日替わりメイド・ミリア 〜追い出されたけれど両家から引っ張りだこ! 最後に選ぶのは“恋”ですか?“居場所”ですか?〜

鍛高譚

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第37話 アーロン母のお願い 〜ミリア、心の扉がそっと開く夜〜

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第37話 アーロン母のお願い

~ミリア、心の扉がそっと開く夜~

夜。

ミリア邸の扉を開けた瞬間――
思わず胸が跳ねた。

そこに立っていたのは、
アーロンの母・レティシア夫人。

昼間の優しい笑顔ではなく、
どこか真剣で、少しだけ切ない表情をしている。

「ミリアさん。こんな時間に……ごめんなさいね」

「い、いえ……!どうぞお入りくださいませ!」

ミリアは夫人を部屋に通し、
お茶を淹れようとしたが、
夫人はそっと首を振った。

「いいの。今日は……少しだけ、お話がしたくて来たの」

それだけで、ミリアの胸はぎゅっとつまる。

(……アーロン様の具合が……
悪くなったのでしょうか)

不安で呼吸が早くなる。

夫人がゆっくり口を開いた。


---

◆◆「ミリアさんに……お願いがありますの」◆◆

夫人は苦しげな表情で、
そっとミリアの手を取った。

「ミリアさん。
……どうか、アーロンの“心”を救ってあげてほしいの」

「……っ!」

ミリアの胸に鋭く届いた言葉。

夫人はミリアの手を包み込むように握る。

「……あの子は昔から、
誰かを好きになると……
まっすぐすぎるほどに真っすぐなの」

ミリアは息を呑む。

(それ……まさに、いまのアーロン様だわ……)

夫人が静かに続ける。

「でもね……
その想いが大きすぎて、
自分の気持ちを自分で苦しめてしまう子でもあるの」

ミリアの胸が痛くなる。

「今日倒れたのも……
あなたが悪いわけじゃないのよ。
あれは……あの子が自分を追い詰めてしまっただけ」

夫人は優しいけれど、
どこか涙をこらえているようだった。

「ミリアさん。
……あなたを想う気持ちが……
あの子を強くもするし、弱くもしてしまう」

ミリアの視界が揺れる。


---

◆◆ミリアの心の内が震える◆◆

「アーロン様が……
そんなにも……私を……?」

夫人は小さく頷いた。

「ええ。
ミリアさん、あなたが来てから……
アーロンは本当に変わったの。
これまで誰にも見せなかった優しさも、
弱さも……全部あなたの前でだけ見せるようになった」

ミリアは思わず口元を押さえた。

(……そんな……
私なんかのために……)

夫人は続けた。

「お願い……。
どうか、あの子を一人にしないであげて」

「……っ!」

ミリアは、堪えきれずに涙を流した。

(そんなこと……
言われたら……もう……)

アーロン母は、ミリアの涙をそっと拭った。

「でもね、ミリアさん。
あなたがアーロンを選ばないという結果になっても……
私はあなたを責めない。
ミリアさんが幸せになることが、大事なのだから」

ミリアは涙をこぼしながら首を振った。

「わ、私……!
アーロン様が……苦しんでいると……
胸が……ぎゅっと……苦しくなるんです……!」

「ミリアさん……」

「アーロン様が……
弱って私の名前を呼ぶと……
どうしようもなく……
そばにいたくなるんです……」

その言葉は――
ミリア自身の心を掘り起こすような“告白”だった。

夫人は微笑みながら、
優しくミリアを抱き寄せた。

「それでいいのよ。
ミリアさん……
あなたは、もう答えを持っているわ」

ミリアは胸に手を当てた。

(……私の心は……
もう……決まっている……)


---

◆◆そして、夫人の最後の一言◆◆

帰り際、扉の前で
アーロン母はそっと振り返った。

「ミリアさん。
アーロンは明日、もう一度あなたに会いたがるでしょう。
……どうかその時、
あなたの“本当の心”を伝えてあげて」

ミリアの瞳が震える。

「……はい……
必ず……」

扉が閉まり、
シンと静けさが戻ったミリア邸の中で――

ミリアは胸に手を当てた。

「アーロン様……」

その名前は、
もう涙ではなく、
恋の熱を帯びた響きになっていた。


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