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2章隣国の公爵に拾われる
2-1隣国の公爵に拾われる
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2-1隣国の公爵に拾われる
王都を出て数日が経った。
スカーレット・ヨークは伯爵家の馬車に揺られながら、国境の向こうへ向かおうとしていた。辺境の親戚筋、あるいはまったく別の地にある修道院……いずれにしろ、王太子アルバートによって婚約を破棄された彼女が、王都に戻れる望みはもはやほとんどない。
父や母が必死に手を尽くしてくれるとはいえ、王家や有力貴族が結託し、スカーレットを“悪役令嬢”として扱い続ける以上、短期間で名誉が回復される見込みは薄いだろう。――彼女自身、それを十分に理解していた。
◇
馬車での旅は想像以上に過酷だった。王都周辺の道こそ石畳がしっかり整備されているものの、街を出てしばらく行くと道幅は狭くなり、街道の整備状態も一気に悪化する。大きな石や木の根が露出した凸凹道を進むたび、車輪が何度も軋み、揺れが激しくなって車内にいるスカーレットの身体を容赦なく左右へと振り動かした。
本来ならば、長い旅に慣れた御者や護衛騎士など、十分な人員を整えて出発すべきところだったが、今のヨーク伯爵家にはその余裕がない。王家から睨まれた以上、派手な準備をすれば「逃亡の意図がある」としてますます追及される恐れがあるし、何より王都の使用人たちはあからさまにスカーレットを敬遠しており、身の回りの世話を申し出る者はごくわずかだった。
それでも、出発の際に伯爵夫人が懇意にしていた年配の御者が、最後の善意として名乗りを上げ、馬車を駆る役を引き受けてくれた。しかし彼も年齢による体力の衰えは隠せず、旅程が長引くほど心身の疲労が蓄積していくのは明らかだった。
ある夕刻、細い峠道に差しかかったとき、事件は起きる。荷物を満載した馬車が深い轍(わだち)にはまってしまい、御者が必死に鞭を振るっても車輪が空転するばかりでまったく動かなくなってしまったのだ。幸い天候は晴れで雨のぬかるみはなかったものの、峠道は急な斜面に挟まれており、道幅が狭い。下手に押せば馬車ごと谷底へ転落しかねない危険があった。
「……どうしようもありませんな。嬢様、ここは馬車を降りて、先に少し歩いていただけますか? 荷物を減らして馬を助けないと」
疲労困憊の御者は額の汗を拭いながらそう申し出る。スカーレットは迷わず頷いた。ドレスの裾をたくし上げ、そっと馬車を降りる。といっても、旅用の少し丈夫な衣装を選んでいるため、普通の貴族令嬢のような豪奢な装いよりは動きやすい。とはいえ、慣れない山道を歩くのは骨が折れる。地面の小石が靴底から足を突き上げ、ゆるくウェーブのかかった栗色の髪に埃が舞い込んで不快感が募る。
「大丈夫、私は歩けますから。御者さんこそお気をつけて」
「痛み入ります。しばしお待ちを……」
御者は荷台を軽くするため、一部の荷物を地面に下ろし、馬と車輪を引き上げようと試行錯誤を繰り返す。しかし車輪は頑固に轍に噛んでおり、少しも動かない。道行きで頼めそうな助けも近くには見当たらない。深い森と岩肌が迫る峠道で、通行人の姿すらほとんどないのだ。
スカーレットは周囲を見渡し、次第に日が沈みかけていることに気づく。空の西側は淡いオレンジのグラデーションに染まり、あと数十分もすれば明かりがなければ進めないほど暗くなるだろう。ここで夜を迎えるのは危険が大きい。魔獣や盗賊の類が出没する噂も、辺境近くでは決して珍しくはないのだ。
「御者さん……今日中にここを抜けられないのなら、安全な場所に避難した方がいいかもしれません。あまりにも無理をすると、私たちが怪我をするどころか……」
「承知してます、嬢様。ですが、馬車をこのまま放置するわけにもいかんのです。せめて車輪を外すなど、何らかの手段を講じたいが……」
御者が途方に暮れたように視線を巡らせた。その様子にスカーレットも心が沈んでいく。伯爵家の援助もなく、大人数の護衛もいない今、彼女たちはほぼ自力でこの状況を打開しなければならない。
――そこに、遠くから蹄の音が聞こえてきた。
希望の光か、それとも新たな危険か。スカーレットは警戒心を抱きながら、音のする方へ視線をやる。峠道の曲がり角から姿を現したのは、漆黒の毛並みを持つ一頭の馬。その馬上には銀髪の男が乗っていた。
銀髪の男は、夕陽を背にしながらこちらへ近づいてくる。彼の身なりは一見して旅装束のようにも見えるが、織り込まれた生地は高級なものであり、その肩には何か高位の紋章と思しきデザインが刻まれていた。乗馬姿勢も堂々としており、まるで軍人か騎士のようだが、それ以上の威圧感と品位を感じさせる。
「これは……」
距離が縮まるにつれ、スカーレットは男の容姿に驚かされる。彫りの深い整った横顔に、長身で引き締まった体躯。透き通るような銀色の髪はまるで月の光を映したかのごとく美しい。さらに、彼の瞳は冷淡さと高貴さを併せ持ち、どこか人を寄せ付けない雰囲気を放っていた。
男は馬を止めると、まずは無言でスカーレットたちの馬車を一瞥する。そして落ち着いた声音で問うた。
「こんな時間に、こんな道で馬車が動かなくなるとは……随分と困っているようだな。どうした?」
その低く響く声に、御者は安堵の表情を浮かべる。見知らぬ人物だが、盗賊風でもなければ怪しい集団を引き連れているわけでもない。もし力を貸してもらえるならば、これほど心強いことはない。
「ええ、実は……。峠道の轍に車輪が嵌ってしまいまして、馬も疲れ切っております。大変恐縮ですが、お力をお借りできませんでしょうか」
御者がそう頼み込むと、男はちらりとスカーレットの方へ視線を向けた。彼女の衣服や佇まいから、ただの旅人ではなく、それなりに良家の出であることを察したのだろう。
「ふむ……そちらの嬢さんも旅の途中か? こんな辺境の峠道に、護衛もなく一人とはずいぶん危険だな」
「一応、私が護衛も兼ねておりますが、年寄りの身で……ご覧のありさまです」
御者の自嘲気味な言葉に、男は口元にわずかな苦笑を浮かべる。そして馬を下りると、しっかりとした足取りで馬車の車輪へ近づいた。御者も「助けます」と声をかけて付き添う。
男は馬車と轍の状態を確認し、しばらく車輪の様子を覗き込んでいたが、やがて立ち上がり、落ち着いた口調で言った。
「車輪を外すだけでは駄目だな。馬車の下に木材か石を差し込んで道をならす必要がある。……俺が持ち上げるから、お前はその間に支えを入れろ」
「はっ、はい! しかし、そんな重いものを……」
御者は怪訝そうな顔をしたが、男は構わず両手を車輪付近の車体に当てる。まるで大岩を動かすかのように力を込めると、信じ難いことに馬車の一角が少しずつ持ち上がっていくではないか。
「……嘘……」
スカーレットは息を呑んだ。馬車は決して軽いものではない。荷物もそれなりに積まれており、到底人の腕力だけで持ち上げられる代物ではないはずだ。それがこの男の手にかかると、不自然なほど容易く車体の傾斜が変わっていく。何かしら魔力を使ったのか、それとも単なる怪力か。
いずれにしても、男の腕に秘められた桁外れの力を感じ、スカーレットはただ驚くばかりだった。御者が慌てて車輪の下に木片を噛ませ、さらには周囲の石や土砂を使って小さな斜面を作り出すと、馬車はようやく轍から抜け出すことに成功する。
「――やりました! ありがとうございます、本当に。あなたがいなければ、私たちは夜を明かさねばなりませんでした」
「助かった……! 重ね重ね感謝いたします。まさか、こんなに簡単に……」
御者は地面に手をついて礼を述べた。その隣でスカーレットも丁寧に一礼する。
「……ありがとうございます。わたくし、スカーレットと申します。大恩をお受けしたままでは申し訳ございません。何かお礼を――」
だが、男はスカーレットの言葉を制するかのように片手を挙げる。表情は依然として冷静で、どこか人形じみた美しさすら感じさせる。
「礼は要らない。困っているのを放っておくほど酷い性分じゃない。……それより、お前たちはこれからどうする? 峠を抜けても、ここから最寄りの街まではかなり距離がある。しかも陽は落ちかけている。今夜は安全な場所で休んだ方がいいだろう」
「たしかに、日が暮れるまでに街に着くのは無理かもしれません……」
スカーレットが呟くように言うと、男は小さく頷く。
「俺の領地がそう遠くない。国境付近に邸があるから、良ければそこに一晩泊まっていくといい」
「え……領地がある、ということはあなたは……?」
男はスカーレットの問いかけに直接は答えず、「早くしないと暗くなるぞ」とだけ言い残して愛馬に再び跨がる。そして馬車の御者を先導するように、片手で道を示す。その言動は強引なようにも見えるが、その実、迷いなく彼女たちを安全へ導く気概が感じられた。
御者は一瞬ためらったものの、当てもないまま夜を迎えれば危険なのは明らかだ。幸い、相手は人目でわかるほど高貴な身分らしき雰囲気を漂わせ、しかも先ほどの善行が示すように悪意はなさそうである。スカーレットもうなずき、男に従うことを決めた。
こうして、不思議な出会いをした銀髪の男――のちに名を知ることになるゼイン・ファーガス公爵――の導きによって、スカーレットの馬車は峠道を抜け、隣国へと続く国境地帯にある公爵領へ足を踏み入れることになったのである。
王都を出て数日が経った。
スカーレット・ヨークは伯爵家の馬車に揺られながら、国境の向こうへ向かおうとしていた。辺境の親戚筋、あるいはまったく別の地にある修道院……いずれにしろ、王太子アルバートによって婚約を破棄された彼女が、王都に戻れる望みはもはやほとんどない。
父や母が必死に手を尽くしてくれるとはいえ、王家や有力貴族が結託し、スカーレットを“悪役令嬢”として扱い続ける以上、短期間で名誉が回復される見込みは薄いだろう。――彼女自身、それを十分に理解していた。
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馬車での旅は想像以上に過酷だった。王都周辺の道こそ石畳がしっかり整備されているものの、街を出てしばらく行くと道幅は狭くなり、街道の整備状態も一気に悪化する。大きな石や木の根が露出した凸凹道を進むたび、車輪が何度も軋み、揺れが激しくなって車内にいるスカーレットの身体を容赦なく左右へと振り動かした。
本来ならば、長い旅に慣れた御者や護衛騎士など、十分な人員を整えて出発すべきところだったが、今のヨーク伯爵家にはその余裕がない。王家から睨まれた以上、派手な準備をすれば「逃亡の意図がある」としてますます追及される恐れがあるし、何より王都の使用人たちはあからさまにスカーレットを敬遠しており、身の回りの世話を申し出る者はごくわずかだった。
それでも、出発の際に伯爵夫人が懇意にしていた年配の御者が、最後の善意として名乗りを上げ、馬車を駆る役を引き受けてくれた。しかし彼も年齢による体力の衰えは隠せず、旅程が長引くほど心身の疲労が蓄積していくのは明らかだった。
ある夕刻、細い峠道に差しかかったとき、事件は起きる。荷物を満載した馬車が深い轍(わだち)にはまってしまい、御者が必死に鞭を振るっても車輪が空転するばかりでまったく動かなくなってしまったのだ。幸い天候は晴れで雨のぬかるみはなかったものの、峠道は急な斜面に挟まれており、道幅が狭い。下手に押せば馬車ごと谷底へ転落しかねない危険があった。
「……どうしようもありませんな。嬢様、ここは馬車を降りて、先に少し歩いていただけますか? 荷物を減らして馬を助けないと」
疲労困憊の御者は額の汗を拭いながらそう申し出る。スカーレットは迷わず頷いた。ドレスの裾をたくし上げ、そっと馬車を降りる。といっても、旅用の少し丈夫な衣装を選んでいるため、普通の貴族令嬢のような豪奢な装いよりは動きやすい。とはいえ、慣れない山道を歩くのは骨が折れる。地面の小石が靴底から足を突き上げ、ゆるくウェーブのかかった栗色の髪に埃が舞い込んで不快感が募る。
「大丈夫、私は歩けますから。御者さんこそお気をつけて」
「痛み入ります。しばしお待ちを……」
御者は荷台を軽くするため、一部の荷物を地面に下ろし、馬と車輪を引き上げようと試行錯誤を繰り返す。しかし車輪は頑固に轍に噛んでおり、少しも動かない。道行きで頼めそうな助けも近くには見当たらない。深い森と岩肌が迫る峠道で、通行人の姿すらほとんどないのだ。
スカーレットは周囲を見渡し、次第に日が沈みかけていることに気づく。空の西側は淡いオレンジのグラデーションに染まり、あと数十分もすれば明かりがなければ進めないほど暗くなるだろう。ここで夜を迎えるのは危険が大きい。魔獣や盗賊の類が出没する噂も、辺境近くでは決して珍しくはないのだ。
「御者さん……今日中にここを抜けられないのなら、安全な場所に避難した方がいいかもしれません。あまりにも無理をすると、私たちが怪我をするどころか……」
「承知してます、嬢様。ですが、馬車をこのまま放置するわけにもいかんのです。せめて車輪を外すなど、何らかの手段を講じたいが……」
御者が途方に暮れたように視線を巡らせた。その様子にスカーレットも心が沈んでいく。伯爵家の援助もなく、大人数の護衛もいない今、彼女たちはほぼ自力でこの状況を打開しなければならない。
――そこに、遠くから蹄の音が聞こえてきた。
希望の光か、それとも新たな危険か。スカーレットは警戒心を抱きながら、音のする方へ視線をやる。峠道の曲がり角から姿を現したのは、漆黒の毛並みを持つ一頭の馬。その馬上には銀髪の男が乗っていた。
銀髪の男は、夕陽を背にしながらこちらへ近づいてくる。彼の身なりは一見して旅装束のようにも見えるが、織り込まれた生地は高級なものであり、その肩には何か高位の紋章と思しきデザインが刻まれていた。乗馬姿勢も堂々としており、まるで軍人か騎士のようだが、それ以上の威圧感と品位を感じさせる。
「これは……」
距離が縮まるにつれ、スカーレットは男の容姿に驚かされる。彫りの深い整った横顔に、長身で引き締まった体躯。透き通るような銀色の髪はまるで月の光を映したかのごとく美しい。さらに、彼の瞳は冷淡さと高貴さを併せ持ち、どこか人を寄せ付けない雰囲気を放っていた。
男は馬を止めると、まずは無言でスカーレットたちの馬車を一瞥する。そして落ち着いた声音で問うた。
「こんな時間に、こんな道で馬車が動かなくなるとは……随分と困っているようだな。どうした?」
その低く響く声に、御者は安堵の表情を浮かべる。見知らぬ人物だが、盗賊風でもなければ怪しい集団を引き連れているわけでもない。もし力を貸してもらえるならば、これほど心強いことはない。
「ええ、実は……。峠道の轍に車輪が嵌ってしまいまして、馬も疲れ切っております。大変恐縮ですが、お力をお借りできませんでしょうか」
御者がそう頼み込むと、男はちらりとスカーレットの方へ視線を向けた。彼女の衣服や佇まいから、ただの旅人ではなく、それなりに良家の出であることを察したのだろう。
「ふむ……そちらの嬢さんも旅の途中か? こんな辺境の峠道に、護衛もなく一人とはずいぶん危険だな」
「一応、私が護衛も兼ねておりますが、年寄りの身で……ご覧のありさまです」
御者の自嘲気味な言葉に、男は口元にわずかな苦笑を浮かべる。そして馬を下りると、しっかりとした足取りで馬車の車輪へ近づいた。御者も「助けます」と声をかけて付き添う。
男は馬車と轍の状態を確認し、しばらく車輪の様子を覗き込んでいたが、やがて立ち上がり、落ち着いた口調で言った。
「車輪を外すだけでは駄目だな。馬車の下に木材か石を差し込んで道をならす必要がある。……俺が持ち上げるから、お前はその間に支えを入れろ」
「はっ、はい! しかし、そんな重いものを……」
御者は怪訝そうな顔をしたが、男は構わず両手を車輪付近の車体に当てる。まるで大岩を動かすかのように力を込めると、信じ難いことに馬車の一角が少しずつ持ち上がっていくではないか。
「……嘘……」
スカーレットは息を呑んだ。馬車は決して軽いものではない。荷物もそれなりに積まれており、到底人の腕力だけで持ち上げられる代物ではないはずだ。それがこの男の手にかかると、不自然なほど容易く車体の傾斜が変わっていく。何かしら魔力を使ったのか、それとも単なる怪力か。
いずれにしても、男の腕に秘められた桁外れの力を感じ、スカーレットはただ驚くばかりだった。御者が慌てて車輪の下に木片を噛ませ、さらには周囲の石や土砂を使って小さな斜面を作り出すと、馬車はようやく轍から抜け出すことに成功する。
「――やりました! ありがとうございます、本当に。あなたがいなければ、私たちは夜を明かさねばなりませんでした」
「助かった……! 重ね重ね感謝いたします。まさか、こんなに簡単に……」
御者は地面に手をついて礼を述べた。その隣でスカーレットも丁寧に一礼する。
「……ありがとうございます。わたくし、スカーレットと申します。大恩をお受けしたままでは申し訳ございません。何かお礼を――」
だが、男はスカーレットの言葉を制するかのように片手を挙げる。表情は依然として冷静で、どこか人形じみた美しさすら感じさせる。
「礼は要らない。困っているのを放っておくほど酷い性分じゃない。……それより、お前たちはこれからどうする? 峠を抜けても、ここから最寄りの街まではかなり距離がある。しかも陽は落ちかけている。今夜は安全な場所で休んだ方がいいだろう」
「たしかに、日が暮れるまでに街に着くのは無理かもしれません……」
スカーレットが呟くように言うと、男は小さく頷く。
「俺の領地がそう遠くない。国境付近に邸があるから、良ければそこに一晩泊まっていくといい」
「え……領地がある、ということはあなたは……?」
男はスカーレットの問いかけに直接は答えず、「早くしないと暗くなるぞ」とだけ言い残して愛馬に再び跨がる。そして馬車の御者を先導するように、片手で道を示す。その言動は強引なようにも見えるが、その実、迷いなく彼女たちを安全へ導く気概が感じられた。
御者は一瞬ためらったものの、当てもないまま夜を迎えれば危険なのは明らかだ。幸い、相手は人目でわかるほど高貴な身分らしき雰囲気を漂わせ、しかも先ほどの善行が示すように悪意はなさそうである。スカーレットもうなずき、男に従うことを決めた。
こうして、不思議な出会いをした銀髪の男――のちに名を知ることになるゼイン・ファーガス公爵――の導きによって、スカーレットの馬車は峠道を抜け、隣国へと続く国境地帯にある公爵領へ足を踏み入れることになったのである。
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