婚約破棄? 結構ですわ。私は領地を立て直します

鍛高譚

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第1章:突然の婚約破棄

2話

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ところが、わたしが十六歳を迎えたころ、大きな転機が訪れました。王宮から正式に「ルシアを王太子殿下の婚約者に選びたい」との通達があったのです。この国の王太子――つまり将来の国王となるお方と婚約するなど、わたしにはあまりにも大きすぎる話でした。伯爵家といえど、わたしはただの伯爵令嬢。それが、最も高貴な身分である王太子殿下の婚約者に選ばれるなんて、まるで夢物語のようでした。

実際、わたしの両親ですら最初は信じられなかったらしく、王宮に確認の手紙を送ったほどです。しかし、王宮から届いた返事には「まぎれもなく事実である」という旨が丁重に書かれていました。さらに、王太子殿下ご自身の署名までも記されていたのです。こうなれば、もう疑いようがありませんでした。

周囲の貴族たちは「伯爵家の娘が王太子妃になるなんて前代未聞だ」「なにか政治的な思惑があるのかもしれない」と、いろいろ噂をしていました。わたし自身も内心、不安を拭いきれませんでしたが、両親は「これも伯爵家にとっては光栄な話」と考え、王太子殿下との縁談をありがたく受けることにしたのです。

そして、わたしと王太子殿下のエドワード様は、宮廷で正式に初顔合わせをしました。エドワード殿下は金色の髪に青い瞳、まさに“絵に描いたような美しい王子”であり、わたしなどが隣に立っていいのだろうか、と心配になるほどの輝きを放っていました。さらに、礼儀正しく、どこか優しい笑みを浮かべて「はじめまして、ルシア。これからよろしくお願いするよ」と声をかけてくださったのです。その瞬間、わたしの胸の奥に、何とも言えない安堵と緊張が混ざった感情が湧き上がりました。
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