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第4章 影の女帝、経済の頂点に至る
37話
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王都の政庁にて――三つ巴の駆け引き
財政会合の幕開け
数日後、サラたちは王都へ入り、とある貴族が所有する館に滞在する。そこを臨時の拠点として、王太子主催の「財政会合」に臨むことになった。
場所は王宮の政庁棟にある大広間。前回の“祝祭”や“舞踏会”とは違い、今回は公的な会合であり、華やかな音楽や舞踏はなく、代わりに地味な机と椅子が並べられ、各代表者が質疑を行う形式だ。
会合が始まり、王太子レオンハルトが立ち上がる。
「皆の者、よく集まってくれた。――本日の議題は“王立銀行”の具体的な運営方針および、隣国・帝国との通貨交渉だ。公爵殿や各貴族、商会の代表たちにも意見を伺いたいと思う。」
すると、会場の一角に座るヴェルドル公爵が立ち上がり、嫌味な笑みを浮かべて言う。
「王太子殿下、その“王立銀行”とやら、本当に国のためになるのか? 聞けば、中央集権的に貴族や商会の資金を拘束する仕組みではないか、と危惧する声が多いが……」
王太子は口調を崩さず答える。
「銀行の運用権限は王家だけが握るわけではない。監査機関や理事会を設け、貴族や商会の代表が参加できる形を構想している。もちろん、民間の両替所やSFCのような組織とも連携は可能だ。」
公爵はちらりとサラの方を見やる。サラは黙ってその視線を受け流す。公爵の狙いは見え見えだ――王太子の提案に難癖をつけ、貴族たちを自陣営に引き込みたいのだろう。
サラの提案――「協調銀行」構想
やがて、会合の場でサラにも発言が求められる。
「SFCを率いるサラ・レティシアと申します。わたしは、王太子殿下の“王立銀行”構想自体は悪くないと思っています。ですが、中央集権型の銀行が民間金融を圧迫する危険もある。
そこで、“協調銀行”(仮)――“公的機関と民間の銀行が共同で運営する仕組み”を提案いたします。王立銀行の中に、SFCなどの既存の民間金融機関が共同出資し、議決権を一部持つ形です。そうすれば、国も商会も貴族も、互いに牽制し合いながら協力できるのではないでしょうか。」
場がどよめく。公爵派の一部は「それでも王家に利が傾くのでは」と反発するが、王太子は興味深げにサラの案を聞く。
「ふむ……もしSFCのような民間主体が関わるなら、強権的な国営にはならず、柔軟な金融運用が可能かもしれん。」
公爵は渋い顔で口を挟む。
「だが、そんなことをしたら、我々貴族の地位はどうなる? 商会が有利になり、貴族が担ってきた財政管理権を脅かすのではないか?」
サラは微笑を浮かべ、冷静に応じる。
「公爵殿。むしろ、貴族が積極的に“出資”や“運営参加”をすれば、利権を確保できるでしょう。それに、帝国が今後さらに銀貨を送り込んできたとき、王太子殿下や公爵殿がバラバラに対抗しようとしても限界があります。民間も含めた“協調体制”でなければ、帝国に太刀打ちできないのでは?」
いまや帝国の通貨攻勢は現実の脅威だ。ここで国がバラバラでは一瞬で飲み込まれるだろう。その論理に貴族たちも納得し始め、王太子は「公爵殿はどうかな?」と目でうながす。
公爵は小さく舌打ちしつつも、「……まあ、ひとまず検討の余地はある」と言うに留まった。
財政会合の幕開け
数日後、サラたちは王都へ入り、とある貴族が所有する館に滞在する。そこを臨時の拠点として、王太子主催の「財政会合」に臨むことになった。
場所は王宮の政庁棟にある大広間。前回の“祝祭”や“舞踏会”とは違い、今回は公的な会合であり、華やかな音楽や舞踏はなく、代わりに地味な机と椅子が並べられ、各代表者が質疑を行う形式だ。
会合が始まり、王太子レオンハルトが立ち上がる。
「皆の者、よく集まってくれた。――本日の議題は“王立銀行”の具体的な運営方針および、隣国・帝国との通貨交渉だ。公爵殿や各貴族、商会の代表たちにも意見を伺いたいと思う。」
すると、会場の一角に座るヴェルドル公爵が立ち上がり、嫌味な笑みを浮かべて言う。
「王太子殿下、その“王立銀行”とやら、本当に国のためになるのか? 聞けば、中央集権的に貴族や商会の資金を拘束する仕組みではないか、と危惧する声が多いが……」
王太子は口調を崩さず答える。
「銀行の運用権限は王家だけが握るわけではない。監査機関や理事会を設け、貴族や商会の代表が参加できる形を構想している。もちろん、民間の両替所やSFCのような組織とも連携は可能だ。」
公爵はちらりとサラの方を見やる。サラは黙ってその視線を受け流す。公爵の狙いは見え見えだ――王太子の提案に難癖をつけ、貴族たちを自陣営に引き込みたいのだろう。
サラの提案――「協調銀行」構想
やがて、会合の場でサラにも発言が求められる。
「SFCを率いるサラ・レティシアと申します。わたしは、王太子殿下の“王立銀行”構想自体は悪くないと思っています。ですが、中央集権型の銀行が民間金融を圧迫する危険もある。
そこで、“協調銀行”(仮)――“公的機関と民間の銀行が共同で運営する仕組み”を提案いたします。王立銀行の中に、SFCなどの既存の民間金融機関が共同出資し、議決権を一部持つ形です。そうすれば、国も商会も貴族も、互いに牽制し合いながら協力できるのではないでしょうか。」
場がどよめく。公爵派の一部は「それでも王家に利が傾くのでは」と反発するが、王太子は興味深げにサラの案を聞く。
「ふむ……もしSFCのような民間主体が関わるなら、強権的な国営にはならず、柔軟な金融運用が可能かもしれん。」
公爵は渋い顔で口を挟む。
「だが、そんなことをしたら、我々貴族の地位はどうなる? 商会が有利になり、貴族が担ってきた財政管理権を脅かすのではないか?」
サラは微笑を浮かべ、冷静に応じる。
「公爵殿。むしろ、貴族が積極的に“出資”や“運営参加”をすれば、利権を確保できるでしょう。それに、帝国が今後さらに銀貨を送り込んできたとき、王太子殿下や公爵殿がバラバラに対抗しようとしても限界があります。民間も含めた“協調体制”でなければ、帝国に太刀打ちできないのでは?」
いまや帝国の通貨攻勢は現実の脅威だ。ここで国がバラバラでは一瞬で飲み込まれるだろう。その論理に貴族たちも納得し始め、王太子は「公爵殿はどうかな?」と目でうながす。
公爵は小さく舌打ちしつつも、「……まあ、ひとまず検討の余地はある」と言うに留まった。
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