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あの日から私は1日をぼんやりと過ごすようになった


屋敷の中でたまにロベリアを見かけても彼女が私を避けるように踵を返していなくなる


その背中を私は追いかけるわけでもなくぼんやりと見つめるだけを何度も繰り返していた




ーーー



成婚式まで残り2週間を過ぎた頃



私は成婚式の最後の調整を行うために王城に赴いていた


王妃様、アイリス妃殿下の3人で来賓の最終確認を行う


「アマリリス?どうしたの手元が止まってるわ」


「プルメリア様…」


「もしかして、ロベリア様とうまくいかなかったのですか?」


王妃様に心配され、妃殿下に確信を突かれドキリと心臓が跳ねた


「ロベリア…あぁ、アマリリスの義妹ね。たしかにロータス侯爵の私生児だそうね。」


「はい。その、義妹と仲良くしようと思ったのですが…」


私はぽつりぽつりとことの経緯を2人に話し始めた








「それはまあ…なんというか…」


妃殿下がどこか呆れたように息を吐く


「随分と自分勝手なことを言ったのね、あなたったら」



手元の招待リストをパラリと捲りながら王妃様がバッサリと言い切る
驚いた顔をする私と、苦笑いをしている妃殿下は王妃様に視線を向けた


「だって、今まで何も言ってこなかった人が突然、あーだこーだ口を出してくるなんてお節介じゃない。それにあなたの義妹はあなたと関わりたくて色々としてたんでしょう?そのやり方も不器用だけれど…その努力をバッサリと切り捨てたあなたもあなたね。」


姉妹喧嘩なんて犬も喰わないわよ。と王妃様がいう
妃殿下は相変わらず苦笑いだ


「アイリスみたいに相手がとことん堕ちていたらわかりやすいけど、あなたたちのは単純なすれ違い!さっさと仲直りしてその体調の悪そうな顔をどうにかしないさい!」


分厚い招待リストをパタンと閉じて王妃様が白磁の手をひらひらとさせながらお開きの合図をする


私と妃殿下は椅子から立ち上がり挨拶をして王妃様の部屋を後にした






「妃殿下。私はどうしたら良いのでしょうか」


王妃様の部屋を後にして長い回廊を妃殿下と歩きながら私がぽつりと呟く


「アマリリス様はが好きなのですか?」


「……いいえ。どんなロベリアでも私の義妹に変わりはありません」


私の言葉を聞き妃殿下がふっと笑う


「そのままの言葉を伝えてみてはどうですか」


その言葉を聞いて私は床に向けていた視線を上げ、前をゆっくり見る


「そんな簡単な言葉でいいのでしょうか」



「姉妹、とは複雑そうにみえて案外単純な物です。私も、お姉様とはいろいろありましたが、実は今は文通しているんですよ?」


シオン様には秘密ですよ、といたずらに笑う妃殿下に視線をパッと向ける


「血のつながりとは不思議ですね。あんなにも許せないことをされたのに…それでもお姉さまはお姉さまなんです。嫌いにはなれませんでした」



不思議ですよね。と、苦笑いを浮かべる妃殿下に向かって私は立ち止まりぽつりとつぶやく



「半分しか血は繋がってなくてもですか」



「逆に半分も繋がっているのですよ」



その言葉を聞いて私は心の中に渦巻いてたモヤがパッと晴れるような気持ちになった
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