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9話
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ココアの動き
一方その頃。
ブレンディ公爵家に、あの“腹黒参謀”ことモカ・エスプレッソが再び訪れていた。
ココアは自室のテーブルに書類を広げながら、モカに向けて報告している。
「ふむふむ。ブラック家、やっぱり強引にクレオ・パステルにアタックしたみたいね」
「ええ。その結果、見事に玉砕されたらしいわ。今朝、ブラック家のカフェがパステル商会に押しかけて、婚約を申し出たとか。でも、クレオさんは即断で拒否したみたい」
モカの笑い声が漏れる。「あはは、最高ね。あのカフェが平民の娘に振られるなんて、プライドは傷つきまくりでしょうに」
「しかもただの平民じゃなくて、大商会の令嬢よ。貴族以上に権力があるといっても過言ではないわ」
ココアは書類から視線を上げ、にやりと微笑む。
実は彼女、すでに色々と根回しを始めているのだ。カフェがクレオに振られたことを知った時点で、「これは面白い展開だわ」と思ったし、クレオの人となりにも興味が湧いてきた。
「それで、どうするの? ココアはクレオさんに直接会ってみたいんでしょう?」
「もちろん。婚約破棄を食らった身としては、ブラック家が次にどんな手を打つかも気になるし。何より、クレオさんとは将来的にビジネスパートナーになれる可能性もあるわ」
ココアは、モカが調べてくれた“パステル商会の事業概要”や“クレオの人物評”などの資料を読んでいる。そこには「領地開発にも積極的」「商工ギルドと協力関係を築いている」など、興味深い情報が並んでいた。
貴族としての縛りにうんざりしていたココアにとって、商人の自由闊達な姿は、むしろ魅力的に映る。何より、貴族社会の旧態依然とした慣習を壊すには、商人との連携が効果的だ。
「まずは友好的に接触を図りたいけど、クレオさんがブラック家の件で警戒してるかもしれないのよね」
「そうね。いきなり貴族の令嬢が来たら、『今度はブレンディ公爵家まで変な打算をしてるのかしら?』とか思われるかも」
「そこは私たちの腕の見せ所でしょう? ――モカ、協力してくれる?」
ココアがそう問うと、モカは楽しげに目を輝かせた。
「もちろん。だってこんな面白い話、途中で抜けるなんて耐えられないもの」
二人はくすくすと笑い合う。婚約破棄のゴタゴタを単なるトラブルで終わらせず、“新しい風”に変えてやろうという算段だ。
こうしてココアは、モカの助力を得ながら、クレオと直接会うチャンスを探し始めるのだった。
一方その頃。
ブレンディ公爵家に、あの“腹黒参謀”ことモカ・エスプレッソが再び訪れていた。
ココアは自室のテーブルに書類を広げながら、モカに向けて報告している。
「ふむふむ。ブラック家、やっぱり強引にクレオ・パステルにアタックしたみたいね」
「ええ。その結果、見事に玉砕されたらしいわ。今朝、ブラック家のカフェがパステル商会に押しかけて、婚約を申し出たとか。でも、クレオさんは即断で拒否したみたい」
モカの笑い声が漏れる。「あはは、最高ね。あのカフェが平民の娘に振られるなんて、プライドは傷つきまくりでしょうに」
「しかもただの平民じゃなくて、大商会の令嬢よ。貴族以上に権力があるといっても過言ではないわ」
ココアは書類から視線を上げ、にやりと微笑む。
実は彼女、すでに色々と根回しを始めているのだ。カフェがクレオに振られたことを知った時点で、「これは面白い展開だわ」と思ったし、クレオの人となりにも興味が湧いてきた。
「それで、どうするの? ココアはクレオさんに直接会ってみたいんでしょう?」
「もちろん。婚約破棄を食らった身としては、ブラック家が次にどんな手を打つかも気になるし。何より、クレオさんとは将来的にビジネスパートナーになれる可能性もあるわ」
ココアは、モカが調べてくれた“パステル商会の事業概要”や“クレオの人物評”などの資料を読んでいる。そこには「領地開発にも積極的」「商工ギルドと協力関係を築いている」など、興味深い情報が並んでいた。
貴族としての縛りにうんざりしていたココアにとって、商人の自由闊達な姿は、むしろ魅力的に映る。何より、貴族社会の旧態依然とした慣習を壊すには、商人との連携が効果的だ。
「まずは友好的に接触を図りたいけど、クレオさんがブラック家の件で警戒してるかもしれないのよね」
「そうね。いきなり貴族の令嬢が来たら、『今度はブレンディ公爵家まで変な打算をしてるのかしら?』とか思われるかも」
「そこは私たちの腕の見せ所でしょう? ――モカ、協力してくれる?」
ココアがそう問うと、モカは楽しげに目を輝かせた。
「もちろん。だってこんな面白い話、途中で抜けるなんて耐えられないもの」
二人はくすくすと笑い合う。婚約破棄のゴタゴタを単なるトラブルで終わらせず、“新しい風”に変えてやろうという算段だ。
こうしてココアは、モカの助力を得ながら、クレオと直接会うチャンスを探し始めるのだった。
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