1 / 17
プロローグ
しおりを挟む『復讐、して欲しいの』
ーー
「復習…?」
『違うわ。復讐よ』
私こと、小鳥遊緋夏25歳は目の前に浮遊する女性ーーディアナ・ベルトラと名乗る彼女の言葉に首を傾げた
「そもそも此処はどこなの?」
『あの世とこの世の間…貴女はヒナって呼ぶわね。亡くなったのよ』
「へー」
『の、呑気ね…』
この子で大丈夫なのかしら…と小さい声で話す彼女の姿をまじまじと見つめた
足はないし、そもそも体も透けている
これが幽霊か、と心の中で特に驚きもせず納得している自分がいた
「最後の記憶がバスが突っ込んでくる瞬間だったから、死んだのも納得しているの」
『ばす?貴女の世界のことはよくわからないけど…私の話を聞いてくれるかしら?』
こくり、と頷いた私を見て彼女ーディアナはぽつりぽつりと話し始めた
ーー
「……お気の毒な人生だったのね」
『そうでしょう?自分でもこんな最期が情けなくて涙が出てくるわ』
ディアナが話した内容は私が想像していたよりも酷いものだった
彼女の不幸は10歳で母親が亡くなった頃から始まる
彼女の母親を愛していた彼女の父親は妻を失った喪失感から家に帰ってくることはなくなった
屋敷に残ったのは10歳のディアナと1つ年下の彼女の妹だけ
この妹がどうやら曲者だったようで、父親がいなくなるや否や屋敷のメイド達を味方につけ、姉であるディアナを使用人部屋に追いやり、本来であればベルトラ公爵家「百合の間」、ベルトラ家長女が使う広くて日当たりの良い豪奢な部屋を取られてしまったそうだ
『でも私も黙ってたわけじゃないわ。何度もヴィオラには抗議したし、お父様にも手紙だって書いたわ』
「返事はあったの?」
『「好きにしろ」その一言よ。』
ガクッと項垂れたディアナに苦笑した
その寒々しい部屋で彼女は8年も過ごしたそうだ
「それで、貴女の死因は?私と同じで亡くなったからここにいるんでしょ?」
『……風邪を、ひいたの。でも軽い熱だったわ…その、部屋で休んでたらヴィオラが、機嫌が悪かったのか鞭を持ってきて…』
「まさか…」
『痛かったのだけは覚えてるわ…その後の記憶はちょっと曖昧。でも死ぬ間際に「神様。どうか私をいじめてきた人たちが楽な死に方をしませんように!!」ってお願いしたらここにいたわ』
「なるほど…でもそれが私とどう関係するの?」
私は一番の謎ポイントであるそこに触れた
彼女の人生が散々だったのは重々理解した
だがそれが私とどう関係あるのかは謎に包まれていた
『神様らしき声が聞こえて、今から連れてくる人にお願いしたらきっと私の仇をとってくれるって』
「えぇ…」
『神様がそういうってことは貴女はそれだけの力があるんじゃないの?』
こてんと首を傾げたディアナに私はハハッと乾いた笑いしか出なかった
神様など信じていなかったが、ディアナの話と、私の過去を照らし合わせるとどうやら神様というのは存在しているらしい
「私、検察官だったのよ。そうね、簡単に言えば罪人の罪を事細かく調べる仕事をしてたの』
私の話を聞いたディアナはなるほど。と納得した
『それじゃあ私の代わりに仇をとってくれる?』
スイっと近寄ってきたディアナが私の手を取り握りしめる
冷たく細いその手からディアナの必死さが伝わってきた
「私でよければ、頑張るわ」
『ありがとう!!』
そうして私は小鳥遊緋夏改め、ディアナ・ベルトラとして生きることを決めた
ーーー
検察官、と言っていますが専門的なことは出てきません。
ふわっとしたイメージだと思ってもらえれば幸いです。
14
あなたにおすすめの小説
“いつまでも一緒”の鎖、貴方にお返しいたします
柊
ファンタジー
男爵令嬢エリナ・ブランシュは、幼馴染であるマルグリット・シャンテリィの引き立て役だった。
マルグリットに婚約が決まり開放されると思ったのも束の間、彼女は婚約者であるティオ・ソルベに、家へ迎え入れてくれないかというお願いをする。
それをティオに承諾されたエリナは、冷酷な手段をとることを決意し……。
※複数のサイトに投稿しております。
『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。
ありふれた聖女のざまぁ
雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。
異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが…
「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」
「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」
※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。
こうして私は悪魔の誘惑に手を伸ばした
綴つづか
恋愛
何もかも病弱な妹に奪われる。両親の愛も、私がもらった宝物もーー婚約者ですらも。
伯爵家の嫡女であるルリアナは、婚約者の侯爵家次男ゼファーから婚約破棄を告げられる。病弱で天使のような妹のカリスタを抱き寄せながら、真実の愛を貫きたいというのだ。
ルリアナは、それを粛々と受け入れるほかなかった。
ゼファーとカリスタは、侯爵家より譲り受けた子爵領へと移り住み、幸せに暮らしていたらしいのだが。2年後、『病弱』な妹は、出産の際に命を落とす。
……その訃報にルリアナはひっそりと笑みを溢した。
妹に奪われてきた姉が巻き込まれた企みのお話。
他サイトにも掲載しています。※ジャンルに悩んで恋愛にしていますが、主人公に恋愛要素はありません。
今、私は幸せなの。ほっといて
青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。
卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。
そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。
「今、私は幸せなの。ほっといて」
小説家になろうにも投稿しています。
悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。
潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる