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128「三つの理由」
しおりを挟むアギーさん達がこの世界になる?
タロウは一体何を言ってるんですか?
「まぁそういう事だな」
そういう事なんですか……。
「ねぇタロウ、どういう事なんですか? 僕にも分かるように説明して下さいよ」
タロウに教えを請うのは初めてかも知れませんが、分からないんですからしょうがないですよね。
「そうっすねー、分かりやすく言ったらアギー達はどっか他所の世界の明き神……の一部っつうか、欠片っつう方がしっくり来るっすかね」
アギーさん達が、明き神の欠片……?
『何言ってるか分からんでござる』
『プックル、ナントナク、分カル』
僕はどちらかと言えばロボよりの意見です。
ん~? と首を捻っているとタロウがさらに説明してくれました。
「例えばっすよ、他所の世界、アギー達のいた世界をここに置き換えて考えるっすよ。明き神ってこの世界そのものっすやん? それがぼろぼろと壊れて昏き世界を彷徨ったとしますやんか、その破片がアギー達って事っすよ」
あ、あー、何となく雰囲気を掴みました。
なるほど、昏き世界の者共と呼んではいますが、それはこの世界のすぐ外、昏き世界を通ってこの世界に来るからであって、さらにその向こうにはそれぞれの明き世界があるという事ですね。
「大した理解力だ。この世界の住人でないからだろうかな」
「多分そうっす。星とか、その外の宇宙とか、そういう情報の差があるからっすね、多分」
情報の差、ですか。
確かにタロウはこの世界の事をホシ、昏き世界の事をウチュウ、と度々言っていました。映像で見たとも。
そのホシに住み、外から見たことのない僕らには、どんな物なのかイメージが湧き辛いのも当然ですね。
「一つだけ確認したいっす」
タロウが指を一つ立てて質問しました。
「なんだ」
「どうやってこの世界を元通りに戻すんすか?」
「当然の疑問だ。まずは明き神と直接接触できる五大礎結界の一つを手中に収める。そしてボクが、五大礎結界を足掛かりにして、今の弱り切ったこの世界の明き神と成り代わる」
「そんな事が可能なんですか?」
「可能だ。今の明き神と比べれば、このボクの方が魔力は大きい」
「ここまでに十年近く掛けたが、その後は千年掛けるつもりでやる。この世界の欠けた部分には、元々のボクらの母体である星から今後やって来る連中を充てがう。そうしていつか、元通りの丸い世界へと戻してみせるよ」
「それを踏まえてだ。新たな生贄、ボクらに協力する気になっただろう?」
この世界の事を考えた時、元通りの丸い世界に戻ることの方が良いことなのかも知れません。
千年後にこの世界で生きる全てが死のうとも、また新たな世界が生まれるのであれば。
僕にはもう、よく分かりません。
「ならんっす」
タロウが決然と言い放ちました。
「なぜだ?」
「理由はいくつもあるっす」
んー、と指を折って頭を掻くタロウ。
「とりあえず大きなのは三つすね」
「教えてくれ」
「一つ、たぶんこの世界の明き神さんはそれを望んでないっす」
「二つ、神の影かなんかで俺、乗っ取られるんすよね? バラ色のニート生活できんすやん。真っ平御免っす」
「三つ、千年後もきっと、タイタニアさんは生きてるっすよ」
確かにそうですね。
千年後とは言え、僕らの子孫や、恐らく父やアンセム様も生きているでしょうね。
少しの沈黙が流れます。
「……分かった。言い分も、まぁ分かる。当初の予定通りに力づくで協力して貰おう」
「やってみろっす!」
タロウはやる気満々ですが、僕ら全員で掛かってもアギーさんに敵うとは思えません。何か手を考えなければ……。
『ヴァン、とにかくイギーを倒すんだ。そうすればボクを操る魔術も解ける、ヴァンの魔力も十全になる。ボクも協力するよ』
そうですね。とにかくイギーさん、さらにウギーさんが協力してくれるなら心強いです。
アギーさんの後方、イギーさんに目をやるとちょうどこちらを見てニヤリとされました。
「お待たせ」
イギーさんを覆っていた結界が音もなく解かれ、アギーさんへと歩み寄るイギーさん。
そのお腹の前に添えられた両手の間には、リンゴ大の魔力球が黒く光り輝いていました。
「アレがそうっすね?」
タロウが手で口元を隠してこっそりと口を開きます。
「恐らくは……。しかしあの球はハッタリで、本命は隠している可能性も……」
「あ、それありそうっすね。あからさま過ぎるっすもんね」
「ウギー、どうっすか?」
『……いやホントごめん。全然分かんない』
「だと思ってたんで平気っす」
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