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第2章 ――「化け物公爵との縁談」――
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応接室の扉を開けると、そこには伯爵夫人とエミリア、そしてエドラー伯爵の三人が集まっていた。普段は日中、伯爵は別の部屋で政務や業務的な話をしていることが多いから、こうして家族そろっているのは珍しい。
私が扉口で軽く頭を下げると、夫人はソファに腰掛けたまま、人差し指で床を示すようにして「ここまでいらっしゃい」と命じる。おとなしくその場に立つと、夫人はまるで品定めするように私を見つめて、口を開いた。
「ノイン。今週末、私たちは隣国の使節を迎えるためのパーティに出席するわ。……その準備の関係もあるのだけれど、あなたに伝えておかなければならないことがあるの。」
私は思わず身構える。パーティに関わることなど、どうせ私には無縁の話だろう。どんな雑用を押し付けられるのだろうか……と思っていると、横に座っていたエミリアが嫌な笑みを浮かべた。
「……あら、ノイン。あなた、知らなかったの? 今回のパーティには、フェルディナンド公爵閣下もいらっしゃるのよ。噂の“化け物”公爵、と言ったほうがわかりやすいかしら?」
エミリアの言葉に、伯爵夫人もうなずく。
「そう。そのフェルディナンド公爵閣下との縁談を、私たちは実は進めているのよ。――本来は、エミリアがそのお相手になる予定だったのだけれど……」
そこで夫人はわざとらしく口を止めて、横目で私を見やる。
「でも、エミリアにはもっとふさわしい相手がいるでしょう? フェルディナンド公爵は、噂を聞いているわよね。禍々しい角が生え、身体は爬虫類のように鱗があって、どす黒い血走った目……。とても人間とは思えない容貌だって、社交界で囁かれているわ。」
エミリアはまるで怪談話でもするように、得意げに肩をすくめる。
「公爵閣下の領地は広大で財も潤沢だけれど……あの異様な姿じゃ、結婚したい娘なんて誰もいないわよね。だからきっと、エドラー家との縁談を持ちかけてきたのよ。ウチは名門だからね。そしたらお父様が、“この子ならちょうどいい”って、あなたのことを紹介してあげたってわけ。……良かったわね、ノイン。これであなたも大貴族に嫁げるわよ?」
クスクスと嫌な笑い声が部屋に響く。私には何がなんだか理解できなかった。突然出てきた「フェルディナンド公爵」という人物――化け物と呼ばれている男との結婚話? どうして私がそんな話に巻き込まれているのか、頭が真っ白になる。
伯爵が口を開く。
「公爵閣下は、以前からエミリアとの縁談を希望されていたんだ。しかし、エミリアをあの姿の男のもとへ嫁がせるのは、さすがに忍びない。そこで……“代わり”が必要だった。だから、お前を養女に迎えたのだよ、ノイン。」
あくまで淡々とした口調でありながら、その声音は私に有無を言わせない圧力をかけているように感じた。
――つまり私は、エミリアの身代わりとして、化け物と噂される公爵のもとへ送り込まれる道具にされるのだ。
喉が乾いて声が出ない。私が驚きに言葉を失っていると、伯爵夫人が足を組み替えて言葉を続ける。
「本当はね、この話はもっと早く決まる予定だったのよ。でも、公爵閣下が“直接顔を見て決めたい”と言っていたから。私たちも、いきなりノインを押しつけるわけにはいかないでしょう? 一応、形だけでも『養女』にしておいて、それなりの“体裁”を整えなければならなかったの。……ああ、心配しなくていいわ。婚約が成立すれば、あなたは正真正銘『エドラー家の娘』として公爵家に嫁ぐことになるのよ。まるで夢みたいでしょ?」
その言葉には、皮肉と嘲笑が混じっているのがはっきりと分かる。エミリアが楽しそうに笑みを漏らす。
「だってノイン、あなたは孤児なんだから。他に行き場はないわよね? 化け物公爵だろうと何だろうと、おとなしく嫁ぐほうがいいわよ。断ったら……どうなるか、わかっているでしょう?」
私は歯を食いしばるしかなかった。確かに、断るという選択肢は今の私にはない。私はエドラー伯爵家に養女として迎えられた“借り”がある形だし、外へ放り出されたら生きていく術もない。そもそも、伯爵が孤児院から私を引き取った目的が“これ”だったのだとすれば、ここに踏みとどまる道など最初から用意されていない。
“養女”というのは仮初めの肩書きでしかなく、実のところ私は伯爵家にとって都合のいい生贄に過ぎないのだ。
震える声を抑えながら、私は思わず問いかけた。
「……公爵閣下は、本当に……“化け物”なんですか……?」
そう口にした途端、エミリアが吹き出すように笑った。
「何を今さら! あの公爵の姿を見たことがある人は、皆口を揃えて“あれは人間じゃない”って言ってるわ。呪いにでもかかっているとか、先祖に魔物の血が混じっているとか、噂はいろいろあるけれどね。確かなのは、ほとんどの貴族令嬢が“あんな相手とは絶対に結婚したくない”と恐れているということよ。」
伯爵夫人も軽くうなずき、静かな声音で続けた。
「もちろん、公爵の領地は豊かだし、爵位だって王国における最上級。財力と地位は申し分ないのよ。でも、あの見た目だもの……エミリアには、もっとふさわしい相手がいるに決まってるでしょう? だからあなたが代わりになるのよ。むしろ光栄に思いなさいな。」
どこまでも傲慢な言葉だった。まるで私に選択肢などない、と言わんばかりだ。いや、実際ないのだろう。私の存在理由は、ただ「エミリアの代わりになる」という一点に尽きる。
私はぎゅっと拳を握りしめて俯いた。伯爵家に引き取られたとき、ほんの少しだけ抱いた“幸せになれるかもしれない”という淡い期待は、もろくも崩れ去った。
(結局は、私は道具なんだ。ずっと変わらない。孤児院でもここでも、私は結局みそっかす扱い……)
悔しさと虚しさで胸がいっぱいになる。だが、それを口にしたところでどうにもならない。私はただ、三人の大人――伯爵と夫人、そしてエミリアの冷たい視線に耐えながら、嵐が通り過ぎるのを待つしかなかった。
すると伯爵が立ち上がり、そっけなく言った。
「そんなわけだ、ノイン。週末のパーティの場で、お前はフェルディナンド公爵閣下に正式に紹介されることになる。失礼のないよう、作法を身につけておけ。……キャロルに任せるから、ちゃんと練習するんだぞ。公爵閣下を怒らせたら、お前の立場が悪くなるだけでは済まない。エドラー家にも迷惑がかかるからな。」
私がうなずくしかないのを見届けると、伯爵は「それじゃあ私は執務室に戻る」と言い残して部屋を出ていく。
エミリアはそんな父を見送ると、ちらりと私を一瞥して小さく鼻を鳴らした。
「ふん。せいぜい“化け物”に食べられないように気をつけてね。……ああ、でも逆に食べられたほうが幸せかしら? だって、あんな相手と一生暮らすなんて耐え難いでしょう?」
まるで私の不幸を楽しむかのような口ぶりだ。そのまま夫人と一緒に応接室をあとにし、やがて誰もいなくなった。
私はその場にへたりこむように座り込んだ。全身の力が抜ける。ずっと肌に貼りついていた緊張が解けると同時に、涙がじわりとこみ上げそうになった。――だけど、ここで泣いてはいけない。もし見られたら、また“みっともない”だの“品がない”だのと言われるに違いない。
(どうして、こんなことに……)
孤児院よりはマシだと思った。少なくとも、毎晩のようにお腹を空かせたり、いじめられたりすることからは解放されると思った。けれど、待っていたのは“身代わり”としての人生だった。化け物と呼ばれる公爵の花嫁にされる。それが私の、ここでの存在意義……。
悲しみに浸る暇もなく、私は部屋の外で控えていたキャロルから声をかけられた。「ノイン、奥様がおっしゃったとおり、あなたの礼儀作法の稽古を再開するわよ。早く立って。」
抑揚のない声。けれど、その向こうにうかがえる微かな同情が胸に痛い。
私はぐっと歯を食いしばり、ソファにつかまりながら立ち上がった。思わず震えてしまう膝を隠すようにスカートの裾を押さえる。
「……はい。お願いします。」
私が扉口で軽く頭を下げると、夫人はソファに腰掛けたまま、人差し指で床を示すようにして「ここまでいらっしゃい」と命じる。おとなしくその場に立つと、夫人はまるで品定めするように私を見つめて、口を開いた。
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私は思わず身構える。パーティに関わることなど、どうせ私には無縁の話だろう。どんな雑用を押し付けられるのだろうか……と思っていると、横に座っていたエミリアが嫌な笑みを浮かべた。
「……あら、ノイン。あなた、知らなかったの? 今回のパーティには、フェルディナンド公爵閣下もいらっしゃるのよ。噂の“化け物”公爵、と言ったほうがわかりやすいかしら?」
エミリアの言葉に、伯爵夫人もうなずく。
「そう。そのフェルディナンド公爵閣下との縁談を、私たちは実は進めているのよ。――本来は、エミリアがそのお相手になる予定だったのだけれど……」
そこで夫人はわざとらしく口を止めて、横目で私を見やる。
「でも、エミリアにはもっとふさわしい相手がいるでしょう? フェルディナンド公爵は、噂を聞いているわよね。禍々しい角が生え、身体は爬虫類のように鱗があって、どす黒い血走った目……。とても人間とは思えない容貌だって、社交界で囁かれているわ。」
エミリアはまるで怪談話でもするように、得意げに肩をすくめる。
「公爵閣下の領地は広大で財も潤沢だけれど……あの異様な姿じゃ、結婚したい娘なんて誰もいないわよね。だからきっと、エドラー家との縁談を持ちかけてきたのよ。ウチは名門だからね。そしたらお父様が、“この子ならちょうどいい”って、あなたのことを紹介してあげたってわけ。……良かったわね、ノイン。これであなたも大貴族に嫁げるわよ?」
クスクスと嫌な笑い声が部屋に響く。私には何がなんだか理解できなかった。突然出てきた「フェルディナンド公爵」という人物――化け物と呼ばれている男との結婚話? どうして私がそんな話に巻き込まれているのか、頭が真っ白になる。
伯爵が口を開く。
「公爵閣下は、以前からエミリアとの縁談を希望されていたんだ。しかし、エミリアをあの姿の男のもとへ嫁がせるのは、さすがに忍びない。そこで……“代わり”が必要だった。だから、お前を養女に迎えたのだよ、ノイン。」
あくまで淡々とした口調でありながら、その声音は私に有無を言わせない圧力をかけているように感じた。
――つまり私は、エミリアの身代わりとして、化け物と噂される公爵のもとへ送り込まれる道具にされるのだ。
喉が乾いて声が出ない。私が驚きに言葉を失っていると、伯爵夫人が足を組み替えて言葉を続ける。
「本当はね、この話はもっと早く決まる予定だったのよ。でも、公爵閣下が“直接顔を見て決めたい”と言っていたから。私たちも、いきなりノインを押しつけるわけにはいかないでしょう? 一応、形だけでも『養女』にしておいて、それなりの“体裁”を整えなければならなかったの。……ああ、心配しなくていいわ。婚約が成立すれば、あなたは正真正銘『エドラー家の娘』として公爵家に嫁ぐことになるのよ。まるで夢みたいでしょ?」
その言葉には、皮肉と嘲笑が混じっているのがはっきりと分かる。エミリアが楽しそうに笑みを漏らす。
「だってノイン、あなたは孤児なんだから。他に行き場はないわよね? 化け物公爵だろうと何だろうと、おとなしく嫁ぐほうがいいわよ。断ったら……どうなるか、わかっているでしょう?」
私は歯を食いしばるしかなかった。確かに、断るという選択肢は今の私にはない。私はエドラー伯爵家に養女として迎えられた“借り”がある形だし、外へ放り出されたら生きていく術もない。そもそも、伯爵が孤児院から私を引き取った目的が“これ”だったのだとすれば、ここに踏みとどまる道など最初から用意されていない。
“養女”というのは仮初めの肩書きでしかなく、実のところ私は伯爵家にとって都合のいい生贄に過ぎないのだ。
震える声を抑えながら、私は思わず問いかけた。
「……公爵閣下は、本当に……“化け物”なんですか……?」
そう口にした途端、エミリアが吹き出すように笑った。
「何を今さら! あの公爵の姿を見たことがある人は、皆口を揃えて“あれは人間じゃない”って言ってるわ。呪いにでもかかっているとか、先祖に魔物の血が混じっているとか、噂はいろいろあるけれどね。確かなのは、ほとんどの貴族令嬢が“あんな相手とは絶対に結婚したくない”と恐れているということよ。」
伯爵夫人も軽くうなずき、静かな声音で続けた。
「もちろん、公爵の領地は豊かだし、爵位だって王国における最上級。財力と地位は申し分ないのよ。でも、あの見た目だもの……エミリアには、もっとふさわしい相手がいるに決まってるでしょう? だからあなたが代わりになるのよ。むしろ光栄に思いなさいな。」
どこまでも傲慢な言葉だった。まるで私に選択肢などない、と言わんばかりだ。いや、実際ないのだろう。私の存在理由は、ただ「エミリアの代わりになる」という一点に尽きる。
私はぎゅっと拳を握りしめて俯いた。伯爵家に引き取られたとき、ほんの少しだけ抱いた“幸せになれるかもしれない”という淡い期待は、もろくも崩れ去った。
(結局は、私は道具なんだ。ずっと変わらない。孤児院でもここでも、私は結局みそっかす扱い……)
悔しさと虚しさで胸がいっぱいになる。だが、それを口にしたところでどうにもならない。私はただ、三人の大人――伯爵と夫人、そしてエミリアの冷たい視線に耐えながら、嵐が通り過ぎるのを待つしかなかった。
すると伯爵が立ち上がり、そっけなく言った。
「そんなわけだ、ノイン。週末のパーティの場で、お前はフェルディナンド公爵閣下に正式に紹介されることになる。失礼のないよう、作法を身につけておけ。……キャロルに任せるから、ちゃんと練習するんだぞ。公爵閣下を怒らせたら、お前の立場が悪くなるだけでは済まない。エドラー家にも迷惑がかかるからな。」
私がうなずくしかないのを見届けると、伯爵は「それじゃあ私は執務室に戻る」と言い残して部屋を出ていく。
エミリアはそんな父を見送ると、ちらりと私を一瞥して小さく鼻を鳴らした。
「ふん。せいぜい“化け物”に食べられないように気をつけてね。……ああ、でも逆に食べられたほうが幸せかしら? だって、あんな相手と一生暮らすなんて耐え難いでしょう?」
まるで私の不幸を楽しむかのような口ぶりだ。そのまま夫人と一緒に応接室をあとにし、やがて誰もいなくなった。
私はその場にへたりこむように座り込んだ。全身の力が抜ける。ずっと肌に貼りついていた緊張が解けると同時に、涙がじわりとこみ上げそうになった。――だけど、ここで泣いてはいけない。もし見られたら、また“みっともない”だの“品がない”だのと言われるに違いない。
(どうして、こんなことに……)
孤児院よりはマシだと思った。少なくとも、毎晩のようにお腹を空かせたり、いじめられたりすることからは解放されると思った。けれど、待っていたのは“身代わり”としての人生だった。化け物と呼ばれる公爵の花嫁にされる。それが私の、ここでの存在意義……。
悲しみに浸る暇もなく、私は部屋の外で控えていたキャロルから声をかけられた。「ノイン、奥様がおっしゃったとおり、あなたの礼儀作法の稽古を再開するわよ。早く立って。」
抑揚のない声。けれど、その向こうにうかがえる微かな同情が胸に痛い。
私はぐっと歯を食いしばり、ソファにつかまりながら立ち上がった。思わず震えてしまう膝を隠すようにスカートの裾を押さえる。
「……はい。お願いします。」
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