婚約破棄? 結構ですわ。私は領地を立て直します

鍛高譚

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第1章:突然の婚約破棄

7話

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翌朝、わたしはふらふらする頭を抱えながらも起き上がり、洗面台で顔を洗いました。鏡に映る自分の顔は、やはり赤く腫れた目をしていてひどい状態です。でも、わたしは気丈に振る舞うことにしました。いつまでも落ち込んでいては、両親を心配させてしまうからです。

朝食の席に向かうと、母が「ゆっくり休んでいてもよかったのに」と言ってくれましたが、わたしは「大丈夫です、母様。気分転換に早く起きたほうがいいですから」と返しました。父も心配そうでしたが、わたしの表情を見て何かを察したのか、何も言わずに食事を始めました。

使用人たちもわたしの様子をうかがっているのがわかります。屋敷全体が、まるで重い空気に包まれているようでした。わたしが婚約破棄されたということは、伯爵家にとっても重大なできごとです。これから先、ほかの貴族たちはわたしや伯爵家をどう見るのでしょうか。わたし自身も気がかりではありますが、今はまだその心配に頭を回す余裕がありません。

「ルシア、今後のことだけれど、おまえがどうしたいかをまず考えてごらん。」

朝食後、父がわたしを書斎に呼んで、そう言いました。わたしはうつむいたまま、はっきりとした答えを持っていませんでした。王太子妃になるという道は消えてしまった。では、これからのわたしは一体何を目指せばいいのか、わからないのです。

「父様、正直に申し上げると、わたしにもどうすればいいか分かりません。ただ、いつまでも王太子殿下のことで泣いてはいられないと思います。わたしには、伯爵家の娘としての務めがありますし……。」

そう答えると、父はわずかに微笑み、「そうだな。それでいい。ゆっくりで構わないから、まずはおまえの心を落ち着けることが大切だ。おまえがどんな道を選んでも、わたしと母さんはおまえを支えるからな」と言ってくれたのです。その言葉に、わたしは少しだけ胸が温かくなりました。

伯爵家にはわたしの居場所がある――それを再確認できたことで、少しだけ前を向けそうな気がします。わたしが王太子妃になることでしか、家の名誉を守れないわけではありません。確かに王太子妃になるという道は失われましたが、わたし自身が伯爵家を支え、領民のためにできることはまだあるはずです。

こうして、わたしの婚約はまさに突然の形で終わってしまいました。あんなにも大勢の人々の前で「冷たい女」だと殿下に言われ、あっさりと見捨てられた悲しみや屈辱は、すぐに消えるものではありません。しばらくは心の傷が疼き続けるでしょう。それでも、時は待ってくれません。わたしはこの伯爵家で新たな道を探すしかないのです。

自分自身の人生を、もう一度やり直す。王太子殿下との婚約破棄は、わたしの胸に大きな痛みを残しましたが、同時に「愛されないまま結婚しなくてよかったのかもしれない」という気づきも与えてくれました。何より、わたしには優しい家族がいる。父と母がそばにいてくれる限り、わたしは何度でも立ち上がれるでしょう。

――これが、わたしの「突然の婚約破棄」のすべてです。
今後、わたしがどんな道を歩み、どんな幸せや苦難と出会うのかは、まだ誰にもわかりません。けれど、伯爵家の娘として、そして一人の人間として、わたしは新しい未来を切り開いていきたいと思います。

この日を境に、わたしの人生は大きく変わり始めました。
悲しみと挫折の先に、どんな物語が待っているのか――それは、これから少しずつ明らかになっていくでしょう。
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