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第4章――十年の時を超えて、いま選ぶ未来
23話
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リリアナは立ち上がるかと思いきや、そのまま目の前のテーブルに手をつき、深く頭を下げた。何をしているのかわからず、私は戸惑い、レオンも慌てたように身を乗り出す。
「リリアナ、やめろ、そんな――」
「黙っていてください。今は私の番です」
そうピシャリとレオンの言葉を制し、リリアナは私に向かって頭を下げたまま、口を開く。
「アーシア様……私があなたの心にまで立ち入る権利はありませんが、もしあなたがレオンを愛しているのなら――どうか、彼を支えてあげてください」
私は目を見開いた。まさか、リリアナがこんなふうに頼むなんて、考えてもいなかった。
「レオンは強いようで弱い。貴族としては有能でも、心の中に孤独を抱えていた。私はそれを埋めようと努力しましたが、彼の中には埋めきれない穴があったのかもしれません。それは、きっとあなたにしか埋められないものでしょうから……」
最後の言葉は涙声だった。私は立ち上がり、リリアナのそばへ駆け寄る。驚いたレオンも同じように席を離れて、彼女の肩に触れようとする。
「リリアナ……そんな、頭を下げる必要なんてないんだ」
「いいえ、私が決めたことです。レオン、あなたを解放します。――婚約を解消しましょう」
そのあまりにもはっきりした宣言に、レオンは大きく息を呑み、私の心臓も早鐘のように打ち始める。リリアナは、震える声を必死に落ち着かせながら言葉を続けた。
「私はあなたを愛しています。でも、あなたが心のどこかで別の女性を思い続けるなら、結婚しても辛いだけです。だから……それなら、私はあなたを心から祝福できません。あなたの本当の幸せが、アーシア様のもとにあるというのなら、それはそれで仕方のないこと……」
レオンは苦しい表情で、「リリアナ……」とその名を呼ぶ。けれど、返す言葉が見つからないのだろう。私もただ動揺しているだけで、頭が真っ白だ。
リリアナは頭を上げ、目尻にたまった涙を指先でそっと拭う。きちんと礼儀正しい仕草で背筋を伸ばす彼女の姿は、ひどく美しく、同時に悲しかった。
「あなたたちを責める権利がないと言えば嘘になります。でも、私が『レオンを返して』と必死にしがみついても、そこに幸福はないでしょう。それよりは、私は私の道を選びたい。それだけです」
「リリアナ、やめろ、そんな――」
「黙っていてください。今は私の番です」
そうピシャリとレオンの言葉を制し、リリアナは私に向かって頭を下げたまま、口を開く。
「アーシア様……私があなたの心にまで立ち入る権利はありませんが、もしあなたがレオンを愛しているのなら――どうか、彼を支えてあげてください」
私は目を見開いた。まさか、リリアナがこんなふうに頼むなんて、考えてもいなかった。
「レオンは強いようで弱い。貴族としては有能でも、心の中に孤独を抱えていた。私はそれを埋めようと努力しましたが、彼の中には埋めきれない穴があったのかもしれません。それは、きっとあなたにしか埋められないものでしょうから……」
最後の言葉は涙声だった。私は立ち上がり、リリアナのそばへ駆け寄る。驚いたレオンも同じように席を離れて、彼女の肩に触れようとする。
「リリアナ……そんな、頭を下げる必要なんてないんだ」
「いいえ、私が決めたことです。レオン、あなたを解放します。――婚約を解消しましょう」
そのあまりにもはっきりした宣言に、レオンは大きく息を呑み、私の心臓も早鐘のように打ち始める。リリアナは、震える声を必死に落ち着かせながら言葉を続けた。
「私はあなたを愛しています。でも、あなたが心のどこかで別の女性を思い続けるなら、結婚しても辛いだけです。だから……それなら、私はあなたを心から祝福できません。あなたの本当の幸せが、アーシア様のもとにあるというのなら、それはそれで仕方のないこと……」
レオンは苦しい表情で、「リリアナ……」とその名を呼ぶ。けれど、返す言葉が見つからないのだろう。私もただ動揺しているだけで、頭が真っ白だ。
リリアナは頭を上げ、目尻にたまった涙を指先でそっと拭う。きちんと礼儀正しい仕草で背筋を伸ばす彼女の姿は、ひどく美しく、同時に悲しかった。
「あなたたちを責める権利がないと言えば嘘になります。でも、私が『レオンを返して』と必死にしがみついても、そこに幸福はないでしょう。それよりは、私は私の道を選びたい。それだけです」
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