婚約破棄された伯爵令嬢ですが、国の経済を掌握しました

鍛高譚

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第2章 舞踏会の夜、伯爵令嬢は嘲笑される

14話

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王宮舞踏会場への道

 王都の中心部へと向かう街道は、石畳が美しく舗装され、両脇には灯りをともすガス灯のような設備が並んでいる。魔法工学と呼ばれる技術があり、夜でもある程度の明かりを確保しているらしい。このあたりは前世のガス灯とは異なる仕組みらしいが、サラには魔法の理屈はよくわからない。
 伯爵家の馬車は、隊列を組んで王宮の舞踏会場へと続く坂道を登っていく。窓の外を覗けば、同じように貴族の家紋を掲げた馬車が次々と豪奢な衣装を身にまとった人々を運んでいる。まさに上流階級の一大イベント。その艶やかな夜の姿に、サラはほんの少しだけ胸を躍らせる――が、それはあくまで表面的な“華やかさ”への興味にすぎない。

 「(さて、どんな人がいるのかしら。情報はどこまで得られるかしらね。)」

 馬車を降りると、整然と敷かれた赤い絨毯を踏みながら、伯爵家の人間として受付を済ませる。宦官のような案内係が名を読み上げ、会場の外ホールへと通される。石造りの壁には数多のシャンデリアや装飾ランプが取り付けられ、まるで昼間のような明るさだ。壁面には歴代の王や女王の肖像画がずらりと並び、天井には豪華なフレスコ画。まさしく“王宮”そのもの。

 サラたちがホールを進むと、そこには見慣れない貴族ばかりが集まっていた。ドレスやタキシードで着飾り、互いにあいさつを交わす。その会話の断片を拾えば、「○○侯爵家のパーティーはいつかしら」「公爵家の令息が留学から帰国したらしい」「王妃様はお元気だろうか」など、社交界特有の話題が飛び交っている。
 伯爵家という身分は決して低くはないが、公や侯、さらには王族に比べれば“下位”とみなされがちだ。サラの父も母も、周囲を見回して誰に挨拶すべきか迷う様子を見せる。しかし、サラにとってはどうでもいい。――ただ、この光景の中に“経済をわかっている人間”はどれほどいるのか、それだけが気がかりだ。
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