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しおりを挟む「先に話して置く。案の定、ルフェリ邸からシャリーの代わりとして出発した馬車が襲撃にあった」
「…!!女性騎士の方は?」
「無事だ。襲撃者も捕らえている。襲撃者の1人が契約書を持っていた」
「やはり、デルフィーナ様達が…?」
「あぁ」
コツコツと長い廊下を歩きながらフィル様からの報告を聞いた
恐れていたことが現実となったことや、フィル様達がデルフィーナ様達の計画を事前に知り得なかったら、襲われていたのかと思うと血の気がサァっと引いた
「大丈夫だ。俺が守るから」
「…はい」
私の冷えた手をぎゅっとフィル様が握り込む
私を高い位置から心配そうに、でもどこか覚悟を決めた瞳をしたフィル様の視線に心が落ち着くのを感じた
ーー
(「緊張する…!!」)
フィル様のエスコートで国王陛下が紹介した後に会場入りした私は心臓が口から出そうなほど緊張していた
会場中のすべての人たちの視線を浴びながら私とフィル様はゆっくりと国王陛下の前へと進んだ
「半年間の婚約期間を設けた後にフィルナンドはロックフェラー伯爵家へと入婿する。」
「謹んで拝命致します」
「建国のよき日に我が息子の婚約が決まった!!皆のもの、今日は存分に楽しむように」
国王陛下の宣言で貴族達は頭を下げた
そしてゆっくりと流れ出したオーケストラの音が社交の開始を告げた
「はじめましてロックフェラー嬢。私は……」
「この度はご婚約おめでとうございます」
「以前は殿下の教育係をされていたとか…」
「どのように愛を育まれたのですか」
「結婚会場はどちらで」
「ぜひ今度パーティーでも」
「珍しいドレスをお召しですのね…」
「皆さま。ありがとうございます」
晴れてフィル様の婚約者となった私の元に続々と貴族達からのコンタクトが始まった
元没落していた伯爵家が復活した上に第三王子との婚約
噂話が大好きな貴族達からしたら、その裏側の話が知りたくて知りたくて堪らないのだろう
(「それにしたって、すごいわね。まるで獲物を狙う動物のようだわ」)
ローズマリー様の元で培ったアルカイックスマイルを駆使して相手の思惑に陥らないようにのらりくらりとしていた
隣で苛立っているフィル様の顔をそっと仰ぎ見る
「フィル様。私、少し疲れましたわ」
「…!あぁ、少し休もうか」
私からのバトンパスをしっかりと受け取ったフィル様はそそくさと私の手を取り群がってきていた貴族達の輪からするりと抜け出した
「大丈夫ですか?」
「すまない…気を使わせてしまったな」
「いいえ。こ、婚約者となったんですもの…助けあうのは当然です…」
婚約者、という言葉に自然と顔に熱が集まる
私の言葉を聞いて嬉しそうな表情を向けるフィル様をみた
「私たち、本当に結婚するんですね」
「今更嫌とは言わせないぞ」
「そんなまさか!……過去はどうあれど、今はちゃんとお慕い申し上げております」
「シャリー……俺も愛している」
「ふふ」
誰もいないテラスで2人で笑い合う
燃え上がるような恋ではないが、5年間培ってきた信頼と親愛が心地よかった
「フィルナンド殿下。国王陛下がお呼びです」
ゆっくりとふわふわした居心地の良い空間に突如割り込んできた声にフィル様は射殺さんばかりの視線をその侍従らしき男に向けた
「陛下が?なぜだ」
「あ、いえ、その…私は殿下をお呼びする様にとしか言われてなくて…」
ビクビクとしている男の姿を見てはぁ…と大きなため息をついたフィル様は私をそっと抱き寄せて肩口に顔を埋めた
「いってくる。すぐ帰ってくるから気をつけてくれ」
「はい。ラウラとおりますわ」
「そうしてくれ」
侍従に連れられて名残惜しそうにテラスを後にしたフィル様を見送り、私は会場内にいるであろうラウラを探し始めた
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