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しおりを挟む『ねえ、誰に手紙かいてるの?』
「秘密」
『もう、教えてくれてもいいじゃないっ』
ぷんぷんと顔を真っ赤にして怒っているディアナにふふっと笑いが出た
彼女は壮絶な人生を送りながらも性格は曲がることがなく、朗らかに育ったようだ
その証拠に私がごめんごめんと謝ると、へらりと笑って許してくれた
『誰かきたわ』
手紙を書き終えて10分後
廊下はドタバタと何人かの足音で騒がしくなった
ーーーコンコン
「入りなさい」
「失礼いたします。ディアナお嬢様?!なぜこのような場所に…それにそのお召し物は…!!」
「久しぶりねセバス。私今ここで寝泊まりしてるのよ」
部屋に入ってきたのは初老をむかえたベルトラ公爵家の執事長、セバスチャンだ
普段は毅然とした態度で過ごしている彼も私がここにいるのに驚いたのかメガネが少しずれている
「寝泊まり…?お嬢様、ここはメイド長の部屋ですが…」
「そうね。あら、そしたらそのメイド長はどこで寝泊まりしてるのかしら?」
不思議ねえ、と頬に手を当て首を傾げる
「……!!!すぐにメイド長を呼んで来るんだ!」
「はい!」
私の意図が通じたのかセバスチャン、もといセバスは焦った表情で後ろにいたメイドに声をかけた
ディアナの記憶によれば、セバスは祖父の代からベルトラ公爵家に勤めている執事で、現在は当主不在のこの屋敷の管理や経理を行なっている
公正な性格の彼がなぜ、今までディアナの境遇に口を出さなかったのか
(「メイド長と、主犯は妹さんかしら」)
執事とは主に男性に使える職種だ
女性につくのはメイド、もしくは侍女
したがってメイド長がいるこの屋敷ではセバスが直接ディアナに関わることは極端に少なかった
それに今現在屋敷の管理を行っているセバスは他に目がいく余裕がなかったのだ
(「さらに、あの2人のおかげでもっと気づかれなかったみたいね」)
私の予想だが、きっと主犯である妹さんとメイド長は結託して、ディアナからセバスを遠ざけていたはずだ
ディアナの記憶では妹さん、メイド長、そして何人かの使用人を除いて他の使用人たちはディアナが百合の間から出てこない出不精なお嬢様だと思っているようだ
その巧妙さに私は心の中で拍手を送る
ここまでして血の繋がった姉を追いやる妹さんに早く会いたくなった
「し、執事長…お待たせ、しました…」
「メイド長!これはどういうことだ!!」
幾分かしないうちに顔を真っ青にしたメイド長がやってきた
私の後ろにいるディアナはトラウマがあるのかヒッと言い私の後ろに隠れた
「なぜお嬢様がこんなところにいるんだ、と聞いている!」
「いえ、あの、お嬢様が此処に居たいと「私そんなこと一言も言ってないけど?」…え、あ…」
セバスとメイド長の話に割り込む
ゆっくりと椅子から立ち上がった私をみてメイド長は目を見開いた
「ねえ、メイド長。あなたの部屋は本来は此処よね?でも私が此処にいる。……あなたはどこの部屋にいるのかしら?」
「な、んですって…!!?」
立ち上がり鞭を持ったままメイド長に近づく
普段おとなしいと思っていた相手が反抗してきたという事実はメイド長を驚かせたようだ
「セバス。牡丹の間にいきましょう」
「牡丹の間ですか?」
「ええ。そこに…証拠があるはずだから」
ニコリと笑ってそういえば目の前のメイド長の顔が青から白に変わった
集まった皆がぞろぞろと部屋を出る時
私はそっと執事見習いに1つの手紙を託した
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