか……言葉では言い尽くせない」
リリアナの唇がかすかに震えているのを見て、私も胸が苦しくなる。レオンはそんな彼女を見つめながら、続ける。
「お前には、俺の気持ちがアーシアに揺れているように見えたかもしれない。――正直に言うと、あながち間違いじゃない。俺はアーシアが目覚めたと知ったとき、いろいろな感情が一度に込み上げてきた。安堵や喜び、罪悪感、焦り……。そのどれもが、本当の俺の気持ちだと思う」
レオンは拳をきつく握ったまま、私のほうにも視線を移す。
「アーシア……。昔の婚約なんて、もう過去のことだと思っていた。でも、こうしてお前と何度も話すうちに、10年前に芽生えた大切な想いは消えていなかったんだ、と気づいた。お前がまだ昔のレオンを探しているように、俺も心のどこかで昔のアーシアを忘れられなかったんだ」
私は思わず目を伏せた。胸が騒ぎ立てる。レオンの言葉が、自分の心のなかに滲みわたっていく。
「だけど、同時に……俺は“今のアーシア”を知りたいとも思う。昔のままじゃない、お前自身の意志や力で前に進もうとしている姿に、惹かれているんだ。それはただの懐かしさや守りたい気持ちじゃなくて……一人の女性としてお前を見ている証拠だと思う」
――そうなんだ。子供の頃の思い出に縛られるだけじゃない、今の私を見てくれている……。その自覚に、心がじんと熱くなる。
レオンは再びリリアナを見据える。その表情には、決意が宿っていた。
「リリアナ。お前も知ってのとおり、俺はお前を深く信頼してる。お前がいなかったら、今頃どうなっていたか想像もつかない。家の跡取りとして働くなかで、お前の助言や立ち居振る舞い、どれだけ助けられたかわからない。だからこそ……お前には幸せになってほしいと思う。俺と一緒にいることが、お前にとって本当の幸せなのか……」
言葉を切り、レオンは唇を噛む。リリアナは微動だにせず、最後まで聞く姿勢を崩さない。
「俺がたとえ心の一部でアーシアを求めているなら、そんな俺と結婚しても、お前が心から幸せになれるのか? それを考えると、やはり俺は――」
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