12 / 48
12
しおりを挟む「王弟殿下のお子様が見つかった?!」
「兄上がそう言っていた。まだ公にはしていないそうだが、平民として生活していたらしい」
あの騒動から3日後
たっぷり休みをもらった私は、新たに気持ちを引き締めて通い慣れたフィルナンド殿下の仕事部屋へと向かった
そして開口一番に告げられた言葉が冒頭での言葉だった
「王弟殿下って、確か18年前にご逝去されてますよね…?」
「あぁ、ちょうど私が生まれた年だ。入れ替わるように亡くなったと聞いている」
18年前は私はまだ7歳
うっすらであるが確かその当時は国がかなり混乱していた記憶がある
国王が信頼をおいている王弟のご逝去と第3王子誕生という吉報
悲しめばいいのか喜べばいいのか、不思議な感情に大人たちが戸惑っていたのを私は思い出した
「ですが…王弟殿下は未婚でしたよね」
「表面上は、だ。なんでも将来を誓い合った女性がいたそうだ」
まあ、俺は知らないんだがな、と他人事のように話すフィルナンド殿下の態度に私は苦笑した
「その相手の女性がメイドだったらしい。思い合うのはいいが結婚はダメだ、と言われてたみたいだな」
「まあ…それはなんというか…」
「で、叔父上が亡くなってメイドも退職金を渡して実家に戻ったみたいだが……身ごもってたみたいなんだよ」
「未婚の女性が身籠るとはまた大変な思いをされたのでしょうね」
「シャリーの言う通りだ。子供の父親を頑なに黙っていた元メイドは実家から勘当されて市井でひっそりとその子供を育てていたらしいんだが…」
突然歯切れの悪くなるフィルナンド殿下に私は話の先を促した
「つい先日その元メイドが亡くなって子供1人になったらしい。生活が経ち行かなくなった子供が、コレを質屋に売るところを憲兵が見つけて、王城まで知らせてくれたってわけだ」
チャリとフィルナンド殿下の懐から出てきたの純銀で作られた鷲の彫刻が彫られたバッジだった
「これは…!!」
「王族だけが持つことが許されたバッジ、だな」
我が国では王族は生まれた時にそれぞれ象徴となる動物が彫られたバッジが贈与される
その象徴がその人を王族だと証明するものであり、生涯そのバッジを身につけることが義務付けられていた
贋作が作れないほど緻密に作られたそれは鑑定の結果、本物だと証明されたらしい
私は自然とゴクリと喉が鳴った
目の前にいるフィルナンド殿下もデフォルトになっている黒い軍服の襟元に彼の象徴である獅子が彫られた飴色の銅でバッジをつけている
それだけ重要なものを質屋に入れようとしていたとは…無知とは怖いものである
「それで、今そのお子様はどちらにいらっしゃるのですか?」
「フレドリック兄上が保護している。複雑な立場だからカロリーナ義姉上が直々に世話をしてるそうだ」
「カロリーナ様が…」
3日前に笑顔で話していたカロリーナ様を思い出す
面倒見の良い彼女ならきっと王弟殿下のお子様を無下には扱わないだろうと安心した
私はふと、素朴ではあるが、とても大事な疑問をフィルナンド殿下に投げかけた
「男性ですか?女性ですか?」
「……女性だ。アイシラという名前だった」
「アイシラ様…従姉妹になりますね」
「ふんっ今更従姉妹と言われても実感はない」
そもそも、そんな奴に私は興味がない、とどこか拗ねたように話すフィルナンド殿下の態度に若干の違和感を覚えつつも、まだ見ぬ王弟殿下の忘れ形見のアイシラ様という女性が一体どういうお方なのかと期待に胸を膨らませていた
11
あなたにおすすめの小説
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
2/26 番外編を投稿しました。
読んでいただけると嬉しいです。
思っていたよりずっとたくさん読んでいただいていてとても嬉しいです。
とてもとてもありがとうございます!!
すれ違う思い、私と貴方の恋の行方…
アズやっこ
恋愛
私には婚約者がいる。
婚約者には役目がある。
例え、私との時間が取れなくても、
例え、一人で夜会に行く事になっても、
例え、貴方が彼女を愛していても、
私は貴方を愛してる。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 女性視点、男性視点があります。
❈ ふんわりとした設定なので温かい目でお願いします。
婚約破棄イベントが壊れた!
秋月一花
恋愛
学園の卒業パーティー。たった一人で姿を現した私、カリスタ。会場内はざわつき、私へと一斉に視線が集まる。
――卒業パーティーで、私は婚約破棄を宣言される。長かった。とっても長かった。ヒロイン、頑張って王子様と一緒に国を持ち上げてね!
……って思ったら、これ私の知っている婚約破棄イベントじゃない!
「カリスタ、どうして先に行ってしまったんだい?」
おかしい、おかしい。絶対におかしい!
国外追放されて平民として生きるつもりだったのに! このままだと私が王妃になってしまう! どうしてそうなった、ヒロイン王太子狙いだったじゃん!
2021/07/04 カクヨム様にも投稿しました。
誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
〖完結〗終着駅のパッセージ
苺 迷音
恋愛
過去、使用人に悪戯をされそうになった事がきっかけとなり、分厚い眼鏡とひっつめた髪を編み帽で覆い、自身の容姿を隠すようになった女性・カレン。
その事情を知りながらも夫ローランは、奇妙で地味な姿の妻を厭い目を逸らし続けた。
婚姻してからわずか三日後の朝。彼は赴任先の北の地へと旅立ちその後、カレンの元へと帰省してきたのは、片手で数えるほどだった。
孤独な結婚生活を送る中。
ある冬の日に、ローランの上官であり北の地を治める領主ハルシオン公爵が、カレン夫妻の邸にやってきた。
始まりは、部下の家族を想う上司としての気遣いだった。
他愛もない会話と、節度を守ったやり取り。ほんの僅かな時間を重ねていく。
そのうちに、お互いに灯り始めた小さな心の想い。
だが二人は、それを決して明かさず語ることはなかった。
それから一年ほどたった冬の夜。
カレンから届いた手紙に、たった一度だけハルシオンは返事を書く。
そこには彼の想いが書かれてあった。
月日は流れ、カレンとローランが婚姻して三年目の冬の日。
カレンはひとつの決意と想いを胸に、北へ向かう汽車に乗った。
※微さまぁか、もしくはざまぁになっていないかもしれないです。
※舞台は近世・産業革命初頭を基にした架空世界だと思っていただけましたら有難いです。
稚拙な作品ではありますがご覧くださいましたら凄く嬉しいです。よろしくお願い致します。
伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい
瑞原唯子
恋愛
だから、きっと、恋を知らないままでよかった。
伯爵令嬢のシャーロットはもうすぐ顔も知らないおじさまと結婚する。だから最後にひとつだけわがままを叶えようと屋敷をこっそり抜け出した。そこで知り合ったのは王都の騎士団に所属するという青年で——。
---
本編完結しました。番外編も書きたかったエピソードはひとまず書き終わりましたが、気が向いたらまた何か書くかもしれません。リクエストなどありましたらお聞かせください。参考にさせていただきます。
笑い方を忘れた令嬢
Blue
恋愛
お母様が天国へと旅立ってから10年の月日が流れた。大好きなお父様と二人で過ごす日々に突然終止符が打たれる。突然やって来た新しい家族。病で倒れてしまったお父様。私を嫌な目つきで見てくる伯父様。どうしたらいいの?誰か、助けて。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる