大公殿下と結婚したら実は姉が私を呪っていたらしい

Ruhuna

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「いえ……わたしは、私はきっと姉と向き合わなければならないのかもしれません」


隣で私の体を支えてくれながら体質を促すアマリリス様にストップをかけた


逃げることは簡単だ



5歳のあの時に経験した他人からの軽蔑や侮辱の眼差しからも逃げてきたのだから


だが、どうしても5歳の時からどんな理由があろうと優しく接してくるため姉に対しては逃げてはダメだと頭の中で警鐘がなった


「ですが、今のローズマリーには何を言っても無駄だと思いますわ」

「……大丈夫です。姉は、姉はおそらく私のことを無視できないと思うんです。」


そっと腰に手を添えてくれていたアマリリス様の手からすり抜けて対峙している姉とシオン様に近づく



「アイリス!こっちには来るな!」

「いいえ!お姉様と話をするだけです!」



私が近づいたことに気づいたシオン様が叫ぶ

「シオン様でもそれは邪魔させません。」と視線を逸らさずにシオン様を見つめ返す


私の視線に一瞬目を丸くさせたシオン様はすぐに呆れたような表情になり掴んでいた姉の手を解いた


そして私の方にやってきて、先程のアマリリス様と同様に腰に手を回してそっと支えてくれた


「口は出さない。でも傍にはいさせてくれ」


「ええ。お願いします」


いつものようにふわりと笑いながら視線を合わせる


「アイリスゥゥゥゥゥ!!お姉さまの言うことが聞けないの?!」

「お姉様。呪いとは何なのでしょうか。私を呪っていたと言うことは本当ですか?」


髪を乱しながら叫ぶ姉に向かって、冷静に話しかける


「そうよ!あんたが5歳の時からずーっとずーっと呪ってきたわ!!馬鹿なあんたは私からもらった呪具を嬉しそうにつけて外さないから簡単に呪えたわ!」


「そう、だったのですね。では原因不明の熱病は呪いが原因だったのですね。……お姉様、どうして私を呪ったのですか」


「あんたが憎かったからよ!!長女として生まれてきた時はまだよかったわ!でもあんたが生まれてから、お父様もお母様もあんたにつきっきり!私のことなんてみやしない!そりゃそうよね、だって私は不細工だったもの!それに比べてあんたは生まれてきた時からやれ天使だ、妖精のようだと言われて…これが憎まずにいられる?!」


姉の言葉を聞いて返す言葉がなかった
私が物心がつく前とはいえ、たった3歳ぐらいだった私がわかるほどに姉妹格差の酷かった両親の態度に落胆した部分もあったからだ


そんな過去をどうして私は忘れてしまっていたのだろうか、


会場にいる両親に視線を向けるとバツが悪そうに目を逸らす2人の姿が見えた


「そしてあんたは容姿だけじゃなくて才能まであった!たった3歳のあんたにマナーや勉学で負けた私の気持ちがあんたにはわからないわよね!!両親からの愛も、才能ももってたあんたには!だから呪ったのよ!あんたの持ってる全てを私に変換するようにね!
 私のことを信じ切ってたあんたは簡単に呪具をつけて呪われてくれたわ!あの時ほど笑えることはなかったわ!そこからは私が思い描いていた理想よ!両親からの愛、羨望の眼差し、そして王太子妃!全てが順調だったのよ…あんたが大公に嫁ぐまでは…!!」


「ーーッ」


ギロリと姉から睨まれ半歩後ろに下がってしまう


今まで見てきた姉とは別人のように荒れ果てた姿は鬼神のようで恐ろしさを感じた


「お、お姉さまの苦悩は計り知れないことはわかったわ!でも、それだからと言って人を呪うことは褒められることではないわ!」


「そうやって偽善者ぶるのも腹立たしい!大人しく私のエサになってればよかったものの…!!大公!お前だな、呪いを解いたのは!しかもご丁寧に呪い返までしやがって!!」


姉の口調がどんどんと崩れていく
それを助長するかのように姉の髪が白く肌は皺々になっていく


「ふんっ、素人程度の呪いを跳ね返すなんて造作もない。問題はアイリスの気持ちだったからな。アイリスは呪われても知らずに健気に姉の幸せを願い必死に生きていたんだ」

その気持ちがあったから呪いを解くのに必要以上に時間がかかったんだがな、と話すシオン様の言葉を聞いてわたしは思い返した


干渉してこなくなった両親、
衰えていく体、

そんな絶望的な中で、嘘に固められた姉のあの笑顔


それでも、その笑顔に救われていたのは事実だ


綺麗に笑う姉の姿だけがあの時は世界の全部だった



「………お姉様。もうやめましょう。私たちはお互い話すことがたくさんあるのよ」


「話すことなんてないわよ!!あんたが、あんたがいなくなれば…!!」


私の言葉が逆鱗に触れたのか姉が勢いよく襲いかかってくる



その姿がスローモーションのようにみえた私は、落ち着いて右腕についているブレスレットを勢いよく引きちぎった




ーーーパンッ





「あっ」





コロコロと黒曜石の玉が床に散らばる


私の右腕からは約10年ほどつけていたブレスレットは跡形もなく無くなった


そして目の前には驚いた顔の姉が床に座り込んでいる



その姿は老婆のように髪は白く、手足も枯れ木のように細くなり皺だらけになっていた



「呪い、返し…」


アマリリス様の声だけが会場中に広がる


私は、でブレスレットを引きちぎったのだ



今まで重たかった体が一気に軽くなり全ての呪いが姉に跳ね返ったことがわかった

 
そして私は呆然と床に座り込む姉を見て口を開いた




「お姉様。







          ーーさようなら」






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