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しおりを挟むラファエラ様とあっさりとした挨拶を終えた私はその次の日にはセンテーノ国王陛下にご挨拶をさせて頂きました
晩餐をご一緒させて頂いたのは良かったのですが、その席でもラファエラ様はチラリともこちらを見ませんでした
そんな私を見かねてラファエラ様の弟君であるヘラルド様が沢山お声がけをしてくださいました
たった、お一つしか変わらない兄弟はとてもそっくりなお顔立ちをされています
「フロレンティナ様、兄上がすみません」
「大丈夫ですわ。ラファエラ様も公務で何かとお疲れのようですね」
晩餐が終わったと同時に席を立たれたラファエラ様はご両親である国王夫妻のお声を聞かれず退室されてしまいました
苦笑する私を部屋までエスコートしてくださったのはヘラルド様です
「公務、ねぇ…まあ、兄上も頑固なところがありますから」
「まあ、そうなのですね」
呆れたように仰るヘラルド様の言い方にくすりと笑ってしまいます
「貴方は笑顔が素敵ですね」とヘラルド様からお褒めいただいて頬に熱が集まりました
「では、おやすみなさい」
「ありがとうございます」
部屋まで送って頂いた私は思っていたより疲れていたのか湯浴みをした後早々に眠ってしまいました
ーーー
「さすがフロレンティナ様。完璧でございます」
「ありがとう」
センテーノ王国に到着してから早いもので半月が経とうとしております
母国であるヴァロワ公国でセンテーノ王国の王妃教育を行っていた私にガヴァネスからお褒めの言葉を頂きます
復習を兼ねた講義は午前中に2時間ほど
王宮ガヴァネスであるモンタルバン侯爵夫人は叔母さまと同世代の落ち着かれた女性です
「フロレンティナ様、復習を兼ねた講義は今日で終わりでございます」
「まあ、そうなの?」
「はい。ですから次回は私の教え子たちである令嬢たちとお茶会などいかがでしょうか?」
「それは素敵ね。ぜひお願いするわ」
モンタルバン侯爵夫人はその手腕から数多の教え子たちがいることで有名だそうです
下は子爵から上は王族まで
様々な階級の令嬢たちにマナーを教えてきた彼女はいわば社交界の重鎮なのです
「ふふ、お茶会が楽しみね」
ーーー
「みなさん初めまして。フロレンティナ・ド・ヴァロワですわ」
モンタルバン侯爵夫人はお仕事がとても早い方です
講義があった次の週にはお茶会を開催されてしまいました
王宮の一角である薔薇の庭園で開かれたお茶会には私を除いて3人のご令嬢が招待されています
伯爵家、侯爵家、公爵家からそれぞれお一人ずつ
いずれも高位貴族のご令嬢ばかりで私は少しホッとしました
なにせ母国でも交流があったのは伯爵家以上のご令嬢ばかり
子爵や男爵家のご令嬢とはお付き合いがなかったものですからどう言ったお話ができるのか不安だったのです
「フロレンティナ様、申し訳ございません。王妃殿下に呼ばれてしまったので少し席を外させていただきます」
他愛もない話で盛り上がっているとモンタルバン侯爵夫人が叔母さまに呼ばれて退席されます
お姿が見えなくなると伯爵家の1人のご令嬢がそっと私に話しかけてきました
「王太子殿下とはお会いできていますか?」と仰るのはプラド伯爵家のイリス様
「プラド様、お辞めになって」と。お声がけされたのはタムード公爵令嬢のドロレス様。ドロレス様はヘラルド様の婚約者でございます。
「構わないわ。ラファエラ様はご公務がお忙しいのか中々お会いできないわ」
私がそう答えると皆さんのお顔が曇ります
首を傾げる私にドロレス様がそっと耳打ちされます
「センテーノ王国では3年前に王立学院ができたのはご存知ですか?」
「ええ。貴族子女の皆様が通われる場所だと聞いたけれど」
ヴァロワ公国にはない王立学院というものに私は少し興味がありました
「私たちはその学院の一期生として王太子殿下と共に入学したのですが…」
と、言葉を濁したのがグラセス侯爵令嬢のナタリア様
「……あぁ!私の口からこのようなことをお伝えできません!」
お許しください。とナタリア様が顔を伏せてしまわれました
ますます首を傾げる私にドロレス様がはぁと息を漏らします
「フロレンティナ様。どうか、どうか、お心を強くお過ごしくださいませ」
そう仰ったドロレス様の瞳には静かな怒りが込められていたような気がしたのです
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