歳下で純情でちょっと×××な優吾くん〜わんこ系幼馴染から8年分溺愛されます⁉︎〜

麻梨

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第6話 優吾③【腰巻のタオルと誘惑と欲望】

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 突然の雷雨にうっかり想い人の家に上がれるハプニングに、ぶっちゃけ喜んでいる40分前の俺に次ぐ。

 まじで。
 なんで、コンビニで、パンツを買わなかった。

 黒澤に「馬鹿か」とよく言われる俺は、言われ過ぎてあんまり刺さってなかったけれど、今めっちゃ思う。まじでアホだ。

「えー……とぉ……もう少し、何か着られるものがないか、探す、ね?」

「……オネガイシマス」

 蒼乃ちゃん、蒼乃ちゃん。
 これで「なにか」つまり、俺が入る服が見つかると死ぬほど複雑だし、その服、めちゃくちゃ着たくないんだよ。

 とはいえ、蜂須賀優吾19歳。

 長年燻りに燻りつづけた初恋の相手の家でフルチンという醜態をさらしています……。

 あ、もちろんタオルは腰に巻いている。

 巻いているけれど……俺の俺がぜんっぜん、隠れていなくてだな?!

 タオルの上からしっかり存在感がある。これ、普通に俺の存在がセクハラだろ。

 俺、まじで沈まれ俺の俺。気持ちはわかる。痛い程わかる。

 だって蒼乃ちゃんの家だぞ?!

 どこもかしこもいい匂いって信じられないんだけれど。

 なんかこう、空気が柔らかい感じがする。なんだろ、化粧品の匂い、だけじゃないよな。そもそもこのバスタオルがいい匂いだし。普段から使っているのかなー……だめだ、これ考えたら元気になるやつ。

 それに……。

「濡れてる蒼乃ちゃんえろかった……」

 白いシャツになんかこう、ふわっとしている淡いブルーのスカートの蒼乃ちゃんはとんでもなくきれいで、「俺こんな美人なお姉さんとデートできるの?」ってずーーーと内心緊張していたんだけれど、雨に打たれてからの破壊力はもはや兵器だった。

 透けているそれが、ブラじゃないことはわかるんだけれど、レース素材が肌に張り付く感じとか、濡れた髪とかがとにかく色っぽくて……。白い肌に赤い唇を見つめていたら、じんわりと体温が上昇した。

 脳内黒澤に何度も頭を引っ叩いてもらった。後でお礼を言おう。(絶対嫌な顔されるけど)

 ……そういえば、俺の知っている小さい蒼乃ちゃんって、白とか黒のTシャツにズボンっていう、ピクトグラムみたいにわかりやすい服しか着てないな……。

 今日みたいなの、すっげー似合うのに。ワンピースとかも可愛いだろうな……浴衣とか着てくれないかなぁ……絶対えろい眼で見ちゃうな。

 部屋についてから「どっちが先にシャワーをあびるか」すったもんだの末、俺が梃でも動かないことを察した蒼乃ちゃんが折れてくれた。

「すぐに着替えるね!」

「ゆっくりでいいって!」

 部屋を汚したくないので玄関で待つこと数分。

 部屋着姿の、やわらかそうなTシャツを着たゆるい蒼乃ちゃんはお姉さんから、女の子って感じだった。

 つまり、可愛かった。

 俺のためにおしゃれしてくれたんだなって、身綺麗な蒼乃ちゃんにすげぇはしゃいだくせに、オフモードっていうか、化粧を落とした生っぽい肌感がかなりクる。

 タオルで顔隠しているのって、すっぴん見られたくて気にしているってことなん? むしろ見たいんですけど……。

「お待たせ……湯舟も張ったからゆっくり入って? 着替え探すの時間かかると思うの」

 蒼乃ちゃん、お気遣い本当にありがとう。あのね。どう考えても、俺は俺を落ち着かせるのに時間かかる……。

 そして、目先の問題は冒頭に至る。

 素数が途中でわけわからなくなったので寿限無を数回唱えてどうにかこうにかした俺はタオル一丁という締まりのなさだ。

 今はリビングにいるんだけれど……一人用のソファがあって、そこに……。

「く……はは……っ」

 服が積まれて小山になってんの!

 ワンピースとか、なんだろ、このてろてろした素材のやつ。夏時期に女の子が良く来ている透けてるアレ。

 これ着ている蒼乃ちゃん見たいなー。お、ショーパンあるじゃん。こういうの履くの? 脚めちゃ出るやつ……え、似合うけどやめて。俺の前だけにして。

 どこからどう見ても、これは、あれだよな。

 今日着ていく服、迷ってくれてたのかな。

「あー……」

 だとしたらさぁ、もうさぁ!

「すげぇ可愛い……」

 蒼乃ちゃん、俺が思うより、楽しみにしていてくれたのかな。

 カレンダーに丸がついているのも、すげぇ嬉しい。物色しちゃいけないってわかっているけれどすごい見ちゃう。化粧品とか出しっぱなし……。

 手持ち無沙汰が故に、「お、これも可愛いなー」なんて、けっこう雑に重ねられていた服をせっかくなので畳んでいたら

「んあっ!?」

 別室から戻ってきた蒼乃ちゃんが聞いたこともないような声を上げる。

「ちょ、ごめ……! 部屋、片付いていなくて……!」

「いやいや! 全然綺麗でしょ! ここ以外は」

「もー……見なかったことにしてよぉ……」

 はい、赤面する蒼乃ちゃん可愛いー。反則でしょ、それ。なんでそんな可愛いの。俺、この部屋入ってから毎秒息をするように可愛いしか思ってないな。致死量でどうにかなりそうなんだけど。……いや、どうにか鎮めなきゃだめだよな、俺の俺を。

 正面に座ることをなんとか避けて、服を畳むふりをして局部を隠すという悪あがき、なんとなく見透かされている気はする。全裸芸かよ。

 蒼乃ちゃん、さっきから全然落ち着かないし。

 蒼乃ちゃんって、こういう状況で緊張してくれんだな。俺相手に。

「あのね、優吾くん……服、ぜんぜん見つからなくて……」

「あ、うん、気にしないで……」

 いや、気になるよな。
 家にほぼ裸の男がいるとか。
 さっきから顔反らしているもんね。

 でも、指の隙間からちょっと視線を感じるの、なんか恥ずかしいよ?!

「あとね、本当に申し訳ないんだけれど……」

 え、今度は何?
 めちゃくちゃ緊張するんですけど……。

「さっき雷が遠くで聞こえたの。私、招集がかかるかもしれなくて」

「……しょうしゅう」

「第二待機って言って、非番なんだけれど、緊急時に人手が足りなくなると招集がかかるの。通常第二待機の人達が呼ばれることはめったにないんだけれど、この雨だから……。雷のせいで停電が起きるかもしれないし」

「あぁ! そういう……」

 災害時は絶対忙しいよね、警察官って。

 大変なんだなぁ、とベランダの方を見ると、叩きつける雨。
 ん? ちょっと待て。

「仮に招集がかかったらこの雨で外出すんの?」

「うん。だからその時は、家を開けるね。合鍵を渡すから、洗濯物が乾いたら……」

「いやいやいやいやそうじゃなくて! どうやって出勤すんの?!」

「徒歩だよ? 車持っていないもん。運が良ければ先輩の車。雨足が弱くなってたらいつものロードバイクかな」

「まじで?! 花苑交番ってここから歩くような距離じゃねぇじゃん!」

「出退勤は本署で済ませるから向かうのは警察署かなぁ」

「いやいやいや? そういう問題じゃないっていうか、距離は変わらないから! 警察署だって普通に遠いじゃん!」

「あは! そうだねぇ」

 笑うとこなの?!
 ポリスジョーク?!

 警官個人の命が脅かされるやつでは?! というか、扱いが酷くねぇ?! 「そのための訓練だからねぇ」と蒼乃ちゃんは何の気なしに言う。大雨の日に出勤する訓練って何……?

 さっき、バカでかい荷物を玄関に運んでいたけれど、それも招集時に必要になるものらしい。「どぶを浚うための服」と説明されたときは耳を疑った。

「このあたりは畑や水田がないからまだマシな方だけれど、雨になると様子を見に行く方が一定数いるのよ……。そのまま側溝に嵌ったりするから、長靴と作業着は必須なの」

 みんな、マジで、増水した水路とか川とか、見に行かないようにな。

「水害以外にも、停電とか、信号トラブルとか、雨量が多い日は気が抜けないんだ。……ごめんね。せっかく来てくれたのに」

「いや、マジで謝らないでよ。それを聞いたら尊敬しかないって!」

 本心、なんだけれどな。蒼乃ちゃんの表情はちょっと暗い。

 そりゃそうだよな。

 楽しく一日過ごして、自分の仕事が水を差した、みたいに感じているのかも。

「あー……あのさ! 蒼乃ちゃん、えっと、今日、楽しかった?! 俺はめちゃくちゃ楽しかった!」

「楽しかったよ、すごく……」

「ホントに? デートになってた? なんかこう、ホテルディナーみたいなののが良いのかなーって思ったんだけれど……」

「ふふ! いっぱい考えてくれたんだ?」

「当たり前じゃん! すげぇ楽しみにしていたんだから!」

 ……再会した日からじゃなくて。

 最後に約束したあの日から、ずっと待っていたんだから。

「ねぇ、優吾くん。スマホの充電、あと何パーセント?」

「え? ……あー……76%」

「私は……82%。あのね。誰かと出かけた時の、スマホの残量が、そのときのお出かけの満足度なんだって。私の方が、楽しんでいたみたいだよ?」

 いたずらっぽく笑う蒼乃ちゃん。

 俺は即座に「嘘だぁ! 80、いや90を下回るとかないから!」って否定したけれど……内心、心臓が口から出そうだった。

 やべぇ、嬉しい。
 どうしよう。
 抱きしめていいかな。

 いやだめだよな。俺の俺が密着しちゃう。
 蒼乃ちゃん、よく笑ってくれていたけれど、ホントに喜んでくれていたんだ……!

 湧き出る幸福感を噛み締めるのって、顔に出さないようにするのがかなり難しい。俺のにやけ面は蒼乃ちゃんに全部見られてしまった。視線がぶつかって、それだけで体温が上がる。

 くすぐったくなるのは、俺だけじゃなかったらしい。

 視線を落とした蒼乃ちゃんは、俺の身体を見ていた。

「……服の上からでもなんとなく思っていたけれど、筋肉すごいね。腹筋とか完全に割れているんだ」

「高校時代に筋トレにハマりまして……触る?」

「え?! どこを?!」

「どこって……どこ想像したの。蒼乃ちゃんえっちだなー」

 からかった、つもりだった。「もう、優吾くんったら!」みたいに返してくれるんじゃないかなって。

 でもさ

「あ……ごめ……」

 顔を真っ赤にして、瞳まで潤ませて、謝るの。

 それは、反則でしょ。

 正直、そういうことを期待していた部分は結構ある。

 コンビニで買わなきゃいけなかったものよりも先に、ゴムの売り場を横目で見ちゃうくらいには。

 でもさ、なんとなく気が付いていた。
 蒼乃ちゃんは、俺のこと、男として意識したくないんじゃないかなって。

 素直で、明るくて、甘ったれの、男の子のままでいて欲しいんじゃないかって。

 俺は、蒼乃ちゃんが求めてくれるなら、どんな俺でも演じられる。
 距離を詰めるためならなんだっていい。安全圏で安牌で、安心できて、一番近い。
 そんな存在でいられるなら、一線を越えない覚悟だって固められる。最終的に、骨まで食うのが目的ではあるけれど。

 でもさ、蒼乃ちゃん。

 俺を見るその眼も、表情も、「幼馴染のお姉さん」の顔じゃないよね?

 その反応はさ、男にとって、「本能のまま触りたい」っていう欲望をくすぐっちゃうんだって。


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